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37話
しおりを挟む「カリフ・ピドナなどと話すのはルシエド殿にとって良いことだとは思えませんな」
「あなたは……シアン侯爵令息……来ていたとは」
「まあ、呼ばれましたのでね。仕方なく来たまでですよ」
シアン・ノイム侯爵令息だわ……私達より少し歳上の侯爵令息。あんまり面識はないけれど、なんとなく合わない雰囲気を持っていた。
「ミリー嬢もボイドには酷い目に遭わされたのでしょう?」
「シアン様……確かにそうですけど」
「それなら、フューリ―家の当主と仲良く話すことは控えた方がよろしいかと。悪い思い出が蘇ってしまうでしょうからな」
「そんなことは……」
カリフはボイドとは違う。私だってそのくらいの分別はあるつもりだった。彼に悪さをされたわけではないのだから、話すのを控える意味が分からない。
「意味がわからないな、シアン殿。我々がカリフ殿と仲良くすることに、貴殿が突っ込むところではあるまい?」
「それはそうですが……私は良かれと思って忠告させていただいたのですよ。周囲もあまり良い意味では見ていないようですからね」
「……」
私とルシエドは周囲に目をやった。明らかに目を逸らした貴族が複数名……ていうか、ほとんどの貴族がこちらを見ていたように思えるわ。私達とカリフの会話はそんなにおかしなことだったのかしら……。
「申し訳ありません、ルシエド様、ミリー嬢も。私が話し掛けたばかりにご迷惑をお掛けしました……」
カリフは深々と頭を下げた。私達との会話が悪い意味で噂になったことを詫びているのだろうけれど……。
「そんな……カリフ様は何も悪いことはしていないじゃないですか。何も頭を下げる必要なんて……」
「いえ、理由はどうであれ、ボイドとシエナの犯した罪を背負うのは私の役目です。お二人にご迷惑を掛けることはあってはならないはず。それを早々に破ってしまった」
「カリフ様……」
「ほら言った通りでしょう? どうですかな、私たちと一緒に向こうで食事でも」
シアンはここに来て私に手を差し伸べた。どういうつもりなのかしら……それにピドナの乱だか知らないけれど、ここに来ている貴族とは仲良くなれそうにないわね。
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シエナもボイドもまともな生活には戻れない時点で厳しいですけどね
ボイドの方は妹を信じた結果がこれですから……
修道院でどのくらいまで情報が出回るかですね
いじめにあえば変わるかもです
死刑の方がマシ!と言い出しかねない危うさがシエナにはあるかもです