【R18】恋におかわりございませんか?

もちもちしっぽ

文字の大きさ
3 / 14
すべてが変わる誕生日

淫魔の子※

しおりを挟む
「あなたの望む通りに――」

 耳に馴染んだゼノの穏やかな声がして初めて、セシリアは唇が自由になったことに気づいた。
 途端に、熱が引くように冷静さが蘇る。とんでもないことをしたのだと恐ろしくなったセシリアは、引き掴んでいたゼノの衣服を離した。

「お嬢様。まだ終わっていません」

 顎を引かれ、ゼノの真剣な眼差しと視線がかち合った。身をよじるも、壁とゼノの体に挟まれて逃げ場がない。

「やっ……待って。違うの、わたし……。どうして、ゼノ? どうして急に、こんなことをするの?」
「……これが、わたしの使命だからです」

 ゼノはセシリアを壁に押し付けたまま、いつもより強張った声で話し始めた。

「これはいずれ、ダンテ様がお嬢様にお話しするつもりでいらしたことです。それが叶わず、もしもお嬢様の身に変化が訪れた時、速やかに対処できるよう、わたしが遣わされました」
「体に……変化? 対処……?」
「お嬢様。あなたのお母上リリス様は……性的興奮から得られる快感、あるいは他者の精力を魔力の源に生きる魔族――淫魔なのです」

 愕然としたのは一瞬で、あまりの突拍子のなさに、セシリアは思わず吹き出してしまった。
 しかし、ゼノの眼差しは真剣そのもので、少しの気の緩みも引っ込んでしまう。

「ダンテ様は勇者と魔王との死闘から十年が経った後、リリス様と出会い、遺恨を越えて恋に落ちたそうです。そして、お嬢様がお生まれになりました」
「そんなことって……ありえないわ! だって、お父さんは人間に悪さをする魔族を退けた英雄の一人で……、お母さんは……旅の詩人だったって……」
「ダンテ様のお立場を思えば、口を閉ざして当然のことでしょう。戦友のアンリさんにさえ秘されているのですから、まして実の娘に真実を語るのは、英雄といえども勇気が足りなかったのでしょう」

 セシリアは無意識に、首を横に振り続けた。ゼノの言葉を締め出すように、両手が耳に伸びる。
 するとゼノはその手を掴んで、耳を塞ぐことを許さなかった。

「これまでは、リリス様の魔力の結晶である首飾りで、お嬢様の淫魔としてのさがは抑え込まれてきました。しかし――手放されたでしょう。よりによって、こんな月の満ちた夜に……」
「あ……」

 月の満ち欠けは、身のうちに眠る魔力を波打たせると言われる。首飾りを身につけず、魔力の潮流に無防備に曝されたことで、セシリアの本性が開花した。魔力を渇望する本能が、猛烈な空腹感を覚えさせ、性衝動を無自覚に暴走させたのだ。

「……全部、嘘に決まってるわ。そうよ、ゼノも酔っているのね?」
「お嬢様、わたしは真剣に――」
「もう、よして。聞きたくない!」

 セシリアはゼノの手を振りほどき、自宅のほうへ駆け出した。早く帰って、首飾りを取り戻さなければと思う一心で、足はいつもの数倍早く動いた。



 ・٭☾·̩͙⋆★·̩͙✧‬‪*・٭☾·̩͙⋆★·̩͙✧‬‪*・٭☾·̩͙⋆★·̩͙✧‬‪*・٭☾·̩͙⋆★·̩͙✧



 帰宅すると、マオはまだぐっすり眠っていて、拳も握られたままだった。
 セシリアは、もう一度首飾りさえ身につければ、すべてが元に戻るような気がしていた。唇に残るゼノの体温や、体のうちにこもった熱っぽさも――夢から醒めるように消えるものだと望んだ。

 だが、小さな拳を前に急に恐ろしくなる。
 首飾りを手にして元に戻るのなら、自分が淫魔であることを認めなければならないのではないか……。

 無垢な少年の寝息だけが、静かな夜に木霊する。まだ柔らかそうな喉元を通う呼気は、規則的に吐き出され、小さな唇は鮮やかに血色を取り戻していた。
 その潤んだ唇が、赤々としたイチイの実のようで、セシリアの喉がごくん――と鳴った。
 いかにも生命力に満ちた、瑞々しい生き物を前に、空腹が再び腹の奥を苛む。

 衝動を抑えられず、セシリアはマオのかたわらに身を乗り出す。
 頭の片隅では、警鐘も鳴っていた。いたいけな子供にこんなことをしてはいけない。イチイの種には毒があるのだ、と――。
 それでも、喉が渇いて、腹の奥がしくしくと痛んで耐えがたかった。自分ではどうすることもできず、祈るような思いでいると、小さなため息が背後でした。
 いつの間にか扉のそばにゼノが立っていて、呆れたように笑っている。

