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第3章 仕事編

079 化粧品、液体石鹸と保湿クリーム

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#079 化粧品、液体石鹸と保湿クリーム

 部屋に帰って頭の中で化粧品について色々と思い出そうと考えていると、目の前に一枚の紙が降ってきた。

『奥殿にどうぞ』

 これはあれかな?化粧品について話があるってことかな?急に言って対応してくれるか分からないけど頼んでみるか。




「ようこそいらっしゃいました」

 ニコニコと聖女様が迎えてくれた。使者を出したら大丈夫だと言われたので来たのだが、まさか聖女様が直接対応してくれるとは思ってなかった。

「女神様とお会いするのですよね?ええ、もちろんお邪魔はしませんとも。そんな不敬を働いたら聖女失格です」

 本当かなぁ?なんか前も話に自分の事が出て来なかったか気にしてたし。もしかしてこれは何か聞いてあげた方が良いんだろうか?

「奥殿でしたね。こちらへどうぞ。あそこへは私か司教様しか案内できませんのでついてきてください」

 やっぱり奥殿っていうくらいだから格の高い人しか入れないんだな。

「こちらです、どうぞ」

 前も案内された部屋の前まで連れて来られる。

「何か女神様に伝言でもありますか?」

 なんか悪いので一応聞いておく。

「私ごときが女神様に声を届けるなど恐れ多い事です。女神様のなさる事に物申すのも同じ事。私からは何もありません」

 そう言いながらも何か言いたそうにしてるんだよなぁ。

 まぁこれからも何度かくるだろうし、言いたくなったら言うだろう。無理やり聞く様なもんじゃないしね。


 部屋に入り、神像の前に跪く。





 視界が切り替わり、目の前には天照さんが。後ろで跪いているのはリスモット様か?

「お呼びして申し訳ありません。創造神様よりジン様の日本からの取り寄せに関して任されました。なんでも化粧品がご入用だとか。
 ああ、もちろん創造神様なら最高の化粧品を作られるのも可能です。ですが今回のお話は日本からの輸入という事で私に回ってきました。一番商品を把握していますので。
 それでどんな化粧品をご要望でしょうか?」

「えっと、公爵家のリリアーナさんをご存知ですか?」

「ええ、ジン様がお住まいになられている屋敷の主人ですね。最近は寝不足が続いて肌が荒れ気味なのを気にされている様ですね」

 そこまで知ってるのか。

「そのリリアーナさんの肌に良い化粧品をと思ったのですが」

「ふむ、それなら洗顔フォームから始めた方が良いかもしれませんね」

「洗顔フォームですか?」

「ええ、この世界では油を下地にするので化粧を落とす時も完全に落としきれません。なので古い油が残ってしまうのです。それを改善するだけでも肌の調子は変わってきますよ。
 リリアーナさんの使っている油であれば日本の普通の石鹸でも落ちますよ。ただ、夜にも塗ってるのはやめた方がいいですね。代わりに保湿クリームとかを使った方がいいかと思います」

 な、なるほど。よく分からないけど、この世界の化粧の仕方が悪いのは分かった。

「ですので石鹸、よりも液体石鹸の方がいいですかね。それと保湿クリームでいかがでしょうか?ある程度はだが整ってないと上に塗る化粧品もノリが悪くて逆に変になってしまいますし」

 天照さん博識だな。いきなり化粧品の相談されて即答とは。

「化粧品は太古の時代から女性の情熱を集めた物です。私たち神の目から見ても長い年月の研鑽の賜物ですよ。戦争の道具なんかよりも遥かに注目しています」

 あれ、戦争の道具?ってまさか拳銃とか買えたりしないよね?

「拳銃ですか。値段的には買えないこともないですが、日本の法律的に手に入れるのは難しい物ですのでやめた方がいいかと。一応ジン様が向こうでネットショッピングなどで購入したという体で進めますので」

 良かったのか悪かったのか。まあ戦争する気はないからいいんだけど。俺が戦争に出る様になったら既に負けが決まってるよね?

「化粧品って高いんですよね?」

「まあそれなりにはしますが、液体石鹸や保湿クリーム程度なら大した金額じゃありませんよ。それこそ子供が日常に使ってる程度のものです」

「そうですか。ならそれをお願いしますね」

「かしこまりました」

「他に何かありますか?私ではこの世界の神ではありませんのでリスモットが呼び出す事になります。その関係上奥殿からしか話ができませんので、一度で済むならその方が良いかと。
 あ、もちろんこれ、と指定されるのであれば創造神様がご用意されるとお思います。ですが、日本の商品の細かいことは私に回されますので、奥殿経由でお願いします」

 ああそうか。天照さんは向こうの世界の女神様だったな。それで後ろにリスモット様が控えてるのか。確かリスモット様が下級神で天照様が上級神だっけ。

「無い様ですので、何かありましたらご希望ください。基本的に創造神様が対応されるとは思いますが、商品の細かい話になると私の方で相談させていただきますので」

「手間をかけさせてすいませんがよろしくお願いします」

 そのまま奥殿に戻った。

 あ、リスモット様に聖女様の話聞き忘れたな。どういう印象を持ってるかだけでも聞いておこうかと思ってたんだけど。



「終わりましたか?!女神様は私のことを何か仰っていませんでしたか?」

 やっぱり気にしてんじゃん。

「いえ、今回は俺の個人的な話でしたので。今度聞いておきましょうか?」

「良いのですか?いえ、私ごときがこちらからお聞きするなど不敬です。せっかくの申し出ですが諦めます。残念です」

 諦めるとか残念とか言ってるし!ちゃんと今度聞いとくから。


ーーーー

「ふむ、女性の化粧品ですか。私は化粧などした事がありませんが、私もした方が良いのでしょうか?ジンさんはどんな化粧がお好みでしょうかね」








ーーーー
作者は化粧品に詳しくありません。なのでこの小説ではそういう物だと思って読んでください。
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