もう1人の自分は召喚獣でもないただのカフェオレだった件

じゅうや

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2.異なる世界へ

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 「……どこだよ、ここ…」

目が覚めると見たことない景色。辺りは木々に包まれており、おそらく森林の中だろう。

「日本…ではなさそうだな…」

とりあえず、周りを散策しようと立ち上がる。そこで気づいた。俺は今…

「全裸かよ」

そう、身ぐるみ全部剥がされた浮浪者、と言っても過言ではない姿だった。もしもこの格好で人と出会ったら間違いなく通報される案件だ。決して露出狂の趣味はないからな。

とりあえず身体のあちこちが硬くなってる気がしたので腕を上に伸ばす。そのまま身体をよく伸ばして軽くストレッチ。そこで俺は右肩の違和感に気づいた。
全裸のはずなのに、右肩のほうには何かが乗ってるような感じがした。

「外で全裸ストレッチとかお前どんな趣味だよ…ってか…」

…!?声!?

どこからか声がした…!まずい、隠れないと!

「いやいや心配すんな人はいねえよ」

なんだ…脳に直接、というよりは耳元?に話しかけられてるような気がする…

「気がするんじゃなくて、お前の右肩から絶賛コミュニケーション取ろうと試みてる物体ありますけどー」

…そんなことがあっていいのか?いやだって…これは…俺は、恐る恐る右のほうを向く…。

「よう、さっきぶりだな俺はこんな姿だけど」
「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙オバケぇぇぇぇぇ」
「うっっるせえなぁぁ!耳元で叫ぶなぁ!」
「コップが喋ってるぅぅぅぅ!この!離れろ!気色悪い!」
「いやすまん…俺ら離れらないんだわ」
「なんだよ、最初からそう言えよ」
「いや急に冷静?さっきまでのパニックどこいった?今度のは中々癖が強いな…」

さっきからという言葉に違和感がするので直接聞いてみる。

「なあコップ野郎、まさかだけどお前喫茶店のマスター?」
「…!お前、記憶あるのか…。あぁ、マスターやってた。そして俺は…もう1人のだ。」

…なんてこった。衝撃のあまり空いた口が塞がらない。この世にもう1人の自分と遭遇するなんて…。

「しかももう1人の俺コーヒーカップかよ…」
「中身は俺らの好きなカフェオレだぞ」
「いやなんでこぼれねえんだよカフェオレ」
「あーそっか。とりあえず色々説明するからあの洞窟の中行くぞ」

 カフェオレの俺に指示された通り洞窟の中に入る。
暗闇で何も見えないので、壁の手触りを道しるべに進む。

「そこらへんで良いぞ、灯りを付ける」
「え、どうやって?」
「まあ、見てろ」

コーヒーカップの中から液体で作られた小さい人間が出てきた。

「…やっぱり。よし、この状態なら…」

出てきた人間は手を掲げ、丸いボール状の光を出した。すると、辺りは急に明るくなる。

「おお、すげえな…魔法か?」
「そうだ、光魔法の基礎…ライトだ。」
「…なんかお前の姿…ランプから出てきた妖精みたいだな」
「あー、たしかに、でもこれじゃねえと何も出来ないし、この状態維持するのも魔力消耗するんだよ」

なんて燃費の悪い姿だ。もっと別のものに、それよりまさになぜ人間の姿にはならなかったのか。

「なんでその姿なんだよ?人間になりゃ良かったじゃん」
「まず、俺はお前を呼ぶために禁術を使った。その禁術の代償として召喚する際に使った代物にしかなれないってのがあるんだ。だからこの姿にしかなれなかった」
「なるほど」
「そして、人間には…なれねえ。」
「なんでだ?」
「まあお前の世界で言うなら、ドッペルゲンガーってやつだ。この世界じゃ同じ姿の人間は存在出来ねえ。禁術を使った大罪を問われるからな。」
「じゃあ俺らって大罪人で共犯者?」
「まあ、そういうことになる」

冷静な顔でなんつー事言い出すんだこいつ。しかし、ここまでパニック状態だったが俺の中で何かが吹っ切れてきた。ここまでぶっ飛んでると1周回って楽しくなってくる。この世界なら就活もしなくていいし。

「ふぅ~!退屈しねえな俺ってやつは」
「なんだおまえ…こんなめちゃくちゃな話聞かされたらマトモじゃいられないだろ…」

気持ち悪い物を見る目で俺のほうを見てくるカフェオレの妖精(俺)。そもそもここまで俺を連れてきたお前にも原因あるだろ…。

「まあ、とりあえずお前も魔法使えるってことは俺もなんか使えるんだろ?ほら、よくあるじゃん、異世界転生したら最強だった~的な」 「使えない」

え?

俺の言葉を遮るように、彼は言い放ったのだ。

「もう1回言うぞ、お前に魔法は使えない。」

なにを言ってるんだこいつは…?さっきこいつは、明るくするのにも魔法を使った。ということはこの世界で魔法はある意味デフォルトなのだろう。

しかし。

俺にはそのデフォルトとされている魔法が使えないと、なんとも残酷な現実を見せてきたのだ。

「これ通りに読んで、魔法出してみろ。そしたら分かる」

差し出された用紙を受け取り、読む。

「我が心の奥に眠る、熱き魂よ。具現せんとするその姿はまさに、太陽の欠片。プロメテウス」

すると、俺の全身に苦痛が走った。

「あがっ!!なんっ!だっ!これぇ!!」

痛い痛い痛い痛い痛い痛い死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ。

「こうなるのか…。しかたねえ…ヒアリング。」

俺の中の無限に繰り広げられる苦痛はすぐに無くなった。呼吸を整える。

「な?分かったろ。お前はお前で禁術の代償で魔法が使えなくなってるんだ」
「はぁ…はぁ…。ちなみに、治す方法は?」
「ない」
「だよなー」

魔法が使えないとなると、俺はこの先どうやって生き延びればいいんだ?狩りをするにしても剣術や弓術は必須のはずだ。それらをどこかで学ぶしかないのか?

「心配すんな、魔法は俺に任せろ」

彼はそう言い洞窟の出口のほうに向く。

「プロメテウス・ハイエンド」
「え?」

瞬間、辺りを含め前方が局地的な爆発。

「うわぁぁぁぁやべえって…あれ?」
「大丈夫だ、バリア張ってある上に浮くぞ」
「おおおお、なんだこれ!?うおおおおお!」

彼の掛け声と共に上空に飛ぶ。そして先程の爆発が起きた場所を真上から見るが…

「な、なんだこれ…お前が、やったのか?」
「まあな」
「…いやマジモンのランプの魔人やんけ」
「コーヒーカップの魔人、ふむ、いいなそれも」


洞窟があった場所を含む辺り一面は…巨大なクレーターとなっていたのだ。
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