転生少女は自由気ままに今世を楽しむ

紅 蓮也

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第一章 カルディナ王国編

第12話 アルテミス、新たな神獣と出会う

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 不貞腐れていた私を宥めるように話をされ、お父様とお母様の思いを知ることができ、両親の愛情を感じていた。

「バァン!!」

 またモフモフとイリスの毛並みを堪能することに集中していると窓に勢い良く何かがぶつかる音がした。

「なんだ!」

「私が見てくる」

「危険があるかもしれないから私が行くよ」

「大丈夫ですよ。お父様。イリスに着いてきてもらいますから」

 そう言って、外に出て様子を見に行くと窓がある真下の地面に赤い鳥が落ちていた。

 動かないし、窓にぶっかった衝撃で死んじゃったのかな?

(フェニックスじゃない)

(イリス。この鳥さん知っているの?)

(まあね。私と同じ神獣だからね)

(この赤い鳥さんも神獣なんだ)

(死んじゃっているの?)

(このフェニックスは、死んでないよ。窓にぶつかって気を失っているだけだろう。
 それにフェニックスは不死鳥とも言われているからね。力尽きても火の中に放り込めば復活わよ)

 気を失っているだけか。でも怪我をしているかもしれないから家の中に連れていって手当てとかしてあげよう。

 それよりお母様に治癒魔法で治してもらった方がいいかな。

 私も治癒魔法使えるけど、神獣を治療したことはないから私より治癒魔法のエキスパートであるお母様に任せた方がいいよね。

(そうなんだ。でも怪我をしているかもしれないから家の中に連れて行った方がいいね)

(怪我をしていも火を与えやれば治るわよ。
 アルテミス。魔法で火を出して、フェニックスに与えてみたらいいわ。そうしたら怪我をしていれば治るし、意識も戻るでしょう)

(わかった。やってみる)

 私は、人差し指を立て、指先に魔力を集中させ、火魔法で火を出し、フェニックスの口に持っていった。

「これを食べて元気になってね」

 火を口にしたフェニックスがピクッと動いた。
 そして羽を広げ羽ばたき、私の肩に留まった。

(君が助けてくれたんだね。ありがとう)

(フェニックスさん。気がついたんだ……良かった。
 痛いところとかない?)

(大丈夫だよ。もうどこも痛くない)

(とりあえず、私の家の中に一緒にきてくれないかな。お父様とお母様に説明しないといけないから)

(わかった。何処にでも何時までも着いていくよ)

 うん。何時までも着いてこなくていいんだけどね。
 お父様とお母様に説明したら好きなところに行って構わないんだよ。

 折角、出会えたので仲良くなりたい気持ちもあるけど、フェニックスにも都合があるだろうからね。

 そう思いながら私は、フェニックスを肩に乗せたまま、イリスと一緒に家の中に戻った。

「アルテミス。戻ってきたか。窓にぶつかったのは……わぁ~!!」

「何を騒いでいるのよ。カエサル。わぁ~!!」

 キッチンで料理をしていて、お父様がいきなり叫んだので、注意しながらキッチンから顔を出したお母様もお父様と同じく叫んだ。

 そして二人は私の前で両膝を着き、手をついて頭を下げた。

「?」

 なになに!!何で両親は叫んだあと、私向かって頭を垂れているだ?
 いつもこんなことすることはないから……私の肩に留まっているフェニックスの所為なのかな?

「「フェニックス様。お久しぶりです」」

 やっぱりフェニックスが原因だったようだ。

(久しぶりだね。カエサル、マリア)

「はい。私たちが国を出て以来でございますね。
 なぜ、フェニックス様がこちらに来られたのですか?」

 お父様とお母様の態度やフェニックスと意志疎通ができるってことは、ハイエルフやエルフにとって特別な存在だったりすのかな?

 気になるけど、とりあえず話が終わるまで成り行きを見ていよう。


(そうだね。二人も国の事が気になるだろうから話しておくね。
 君の弟で、国王になったレミエル、王妃となったミカエルは、立派に国王、王妃としてやっているし、一人息子のラファエルが先月生まれたんだよ。
 二人の娘であるアルカディアもレミエルとミカエルから愛情をたっぷり受けて元気に育っているし、弟ができて喜んでいて、ラファエルを凄く可愛がっているよ。
 それからもうすぐで双子の下の者を殺すという愚かな風習も廃止されそうだよ)

 私の双子の姉であるアルカディア姉様は、私の存在を知りませんからね。姉弟ができて嬉しいんでしょうね。

 お父様とお母様が国王、王妃を退いてまで、私を助けるために国を出た原因となった風習が廃止されることになりそうなのか。

 いずれはと思っていたけど、大分早く廃止となりそうで嬉しいな。
 これで、お父様もお母様も生まれ故郷である国に戻れるし、私も姉様に会うことができる。

 でも廃止が決定したらカルディナ王国を離れることになるのか。

 六年間暮らしてきた家がある国だし、最近、知り合った人々もいるので、嬉しい気持ちもあるけど、寂しい気持ちも同じくらいある。
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