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5話 ジスタード王子殿下主催のパーティー その2
しおりを挟むジスタード王子殿下視点……。
「ジスタード様、本日はお招きいただきありがとうございました」
「いえいえ、ヴィンスフェルト公爵。お越しいただきありがとうございます」
私はラウド・ヴィンスフェルト公爵と話をしていた。ヴィンスフェルト公爵は王国内でも相当な権力を有している貴族の当主だ。懇意にしていて損はないだろう。いずれは、王位継承争いが始まるわけだし、その時に彼が味方をしてくれたとなれば、その恩恵は甚だ大きいと言える。
第一王子であるアリューゼには負けられない……忌々しいことだが、国民からの支持ではアリューゼの方が大きくリードしているらしいからな。私は何としても大貴族を味方に付ける必要があったのだ。
今回のパーティーは規模こそ、そこまで大きいものではないが、ヴィンスフェルト公爵を始めとした大貴族を何名か呼んでいる。アリューゼもその事実には気付いていないだろう。規模が小さいと思い、今頃は部屋でのほほんとしているに違いない。馬鹿な兄だ……既に王位継承争いは始まっているというのに。
「これは、私の楽勝かもしれないな……」
「ん? どうかなさいましたか、ジスタード様?」
「あ……いえ、なんでもありませんよ、ヴィンスフェルト公爵。しかし、本当に今回のパーティーに来ていただいたことには感謝いたします」
「いえいえ、とんでもないことです。お招きいただいたことを感謝しなければならないのは、私のほうでしょう」
ふふふ、ヴィンスフェルト公爵からの印象はかなり良いようだな。
「それに……他にも公爵家の方々がいらっしゃるようだ。今回のパーティーは、ジスタード様にとっても大きな意味を持つのではありませんかな?」
「ふふ、どうでしょうかね……」
流石はヴィンスフェルト公爵といったところか。私の考えは見抜かれてしまっているようだ。まあ、年齢的に言えば倍以上の差があるわけだからな。それに、彼は既婚者であり私と同じ歳くらいの子供もいるはずだ。
ヴィンスフェルト公爵からすれば、私は息子と変わりない……ということか。まあそれは良い、愛する息子と考えてもらい、王位継承争いの際にはしっかりと働いてもらおう。
「ジスタード様、本日のパーティーでは色々と目論見があるのでしょうが……気を付けた方が良いかもしれませんぞ」
「ん? どういう意味ですかな?」
「アリューゼ様がどうやら、他の大貴族の挨拶に向かっているようです」
「兄上が……なっ……」
ヴィンスフェルト公爵が指差す方向にはアリューゼの姿があった。しかも、公爵級の人物と話しているではないか! これはマズイ……なんとかしなければ。ん、その隣に居るのは、まさかエリーゼか……?
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ジスタード王子は自意識過剰なのかな。
婚約解消の理由がまだ遊びたいから何て、言語道断でしょう!
それに王位継承を有利にするためにパーティを開いているみたいだけど、兄には見破られてるみたいだし。
どこか抜けてるのかな。
このパーティに来た貴族に婚約解消の理由が知られたら、王位継承何て出来ないと思うな。
まさに言語道断ですね……ジスタード王子は王子に相応しくありません
あ、第2王子殿下謝罪させられること知らなかったのですね……。
ジスタードは周りが見えてなさすぎですね
第一王子殿下も立場がありますしね……どうしても