攻撃力と防御力共に最強クラスになっているので、パートナーと一緒に無双します!

マルローネ

文字の大きさ
3 / 119

3話 冒険者ギルド

しおりを挟む

「さてと、今日も大量収穫だったわね」
「7階層の階段も見つかったし、よかったな」

 時刻は夕刻過ぎを迎えていた。オルランド遺跡の探索を本日も終えた二人は袋にギッシリと詰まった結晶石を手にアーカーシャの街を大手を振って歩く。袋に詰まった結晶石は傍から見るだけでも現金の塊くらいの価値があるものだ。

 無防備に持ち歩いていれば、ならず者に狙われてもおかしくはない。特にアーカーシャの街の治安は悪いことで有名だからだ。だが、そんなことを考える者は誰一人としていない。なにせその袋を持ち歩いているのは、現在最も有名な冒険者と言える者達だからだ。

「さ~て、いくらくらいになるのかしらねっ」
「アメリア……もうちょっと清楚にしてたらいいのに」

 アメリアの勝気で明るい性格は時に守銭奴のように狡猾な笑みを作っていた。春人は苦笑いをしつつそれを見送る。二人が向かっている場所は、アーカーシャの冒険者組合「ギルド」と呼ばれる所である。

 冒険者に遺跡の探索や住民の護衛などの仕事を斡旋する場所である。他の街にあるギルドとは違い、大半が遺跡に関係する仕事ではあるが。冒険者のレベルに応じて、行ける遺跡も厳しく管理されている。
また、遺跡で発見した宝や結晶石の換金、鑑定などもギルドが行っているのだ。まさに冒険者の仕事を全体的にサポートする役割を担っていると言える。

 アーカーシャの街は中央に位置する巨大な時計塔を中心に街並みが整えられている。冒険者ギルドの場所もそんな時計塔のすぐ傍に位置していた。

 ギルドは石造りの堅牢な建物で、中へ入ると幾つかのソファーが並んでいる。受付には役人と思われる人々が、それぞれ冒険者の対応をしているようだ。

「ホテルのロビーと市役所が合体した所って感じかな」
「ん? なんか言った?」
「いや、なにも」

 春人は日本の家屋で近い物を適当に考えていた。デザインこそ中世ヨーロッパを思わせる雰囲気ではあるが、その堅牢さは現代の日本の家屋と比較してもなんら変わらない印象を受ける。魔法の技術が進んでいるこの世界は、単純な文明の造りとは比較できない何かが多分にある。

「やっほー、ローラ。今日も結晶石の鑑定おねが~い」
「あら、アメリアこんにちは。今日も随分と大量ね」
「ま~ね」

 ギルドの受付の女性の一人にアメリアは声をかける。この三週間の間、この光景は春人も何度か見てきた。アメリアが鑑定などを依頼する相手は決まってローラと呼ばれた女性である。

 二人は旧知の間柄であり、ローラはアメリアの4歳年上の為、姉妹のような印象を春人は感じていた。実際、アメリアとしてもそういった頼りがいをローラに感じているのだろう。

「高宮くんも大変ね。アメリアについて行くのは大変でしょ?」
「まあちょっと大変な時も……慣れて行きます」

 ローラは受付嬢の立場を厳守しているのか、春人のことを苗字で呼ぶ。高宮 春人という聞き慣れないイントネーションの名前を聞いた時はかなり驚いていたが、現在では慣れてきたようだ。

「全く勝手なこと言うんじゃないわよ。春人は私のパートナーとしてふさわしい働きをすればいいの」
「わかってるっての」
「まあ、アメリアはこう言ってるけど、自分の背中を預けられる子が見つかって喜んでるから。仲良くしてあげてね」

 言葉のひとつを取ってもアメリアへの心配の念が伝わってくる。春人にもそれが感じられた。アメリアも若干口を尖らせてはいるが、図星なのかローラには頭が上がらないようだ。


--------------------------------------


「今回の結晶石は……合計で25000ゴールドね」

 ゴールドと呼ばれる単位が、この世界での通貨の単位となっている。春人としては元の世界ではゲームなどでよく耳にする通貨ではあったのですぐに受け入れることができた。日本で言うところの1万円や5千円、千円札に該当するであろう金貨や銀貨で手渡しをされる。

「25000って言ったら……どんなくらいだっけ?」
「25000ゴールドって言えばそうね……3人家族で1か月以上は過ごせる額じゃない?」
「3人家族で1か月以上か……なるほど」

 オルランド遺跡の6層までの1往復で25000ゴールドを稼ぎ出した。往復に費やした時間は8時間程度だ。1日に稼いだ額としては大きいのかもしれないが、命の危険を考えると果たしてどうだろうか。6階層ではレベル44のバジリスクとの戦闘もあったのだから。

