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6話

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「ルイズ様もクレス王子とアルエ様にとっては大切な同じく幼馴染でございます。そう大切な……」

「ちょっと、ディア……!」

 どうして「大切な」という部分を強調するのだろうか。確かに昔はどちらも大切だったけれど。でも今は……ルイズの方は大切には思っていない。酷い裏切りのせいでね。

「ぬう、やはりルイズ殿は大切な幼馴染だったというのか?」

「左様でございます、クリス王子殿下。とても気になりますよね?」

「う、うむ……そうだな。気にならないと言えばウソになるか」

「そうですよね! だって、アルエ様が婚約破棄に遭ったと聞いて2週間ちょっとしか経っていませんもの! この短期間に第二王子殿下ともあろうお方が面会の申し出をしてくるなんて! 普通では考えられないことです!」


 ディアはやたらと元気にそう言った。確かにディアの言っていることは一理あるけれど。第二王子殿下であるクレスが、こんなにも早く会いに来てくれるなんて。なんだかいろんな期待をしてしまう事態かもしれないわね。

 クレスもなんだか照れ臭そうにしているし。


「ディア……確かにそうなんだけど、それを面と向かって言うとは。君はメイドとしてしっかりと成長しているようだけれど、昔と随分印象が違うな」


「そうでしたか? それは申し訳ありませんでした」

「いや、まあ……今の君の方が話しやすいという面もあるかな。ははははっ」

「うふふふ、左様でございますか。良かったです」


 なんだか二人は勝手に納得し合っていた。

「それでクリス? 私のことを心配してくれて来てくれたの?」

「当たり前だよ。大切な幼馴染が婚約破棄をされたんだから。予定を変更して来たというわけさ」

「な、なるほど……それは本当にありがとう」

「いや、なんでもないさ。このくらい」


 クレスは簡単に言っているけれど、王子の予定変更はそんなに簡単ではないはずだ。それだけ私のことを想ってくれていたということか。本当に嬉しい。


「それとさ、君に言いたいことがあったんだ」

「どうしたの?」

「今度、王宮でささやかなパーティーが開かれるんだけどさ。良かったらそれに出席しないか?」

「ええっ!? 王宮でのパーティー?」

「ああ、妹の誕生日なんだ」

「そうだったの……王宮で……」


 王宮でのパーティー。これに招待される貴族はかなり王族との仲が親密であることの裏付けとされている。それだけに、そのパーティーに出席できることは非常に自慢できることなのだけれど……私はどうやら、その招待券を手に入れたようだ。こんなに簡単に手に入れて大丈夫なのかしら?

 でも、クレスは私を元気付けてくれているようだし、出席しない手はないわね。
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