「そのような子供にまで欲情しておいて、まだご自身が、ただの娘だと言えますか?」
「違う……お酒のせいよ」
「出自を受け入れるのが、それほど嫌ですか? わたしなら、酒が入ると見境なく異性を欲するような、だらしのない人間性と認めるほうが苦痛ですが」

 床に膝をついてうなだれるセシリアを、ゼノは背中から抱きしめた。

「お嬢様は一度、その食欲をしっかりと落ち着かせたほうがよさそうですね。そうでないと、今のあなたは誰彼かまわず襲いかねません。それは、ダンテ様が最もお望みでないことです」
「そんなこと……しないわ」

 憤ったわりに、小さなつぶやきにしかならない。
 ゼノはセシリアの顎に手を添えると、そっと反らせて視線を捕らえた。

「……そんな物欲しそうな顔で言っても、説得力がありませんよ」
「してないっ……んっ!」

 また、口を塞がれて、セシリアは言葉を失った。

「んぅ……っ」

 いくら気心知れた仲とは言え、ゼノに唇を許した覚えはない。それなのに、ずっと待っていたような充足感と、安堵すら覚え、セシリアの体からは抗う力が抜けていく。
 床に崩れそうになるのを、背中から回されたゼノの腕が許さなかった。

 強く抱きしめられると、背が反って胸を突き出すような格好になってしまう。大きく開いた胸元が急に頼りなく感じられて、セシリアは咄嗟に衣服をかき合わせた。
 しかし、ゼノはそれを簡単に払いのけると、胸元の紐を解き、緩んだ衣服の隙間から手を滑り込ませた。胸の輪郭を確かめるように撫でる手はほんの少し冷たく、セシリアのうぶな肌を粟立たせる。

「ひゃ……ぃやぁ……」

 柔らかな膨らみは、ゼノの手に包まれて、しっとりと汗ばみ始める。揉みしだかれるくすぐったさから逃れようにも、肌と手のひらがぴたりと吸い付き、離れない。
 時々、指先で胸の頂きを摘まれると、はしたなく甘い声がこぼれるのを、セシリアは抑えられなかった。

「ゃっ……あっ、ん……!」
「哀れなガードゥは今夜、この胸にかぶりつく夢でも見ることでしょう」
「いや……そんなこと、言わないで」
「それとも、お嬢様は……彼のほうが良かったですか?」
「え――?」

 ゼノの冥色の瞳に、セシリアは自分の姿を見つける。まだ、いとけなさを残した目をしばたたかせる間に、答えは口づけで奪われた。

「申し訳ございません。あなたが自分の意志で、欲しいと思える相手に出会うまで――わたしで我慢してください」
「な、何を言って……ッ……ンッ……や、待って!」

 スカートの裾から滑り込んだ手は、さらに下着の奥にまで忍び込む。裂け目をなぞり蜜口を探り当てると、とろりとこぼれる愛液を指先に掬い上げた。
 それを塗り込むように、指は秘唇を丁寧に上下に撫でる。淫靡な水音が下腹から這い上がり、セシリアは息さえまともにできなかった。

「だ、め……恋人でもないのに、こんなこと……だめなの……」
「お嬢様。これはです。生きるために必要な行為で、はしたないことではありません。さぁ、しっかり味わって」
「やぁ……っ、そこ、だめ! ゼノ、手を止めて!」

 秘唇の上のほうに、小ぶりだが紅く熟れて、ぷっくりと主張する花芽がある。裂け目を這って滑る指が、時々それを摘まむように震わせると、セシリアの体は大きく跳ねた。

「ここがよろしいんですね?」
「ちが……だめ、だめっ……なにか、へんっ、なの。おかしく、なっちゃうからぁ……あぁっ!」

 指先で潰すように、花芽をこねくられ、蜜口からはとめどなく秘液が滴る。ぬるりと滑った指が、剥き出しになった花芯をひと撫でした瞬間、セシリアの口から声にならない嬌声が漏れた。
 下腹にわだかまった熱が弾けるとともに、首の後ろから背筋を、強烈な痺れと甘い疼きが駆け抜ける。
 一瞬にして強張った体は、二つ三つ痙攣して、ゆるやかに脱力した。

しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

世間知らずな山ごもり薬師は、××な騎士団長の性癖淫愛から逃げ出せない

二位関りをん
恋愛
平民薬師・クララは国境沿いの深い山奥で暮らしながら、魔法薬の研究に没頭している。招集が下れば山を下りて麓にある病院や娼館で診察補助をしたりしているが、世間知らずなのに変わりはない。 ある日、山の中で倒れている男性を発見。彼はなんと騎士団長・レイルドで女嫌いの噂を持つ人物だった。 当然女嫌いの噂なんて知らないクララは良心に従い彼を助け、治療を施す。 だが、レイルドには隠している秘密……性癖があった。 ――君の××××、触らせてもらえないだろうか?

