攻撃力と防御力共に最強クラスになっているので、パートナーと一緒に無双します!

マルローネ

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4話 少女の依頼 その1

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 パーティ名が決定し、結晶石をゴールドに換金してから、二人はギルドを後にした。空は星が徐々に見えるほど暗くなっている。

「アメリア、今日は早めに解散するか?」
「そうね……あ、春人、教会寄って行かない?」

 ギルドから時計塔を挟んで向かい側、そこにはステンドグラスが綺麗な教会の建物がそびえ立っていた。定期的に清掃がされているのか、白色の建物はその色を見事に保っている。

「今朝も話したけど、アルトクリファ神聖国の建物よ」
「アーカーシャは中立の街じゃなかったっけ?」
「うん、そうだけど。実際は複数の国家の分割統治にされているわけ」

 遺跡が集中しているバンデール地方は、エネルギーの源である結晶石の宝庫になっている。なにせ出現するモンスターから無限に採取できるのだ。だからこそ、この地方が一つの国家の権力下におかれることは避けなければならなかった。また、英雄の遺した様々な宝も独占されることを周囲の国家も警戒していた。

 そこで、レジール王国、アルトクリファ神聖国、トネ共和国の周辺3国は分割統治ということで、バンデール地方をそれぞれ平等に統治するということで意見を一致させた。その為に、それぞれの権力を維持するための建物がいくつかアーカーシャにも存在している。

 実際の管理は中立機関であるギルドが担い、宝などは冒険者に還元されるシステムを採用した。そうなれば有事の際に、強力な冒険者を加担させやすくなるという考えもあった為だ。

「でもね、アルトクリファ神聖国はフィアゼスを信奉している国家。フィアゼスの遺した遺跡群は自分たちが統治することが自然だという意見が多いみたい」
「なるほど、まあ意見としては間違ってないと思うな」
「でも、この地方は何百年もの間、国家による干渉を防いでいた地域。ギルドによる遺跡の発掘がされ始めたのが、ほんの50年前よ。その歴史を無視して、干渉していい地域ではないの、いくら神聖国でも」

 自らも育った地域であるバンデール地方。アメリアはそんな場所を他国により占拠などされたくはないのだろう。春人も日本がもし、他国に侵略された時のことを考えると、アメリアのような気持ちになるだろうと理解した。

「しかし、50年前からようやく英雄の遺跡がわかったのか。随分と最近だな」
「この地域は長らく開拓が届いていなかったところだしね。文献でフィアゼスが拠点としていた場所と認知されたのが50年くらい前らしいわ。各国の分割統治もその頃から始まったわけ。もちろんアーカーシャの街も、その時に作られた」

 そして50年が経過した現代では、3国の利益の中心を担う地域へと変貌を遂げていた。春人とアメリアは教会の扉を開けて、中へと入って行く。中には数人の一般人とシスターと思しき人物の姿もあった。

 建物自体はギルドに比べると小さいが、内部の造りは決して負けていない。統治をする上で権力を見せつけるという意図が垣間見える建物ということだろう。アメリアは入り口から少し離れたところにある長椅子に腰をかけた。そして、シスターの背後に立つ石像に目を向ける。

「あれが、フィアゼスの像ね。相当お金かかってそう」

 春人も眺めるその像は通常、想像する石造りではなかった。銀色に輝く像がそこにあったのだ。素材はわからないが、銀で作られている可能性もあった。1000年も前の人物を正確に形作っているとは考えにくいが、春人の驚きはもう一つあった。

「あの像……」
「どうかした、春人?」

 アメリアは怪訝な様子を春人に見せた。像を見て不思議な表情をしている春人に疑問を持ったのだろう。その像は、華奢な体格をしており、おまけに胸が出ていたのだ。

「もしかしてフィアゼスって……女?」
「ああ、そういうこと。そうよ、フィアゼスって言われることが多いから、勘違いするよね。確かフルネームは……ジェシカ・フィアゼスだったかな」


 ジェシカ・フィアゼス……春人は改めて驚いた。実際問題として、1000年前の人間が男か女かなど大した違いはないのだが、今まで感じていたイメージが覆されたからだ。

「まあ、そういうことよ。そのジェシカ・フィアゼスの宝を管理するのは自分たち……神聖国の意見は好きじゃないわ。あんな像まで作って信奉して、住んでいる人間を傷つけようとしているのよ」

 アメリアの言葉は前に立っているシスターには聞こえないように小声だ。春人はジェシカ・フィアゼスの像を見上げた。彼女自身は崇められることを許容しているのだろうか、また遺言でも残しているのか。

 遺跡の管理をし、彼女の手に入れた宝も自分たちが管理する。神聖国の主張が果たして正しいものなのか……アメリアの感情と比較すると、とても答えは出せなかった。

「あ、あの……!」

と、そんな時だった。一人の女性が、春人とアメリアの前に現れ声をかけてきたのだ。頭にスカーフを巻き、青い長髪をなびかせた少女であった。膝が見えるくらいの丈のスカートを穿いている。冒険者という風貌ではなかった。

「え、あ、あの……俺?」
「なにか用?」

 いきなり知らない女性に話しかけられた春人は緊張していたが、アメリアは平然とした様子で、その少女に言葉を返した。



「申し訳ありません。私はエミル・クレンと申します。アーカーシャの街で暮らしている者です」

 少女は深々と頭を下げて二人に挨拶をした。そのしぐさだけで、彼女が礼儀正しい人となりをしていることが伺い知れた。春人としても緊張が少し和らぐ。

「もしも間違っていたらすみません。アメリアさんと春人さん……ですか?」

 少し自信なさ気な質問をエミルは投げかける。そんな彼女にアメリアは優しく笑いかけた。

「正解よ。その感じからすると、依頼関係かしら?」
「あ、はい! こんな場所での依頼はお受けしていませんでしょうか?」

 アメリアの予想は見事的中したのか、エミルの表情が一気に明るくなった。アメリアは首を横に振ってエミルを安心させる。

「まあ、教会の中での依頼っていうのも神聖でいいかもね。話だけでも聞かせて」
「はい、ありがとうございます!」

 春人を半ば置き去りにしたように進められたが、彼は特に不満はなかった。冒険者には直接の依頼が来るということも聞かされていたからだ。よくわかっていない自分が割り込むことは最小限にした方がいいと春人は考えた。
 そして、エミルは長椅子に腰かけ、アメリアと春人に依頼内容を話し始めた。
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