私の婚約破棄で腹違いの王子が激怒してくれた件

マルローネ

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8話

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「ヨハネス様って……あの、ヨハネス・シャングリラ国王陛下のことですか……!?」

「ええ、その通りよ」


 お母様からはとんでもない人の名前が出て来た。それもそのはず、ヨハネス様はシャングリラ王国の現国王だからだ。バリバリの現役の最高権力者……その娘が私……? 信じられない。でも、お母様が嘘を言うはずはないし……。

「どういうことなんですか……? 私がヨハネス様の娘って……」

「言葉の通りよ、リリス。私が母親であることに間違いはないから安心して」

「は、はい……」


 私がお母様こと、アンネリーから生まれたのは間違いないらしい。つまり……。


「お前は特殊な出生ということになるな。私は実の父親というわけではないのだよ」

「そ、そんな……お父様……!」

「といっても、お前のことを今日まで実の娘のように想っていたことに間違いはないさ」


 それは正しいのだと思う。お父様は何時の時も優しかったし。時には厳しかったけれど。


「あの時は若気の至りというのか……そんなのがあったの。私はヨハネス様と関係を持ってしまって……抗えなかったわ」

「……」

「そんな……」


 何があったのかはっきりとは言わない。でも、お互い間違いがあったのだと思う。ヨハネス国王陛下が迫ったのかどうかまでは聞かない方がいいだろうか。

「ヨハネス様はその後、養育費を全て出してくれているわ。謝罪もあったの」

「そういうことで、私とアンネリーの関係にも亀裂が入らなかったというわけさ」

「で、でも……お父様はそれで良かったのですか?」

「昔のことだよ。当時は……そうだな、何とも言えない気持ちではあったが。それでも、アンネリーと別れようとは思わなかった。愛していたからね」

「ごめんなさい……こんなことを今まで話せなくて。何度か話そうとは思っていたのだけれど……今になってしまったわ」

「お父様、お母様……」


 とんでもない真実を聞いてしまった気分だ。実態にとんでもないのは間違いないのだけれど。私は何と言えばいいのか分からなくなってしまった。

「イクサ様が非常に協力的だったのは、そういう事実があるからですね」

「そういことだ。お前とイクサ王子も兄妹になるからな。誕生日の関係で向こうが兄ということになるが」

「お兄様だった……イクサ様が」


 腹違いではあるけれど、血を分けた兄妹という事実は変わらない。別にイクサ王子殿下だけではないのだけれど。ひょっとして、私にも王位継承権とかあるのだろうか? まあ、今は考えても仕方ないわね。
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