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3話
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ラクエル・バーンス侯爵令息からの手紙……それをエレナから受け取った私は早速、読んでみることにした。
内容的にはエレナの言ったことと同じだったけれど……久しぶりに会いたいと書かれていたのは驚きだわ。
もう4年くらい会っていなかったからね。記憶の片隅に大切な思い出として保管していたわけで……。
「ラクエルか……久しぶりに会いに行ってみようかしら」
相手は侯爵令息。子爵家でしかない我がアルギレウス家とは程遠い存在なのは間違いない。でも、ラクエルは敬語を使われることを嫌い、さらには身分の差なんて気にしないとばかりに接してくれていた。だから私も彼とは普通に話していたのだけれど。
侯爵令息と子爵令息が普通の言葉で話す……考えてみればすごいことよね。伯爵であるレイモンドとは敬語で話していたのだから。
「お嬢様、ラクエル・バーンズ様に会いに行かれるのですね」
「ええ、エレナ。久しぶりに会ってみようと思うわ。気分転換にもなりそうだから」
「ふふ、それが良いと思われます。久しぶりの幼馴染の幼馴染の再会……それがどういう結末を生むのか、今から楽しみでございます」
「何を言っているのよ、エレナは」
エレナは昔から、やや妄想癖なところがあった。大方、私とラクエルの進展を妄想しているのだろうけれど……今回のことがきっかけで二人の関係が進展するなんて考えられなかった。なんせ相手は侯爵令息なんだから。私とは身分が違い過ぎる。侯爵令息という立場は下手をすればレイモンド伯爵より上かもしれないのだから。将来的には確実に上に行く存在だった。
「エレシー様とラクエル様の恋。私はこの時を待っていたのかもしれません。とても甘酸っぱい雰囲気が漂って来ます!」
「エレナ……いい加減にしてよ。妄想し過ぎだから」
「これは失礼いたしました。つい……」
「つい、じゃないわよもう……」
とりあえず、ラクエルには手紙を出した方がいいと思われる。彼だって忙しい身だろうし、いきなり会いに行くのは気が引けてしまうからだ。しばらくは手紙のやり取りをしてお互いに暇な時間を調整しなくてはならない。
「実際に会うのはしばらく先になりそうだけれど……それまでは手紙のやり取りが続きそうね」
「お嬢様。その手紙のやり取りの最中に愛を語り合うというのは如何でしょうか?」
「冗談で言っているのよね? ドン引き案件だから遠慮しておくわ」
いきなりの手紙でラクエルへの愛情を語ったりしたら、それこそ大変なことになる。手紙のやり取りが無くなってしまう案件だ。私はエレナの提案を無視して、久しぶりの幼馴染へどんなことを書こうかと胸を躍らせていた。
内容的にはエレナの言ったことと同じだったけれど……久しぶりに会いたいと書かれていたのは驚きだわ。
もう4年くらい会っていなかったからね。記憶の片隅に大切な思い出として保管していたわけで……。
「ラクエルか……久しぶりに会いに行ってみようかしら」
相手は侯爵令息。子爵家でしかない我がアルギレウス家とは程遠い存在なのは間違いない。でも、ラクエルは敬語を使われることを嫌い、さらには身分の差なんて気にしないとばかりに接してくれていた。だから私も彼とは普通に話していたのだけれど。
侯爵令息と子爵令息が普通の言葉で話す……考えてみればすごいことよね。伯爵であるレイモンドとは敬語で話していたのだから。
「お嬢様、ラクエル・バーンズ様に会いに行かれるのですね」
「ええ、エレナ。久しぶりに会ってみようと思うわ。気分転換にもなりそうだから」
「ふふ、それが良いと思われます。久しぶりの幼馴染の幼馴染の再会……それがどういう結末を生むのか、今から楽しみでございます」
「何を言っているのよ、エレナは」
エレナは昔から、やや妄想癖なところがあった。大方、私とラクエルの進展を妄想しているのだろうけれど……今回のことがきっかけで二人の関係が進展するなんて考えられなかった。なんせ相手は侯爵令息なんだから。私とは身分が違い過ぎる。侯爵令息という立場は下手をすればレイモンド伯爵より上かもしれないのだから。将来的には確実に上に行く存在だった。
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「これは失礼いたしました。つい……」
「つい、じゃないわよもう……」
とりあえず、ラクエルには手紙を出した方がいいと思われる。彼だって忙しい身だろうし、いきなり会いに行くのは気が引けてしまうからだ。しばらくは手紙のやり取りをしてお互いに暇な時間を調整しなくてはならない。
「実際に会うのはしばらく先になりそうだけれど……それまでは手紙のやり取りが続きそうね」
「お嬢様。その手紙のやり取りの最中に愛を語り合うというのは如何でしょうか?」
「冗談で言っているのよね? ドン引き案件だから遠慮しておくわ」
いきなりの手紙でラクエルへの愛情を語ったりしたら、それこそ大変なことになる。手紙のやり取りが無くなってしまう案件だ。私はエレナの提案を無視して、久しぶりの幼馴染へどんなことを書こうかと胸を躍らせていた。
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