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四章 リタイの町

第六十五話・宿屋に行く前に

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「ふふ。良い情報をありがとうね、ミュミュ!早速そのギルド
御用達っていう宿屋に行ってみるとするよ♪」

「おぉぉ~い、そこのサイドテールのお嬢さぁぁ~ん!俺も一応、
太鼓判を押したんですけどぉぉぉお~っ!」

「ドすけべマッチョは黙ってろやっ!」

「―――ド、ドすけべマッチョッ!?」

ミュミュにしか感謝を述べないルコールに、ギルマスが愚痴をこぼすと、
威圧の込った口調で煩いと一括されてしまう。

「はは...すまないな、ギルマス。俺のとばっちりが飛んでしまったな♪」

......ん?

そもそもの言い出しっぺはこのギルマスなんだから、こいつの 
自業自得なのか?

でも町の情報が豊富満載なギルマスの隠れ家か。

くうぅぅぅ!是が非にも行ってみたかったぜぇぇぇぇえっ!!

「おやん?レンヤさん、またキミから疚しいオーラを感じるんですけど?
気のせいですかな?」

「あははは...き、気のせいだって、気のせいっ!」

ルコールのジト目に、俺はニガ笑いをこぼしつつ、目線を下にずらすと、

「おっと、そうだった!ミュミュにこいつを渡すのを忘れてたよ!」

先程クエストボードから剥がした一枚の依頼書を手に持っていた事に
気が付き、それをミュミュに手渡した。

「これは...クエストの依頼書ですか?」

手に受け取った紙をミュミュが目を通すと、それが依頼書だと確認する。

「ああ。今日はもう無理そうだけど、まだ期限があるみたいだったからさ。
他の冒険者にこの依頼書を取られる前に、取り敢えず受理だけを済ませて
おこうと思ってね!」

「なるほど、そういう事ですか!わかりました。では明日までに
この依頼書を受理しておきますね!」

ミュミュがニコッと微笑むと、受け取った依頼書を受理予定箱へ
丁寧に仕舞い込んだ。

「ありがとう、ミュミュ。じゃあ、俺達はそろそろ行くね♪」

「はい。お疲れ様でした、レンヤ様、ルコール様。また明日お会い
しましょう!」

レンヤとルコールがさよならの挨拶をしてギルドを後にすると、
ミュミュはその二人に向かって微笑み頭を小さくペコッと下げた。





「さてっと...ギルドの薦める宿屋がある方向って、こっちの道で
良いんだったよな?」

俺がギルドで見た、今日泊まる宿屋の記載されていた場所へ顔を
向けていると...

「ねぇ、ねぇ、レンヤ!宿屋に行く前にさ、この先の方にある
屋台通りで何か間食をしていかない?」

ルコールがお日様の様なキラキラな笑顔で、俺にそう聞いてくる。

「屋台通り?」

「うん!このリタイの町はね、美味しい食べ物を売る屋台の並ぶ、
屋台通りが有名なんだよ!」

「へぇ..美味しい食べ物か......ゴクリ!」

このルコールがお日様の笑顔で語る屋台通りというものに、
俺は一体どんな美味しい物があるんだろうと、ちょっと......いや、
かなりの期待が膨らんでくる。

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