「ま、今回は不作だったかしらね。新しい宝の発見がなかったのが痛いわね」
「俺としては驚きだけどね……前が32000ゴールドで……俺がこんな稼げていることが信じられない」

 まだ高校生だったこともあり、働いたことがない春人だったが、普通の社会人であったとしても、1日の稼ぎとしては多すぎるくらいだ。1日で1か月分の給料を稼いでしまっている計算になる。

「前回も32000ゴールドを稼いでいたわね。十分な額だけれど、あなた達だからそれも可能なのよ? 普通の冒険者はオルランド遺跡になんて入れないわ。通常は5000ゴールドも稼げれば十分なんだから」

 冒険者という職業は全ての人間が食べれるというわけではない。一攫千金という意味合いでは夢のある職種ではあるが、どうしても貧富の差というものは発生している。最高峰の冒険者である二人で30000ゴールドといった印象なのだ。

 通常の数倍の稼ぎだが、彼らは常にこのくらいの額を稼げる実力を有してはいる。本気を出せば2倍以上は稼げるだろうと目されている。

「でも、健康体であれば一度は冒険者をしてもいいと思うわ。それだけ鍛えられるし、経験にもなるしね」

 
 アメリアの体験を思い出したのか、物思いにふけているようだった。そんな彼女をローラも静かに見送る。10歳の少女が冒険者の世界に参入したことで、現在のアメリアがあるのだ。ローラも以前から彼女のことは知っている為、過去の苦労なども承知していた。

「ところで、そろそろパーティの名称を考えてくれない? あなた達ほどの有名な冒険者で、名前を付けてないのは非常に困るのよ」
「え~? パーティ名とかどうでもいいと思うけど……う~ん、じゃあ「ソード&メイジ」で」
「うわ……安直……」

 アメリアの安直なネーミングに思わず頭を抱える春人。それぞれの武器をそのままパーティ名にしただけだ。アメリアはそんな春人に不機嫌な視線を送っている。

「ソード&メイジね……うん、悪くないわ」
「え……?」

 予想外のローラの反応に思わず彼女を凝視する春人。

「さっすが私の親友! よくわかってるわね!」
「他の冒険者が「イリュージョニスト」とか「ネオエクスデス」といった名前だから。シンプルな方が返って目立つと思うわ」

 無駄に凝った名称……春人の世界で言えば中二的な名前に該当する。ソード&メイジというシンプルな名称は逆に最強の冒険者パーティとして目立つという考えだ。

「じゃあ、ソード&メイジで決まりね」
「ええ、これで紹介もしやすくなると思うわ」
「紹介ですか?」
「あなた達のことを教えてほしいっていう人も増えて来ているわ。単純なファンから依頼を考えている人まで幅広くね。パーティの名称があれば、そういうのを処理しやすくなるの」

 ローラは春人に笑顔を向ける。本日を持って正式に「ソード&メイジ」というパーティでの活動が決まった。まだまだ冒険者として心構えが成熟していない春人にとって、パーティ名が決まったというだけでも重荷にならないか……一抹の不安が拭えないでいた。

 彼はまだまだ現在の自分の実力と、過去の苛められていた自分とを別々に考えられる状態にはなっていなかった。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

扱いの悪い勇者パーティを啖呵切って離脱した俺、辺境で美女たちと国を作ったらいつの間にか国もハーレムも大陸最強になっていた。

みにぶた🐽
ファンタジー
いいねありがとうございます!反応あるも励みになります。 勇者パーティから“手柄横取り”でパーティ離脱した俺に残ったのは、地球の本を召喚し、読み終えた物語を魔法として再現できるチートスキル《幻想書庫》だけ。  辺境の獣人少女を助けた俺は、物語魔法で水を引き、結界を張り、知恵と技術で開拓村を発展させていく。やがてエルフや元貴族も加わり、村は多種族共和国へ――そして、旧王国と勇者が再び迫る。  だが俺には『三国志』も『孫子』も『トロイの木馬』もある。折伏し、仲間に変える――物語で世界をひっくり返す成り上がり建国譚、開幕!

勇者のハーレムパーティー抜けさせてもらいます!〜やけになってワンナイトしたら溺愛されました〜

犬の下僕
恋愛
勇者に裏切られた主人公がワンナイトしたら溺愛される話です。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

催眠術師は眠りたい ~洗脳されなかった俺は、クラスメイトを見捨ててまったりします~

山田 武
ファンタジー
テンプレのように異世界にクラスごと召喚された主人公──イム。 与えられた力は面倒臭がりな彼に合った能力──睡眠に関するもの……そして催眠魔法。 そんな力を使いこなし、のらりくらりと異世界を生きていく。 「──誰か、養ってくれない?」 この物語は催眠の力をR18指定……ではなく自身の自堕落ライフのために使う、一人の少年の引き籠もり譚。

処理中です...