私の味方は王子殿下とそのご家族だけでした。

マルローネ

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2話 私の味方は……

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「少し出かけて参ります……」

「役立たずの分際で付き人を連れて出かけるとは良い身分だな、コーデリア。お前が出かけるだけでも、経費が嵩むんだぞ?」

「申し訳ありません……」


 私を叱責しているのは長男のブラウン兄さまだ。私とは4つ年齢が離れている。現在は21歳だ。ブラウン兄さまの言い分はとても実の妹に対して行うものとは思えなかった。思わず泣いてしまいそうだ。

 私はブラウン兄さまの嫌味の言葉を振り切って出ていくことにした。今は屋敷内に味方はいない……少なくとも家族はすべて私の敵だからだ。親戚もおそらくはお父様を擁護するだろう。以前にも私の意見よりも、お父様の意見が通ったことがあったし。

 私は付き人のリュシアと共に馬車に乗ると、そのまま御者に貴族街へ行くように依頼した。


「コーデリア様……心中お察しします」

「ありがと、リュシア」


 付き人兼メイドのリュシアは私の味方でいてくれていた。もちろんお父様たちに目を付けられないよう、屋敷内ではそっけない態度をしているけれど。息が詰まりそうな事態だ……本来は安息の場であるはずの家族の待つ場所が、これほど帰りたくない場所になるなんて。

 私が一体、何をしたと言うんだろうか? 確かに婚約破棄にはなったけれど、あれは完璧にミストマ様の暴走でしかないんだし……。

「コーデリア様、貴族街のどこへ向かわれるのでしょうか?」

「特に決めていないわ……適当にブラブラと散歩でもしようと思うの」

「左様でございますか」


 屋敷に居たのではまたいつ嫌味を言われるか分からない。婚約破棄でショックを受けている現在、そんな心無い言葉は私を酷く悲しませるのだ。だから、私は屋敷から出て貴族街に向かっていた。少しでもお父様やお母さま達と顔を合わせないようにするために。


-------------------------


「それにしても……リュシア」

「はい、なんでしょうか?」


 貴族街に付いた私達は適当に散策をしていた。本当にあてのない散歩だ。


「私がその……修道院に入らされるという件についてだけど」

「そのことですか……旦那様なら行っても不思議ではないかと思われます」

「そうよね……」


 お父様は昔から厳しい人で私を閉じ込めたことなど何度もある。有言実行の人だった。今回の修道院に関しては嘘であってほしいけれど……。


「コーデリア様……」

「どうかしたの?」

「いえ、前方をご覧いただいてもよろしいですか? あのお方は……」

「えっ?」


 リュシアのいう通り私は前に注目した。すると身なりの良い方がこちらに歩いて来ている。たくさんの付き人を連れて。

「あれって、まさか……シムルグ王子殿下?」


 おそらく間違いない……前方からこちらに向かっているのはシムルグ・フォスター第三王子殿下だ。なぜすぐに分かったかと言うと、彼は私の幼馴染だったからだ。
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