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

旦那様の愛が重い

おきょう
恋愛
マリーナの旦那様は愛情表現がはげしい。 毎朝毎晩「愛してる」と耳元でささやき、隣にいれば腰を抱き寄せてくる。 他人は大切にされていて羨ましいと言うけれど、マリーナには怖いばかり。 甘いばかりの言葉も、優しい視線も、どうにも嘘くさいと思ってしまう。 本心の分からない人の心を、一体どうやって信じればいいのだろう。

ヤンデレにデレてみた

果桃しろくろ
恋愛
母が、ヤンデレな義父と再婚した。 もれなく、ヤンデレな義弟がついてきた。

コワモテ軍人な旦那様は彼女にゾッコンなのです~新婚若奥様はいきなり大ピンチ~

3月5日コミカライズ配信♡二階堂まや
恋愛
政治家の令嬢イリーナは社交界の《白薔薇》と称される程の美貌を持ち、不自由無く華やかな生活を送っていた。 彼女は王立陸軍大尉ディートハルトに一目惚れするものの、国内で政治家と軍人は長年対立していた。加えて軍人は質実剛健を良しとしており、彼女の趣味嗜好とはまるで正反対であった。 そのためイリーナは華やかな生活を手放すことを決め、ディートハルトと無事に夫婦として結ばれる。 幸せな結婚生活を謳歌していたものの、ある日彼女は兄と弟から夜会に参加して欲しいと頼まれる。 そして夜会終了後、ディートハルトに華美な装いをしているところを見られてしまって……?

日常的に罠にかかるうさぎが、とうとう逃げられない罠に絡め取られるお話

下菊みこと
恋愛
ヤンデレっていうほど病んでないけど、機を見て主人公を捕獲する彼。 そんな彼に見事に捕まる主人公。 そんなお話です。 ムーンライトノベルズ様でも投稿しています。

完結【強引な略奪婚】冷徹な次期帝は、婚姻間近の姫を夜ごと甘く溶かす

小木楓
恋愛
完結しました✨ タグ&あらすじ変更しました。 略奪された大納言家の香子を待っていたのは、冷徹な次期帝による「狂愛」という名の支配でした。 「泣け、香子。お前をこれほど乱せるのは、世界で私だけだ」 「お前はまだ誰のものでもないな? ならば、私のものだ」 大納言家の姫・香子には、心通わせる穏やかな婚約者がいた。 しかし、そのささやかな幸福は、冷徹と噂される次期帝・彰仁(あきひと)に見初められたことで一変する。 強引な勅命により略奪され、後宮という名の檻に閉じ込められた香子。 夜ごとの契りで身体を繋がれ、元婚約者への想いすら「不義」として塗り潰されていく。 恐怖に震える香子だったが、閉ざされた寝所で待っていたのは、想像を絶するほど重く、激しい寵愛で……? 「痛くはしない。……お前が私のことしか考えられなくなるまで、何度でも教え込もう」 逃げ場のない愛に心が絡め取られていく中、彰仁は香子を守るため、「ある残酷な嘘」を用いて彼女を試す。 それは、愛するがゆえに彼女を嫉妬と絶望で壊し、「帝なしでは息もできない」状態へ作り変えるための、狂気じみた遊戯だった。 「一生、私の腕の中で溺れていろ」 守るために壊し、愛するために縛る。 冷酷な仮面の下に隠された、 一途で異常な執着を知った時、香子の心もまた甘い猛毒に溶かされていく――。 ★最後は極上のハッピーエンドです。 ※AI画像を使用しています。

公爵様、甘やかしが過剰です!

星乃和花
恋愛
王都の花屋で働くリネットは、ある日偶然、公爵アルベルトの目に留まる。 それ以来、公爵家からの注文、送迎、差し入れ、特別扱い――なぜか彼に甘やかされる日々が始まってしまった。 美貌も地位も権力も持つ完璧な公爵様は、社交界では鮮やかに無双するのに、リネットにだけは驚くほど優しい。 「君がいい」と真っ直ぐに想いを伝えられ、おろおろしながらも少しずつ惹かれていくリネット。 身分差に戸惑い、怖さに立ち止まりながらも、花屋の娘は公爵様の隣へ踏み出していく。 甘々溺愛・じれきゅんたっぷりの身分差ラブコメ。 ♢こんな"好き"をお持ちの方へ • 強くて余裕のあるヒーローが好き • 溺愛ものが好き • ヒロインがわたわたするラブコメが好き • 安心して読める甘い話が好き • 「周囲公認」の恋愛が好き ♢毎日21時30分更新ー全8話+後日談

処理中です...