婚約破棄をしたら、推進している事業が破綻しませんか?

マルローネ

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7話 リガインの失態 その3

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「だから、どうしていきなり事業への出資を打ち切ったのだ!? 意味が分からないぞ、マイケル殿!」

「そうよ! リガインはそれで大変な苦労をしているんだから! いい加減にしてよね!」


 応接室に入った私を待っていたのは、うるさい二人の男女だった。ソファに座りながら喚き散らしている。お父様はうんざりしながら聞いているようだった。

「そんなことを言われましても……ああ、フォルナ。来てくれたのか」

「はい、お父様」


 リガイン様達に会うのは嫌だったけれど、お父様だけに任せるのは申し訳なかった。なんとか、お父様の力になれれば良いけれど……。私はお父様の隣のソファに座った。


「フォルナか……元気そうで何よりだよ」

「リガイン様こそ元気そうですね……嬉しくはありませんが」

「言うじゃないか……婚約破棄をして吹っ切れたのかな?」

「そうかもしれませんね」

「ふん……」


 リガイン様は面白くなさそうな顔をしていた。私がもっと憔悴していると思ったのかしら? だったらあいにくだったわね。隣に座っているマリーヌ嬢も同じように面白くなさそうだった。

「あら……リガインに振られてもっと傷付いているかと思ったけれど、意外と元気なのには驚いたわ」

「おかげ様で……マリーヌ嬢」

「なによこの子……余裕ぶっちゃってさ! 感じ悪いの!」


 感じ悪いのはどちらかと小一時間問い詰めたい気持ちだわ……完全に二人が悪いのに、なぜか私が怒られているし。

「リガイン殿、マリーヌ嬢。そのような態度を取る二人に、我がアッバース侯爵家が協力をすると思っているのですか?」

「なんだと……?」


 お父様は毅然とした態度を取っている。公爵であるリガイン様を前にしてもまったく怯んでいる様子はない。


「リガイン殿は娘のフォルナに対して、理不尽な婚約破棄をしたのです。それに加えて娘を馬鹿にもしている。そんな家とは関わりたくないと思うのは自然でしょう? ブローフェルト公爵家の事業から撤退したのは、以上が理由になります。あとは、あなた方だけで進めてください。ブローフェルト家に与している貴族は他にもいるでしょう?」

「ふ、ふざけるな~~~!」


 びっくりした……リガイン様がいきなり激昂したのだった。どうしてそこまで怒っているのかは不明だけれど、確か、アッバース家が出していた資金はかなり多かったはず。おそらくはそれと関係があるのでしょうけれど……なんていうか、とても滑稽だった。
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