異世界日帰りごはん 料理で王国の胃袋を掴みます!

ちっき

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連載

芋と神様!

『はい、こっちのさつまいもはオッケーよ♪』
「サンキュー♪それじゃこれは台所に持って行くね。」
 千春はアイトネからさつまいもを受け取ると、文恵の待つ台所へ運んだ。

「おばぁちゃんできたー!」
「流石だねぇ。」
「知らなかったよ、さつまいもって追熟するんだね。」
「そのままでも食べられるけど、置いておく方が美味しいんだよ、本当なら1~2か月かかるんだけどね。」
 文恵はさつまいもをシンクに入れると土を洗い流していく。

「チハル~、果物どうする?」
 青空が籠いっぱいの巨峰を見せる。

「あらって食べていいよ。」
「冷えて無いよ?冷やした方が美味しいんじゃない?」
「あ~、日本じゃ氷魔法使えないんだったわ。」
 おもわず籠に手をかざしていた千春が呟く。

「その器に氷水入れておけば直ぐ冷えるよ。」
 文恵は冷凍庫から氷を取り出し、器に水と氷を入れる。

「それじゃ神様達のお世話はお願いして良いのかい?」
 不意に文恵が問いかける、青空は頷き果物を持って行ってしまった。

「今日は日本で神様の宴会かぁ。」
「そろそろ爺さんも帰って来るでしょ。」
 一度帰って来たが、源治は話を聞くとすぐに軽トラに乗り、ルプ、ビェリー、コン、サンジュを連れ出かけて行った。

「で、ああなった訳だ。」
 千春は呆れたように呟く、広く取られた来客用の畳部屋から騒がしく聞こえる声に耳を澄ませる。

「日本の神様大集合だねぇ。」
「おばぁちゃんち凄いね。」
「だねぇ。」
 クスクス笑う文恵、応接間には天照大御神、迦具夜比売命や木花咲耶姫、男神もあつまっている、そして。

「チハルちゃん♪お餅もあるの?」
「ウルズ様、残念ながらこっちでアイテムボックス開けないんですよ。」
「あら?そうなの?」
「はい、魔力すっごい使うらしくて、私も開けないんですよ。」
「そう言う事ね、でも持ってるんでしょ?」
「はい、今日食べれるくらいには有ります、一回ジブラロールに戻って出してきますか?」
「そんな事しなくても良いわ、はい、手繋いで。」
 ウルズに言われ千春は首を傾げながらウルズの手を取る、するとウルズはアイテムボックスを開く。

「えーっとこれね♪」
 そう呟くと、アイテムボックスから餅が並んだお皿を次々と取り出しテーブルに並べる。

「・・・え?私のアイテムボックス?!」
「ええ、魂を同調させて開かせてもらったわ♪他に出したい物ある?」
「あ!ジブラロール酒あるんで出して下さい!男神様達も吞むと思うんで!」
「はーいコレねー♪」
 ウルズは物を取り出すと、アイテムボックスを閉じる。

「神様ずるーい。」
 千春はそう言いつつも笑顔で話す。

「それじゃ頂くわね♪」
「どうぞどうぞ、ごゆっくりー。」
 ウルズは沢山の荷物を宙に浮かせ、応接間に帰って行った。

「それじゃ大学芋作ろうかね、チーちゃんのお菓子はあっちで作るのかい?」
「うん、色々作るし、時間もかかるから今日はおばぁちゃんの大学芋を楽しむよ♪」
 千春はそういうと文恵と一緒にさつまいもの皮を剥き始めた。


-------------------------


『はい、これで終わりね♪』
「ありがとうございます!アイトネさま!」
 ユラは籠に入ったさつまいもを手にし、アイトネにお礼を言う、アイトネはニコッと微笑み家に入っていく、するとユラの横で立っていたモートが話しかける。

「俺も呼ばれたが、これを食べるのか。」
 アイトネに呼ばれたものの、コレと言ってする事が無かったモートが問いかけた。

「うん!さつまいも!甘くておいしいの!」
「チハル達が今作っている料理だな。」
「だいがくいももおいしいけど、ほかにも色々つくるって言ってたよ?」
「それは楽しみだな。」
「うん!」
 満面の笑みで答えるユラにお姉さん組が声を掛ける。

「おー、ユラちゃんが取った芋かぁ。」
「天ぷらで食べたいな。」
「良いねイモ天♪」
 美桜、麗奈、日葵が言うと、花音が呟く。

「焼き芋しないの?」
「やくの?」
「うん、焼くの。」
 花音はユラに答える。

「焼き芋ってさ、やった事あるけどものすっごい時間掛かったよ?」
 美桜が言うと、麗奈も頷く。

「一緒に焼いたよね。」
「うん、1時間くらい焼いても中シャリシャリだったよね。」
 美桜と麗奈は懐かしそうに話す。

「神様パワーで出来ないかな。」
 日葵はチラッとモートを見る、モートはニコッと微笑み答えた。

「無理だな。」
「無理でしたー!」
 日葵は万歳しながら叫ぶ。

「神様は万能調理器じゃないんだから・・・」
 花音は苦笑いしながら答えるが、美桜はニヤリと笑い家に突撃する、そして。

「すみませーん!焼き芋速攻で作れる神様いませんかー!」
 外にまで聞こえる声で叫ぶ美桜、すると宇迦之御魂が手を上げた。

「はーい!出来まーす!」
「ウカ様出来るんですか!?」
「出来るわよ、うちの子なら誰でも。」
 そう言うと、応接間で神の世話をしていた狐巫女が美桜の前に立つ。

「わたくしがお手伝いさせて頂きます。」
「あ、はい、お願いします、ウカ様お借りしますね。」
 狐巫女は耳をピコピコと動かしながら微笑む、そして外に行くと地面に手を当て簡易竈を作り上げた。

「「「「おおー!」」」」
 お姉さん組がパチパチと手を叩く、狐巫女は芋を選別すると竈の上に芋を並べ蓋を締めた。

「それでは・・・」
 そう呟くと、竈に手を向け炎を出すと、あっという間に竈が熱くなる。

「出来上がりましたらお呼び致しますので。」
「ユラみてるー!」
「20分くらいはかかりますよ?」
「うん!みてるー!」
 嬉しそうに答えるユラに狐巫女も微笑み返した。


-------------------------


「焼き芋に神様使う聖女もそうそう居ないよね。」
 呟く千春に春恵が笑いながら答える。

「普段から神様使ってる千春が何言ってるのかしら。」
「それはアイトネが勝手に『呼んだ~?』って来るからさぁ。」
「そう言えばそうね。」
「はい、出来たよー。」
「やったー!食べて良い!?」
「最初は神様にお出ししてからだよ。」
「えー。」
 文恵はそう言うと、綺麗なお皿に大学芋を並べると、黒ゴマを振りかける。

「チーちゃん聖女のお仕事しておいで。」
「・・・しゃーない、出して来るよ。」
 しぶしぶ、いや、不満げに千春はお盆に皿を乗せ運ぶ。

「神様が身近に居すぎてチーちゃんの感覚がおかしくなってるねぇ。」
「いつもあんな感じだもの。」
「もっと敬わなきゃだめだよ?」
 文恵は春恵に言うと、春恵は微笑み答えた。

「私も女神よ?」
「・・・そうだったわ、はい、女神様、これも持って行ってちょうだい。」
「うわっ!神様使ってる!」
「はいはい、早く持って行きな。」
「はぁ~い。」
 母娘の後ろ姿を見ながら文恵は微笑んだ。




 
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