3 / 6
3.大罪人
しおりを挟む「そいえばなんでさっき詠唱みたいなの無しで呪文唱えてたんだ?」
「いちから説明すると長いから簡単に言うと、こっちの世界だと俺は第五賢者っていう序列があって、その中の1番強い賢者が俺だからだ」
「じゃあ俺の存在いる?」
「訳あって相棒いないとダメになっちまったんだ…だから呼んだ」
何気無い会話をしているが、俺たちは今…
…空を飛んでいる。
もちろん、カフェオレの魔人こともう1人の俺の力で飛んでいる。
「相棒にはこれから魔法無しで強くなってもらわないといけない。そのための準備がある」
「これから俺らの大冒険が始まるってわけだな」
「訂正しとくと最初のうちはひたすらに逃げるだけだけどな」
魔人姿の彼は、走るジェスチャーで俺に言葉をかけてくる。おそらく彼が言ったことは、俺らの存在がすでに大罪人という追われる身になってしまった、ということだろう。
「まあさっき言った通り俺が禁術を使ったせいで管理局の連中らはもう俺らを追いかけてきてると思う。それと相棒1つ言っておきたいんだが」
「なんだ?」
カフェオレの液体から水鏡を作り、俺の方へ向けてきた。鏡に映し出された俺の姿は…
…金髪の少年だったのだ。
「顔は幼い頃の俺…だが…。いやそんなまさか…」
「そのまさかだ…相棒はこっちの世界の俺の姿になっちまったんだ」
「…つまり俺は街とかでも素性を出せなくなったのか」
「そういうことだ。しかも今の相棒は魔法が使えない上に剣や弓などを使えないから、まともに戦えない」
「強くてニューゲーム…てわけにはいかないか…人生ハードモードも悪くねえな」
下手をこいたら死んでしまうかもしれないこの聞き的状況なのに、俺はなぜかワクワクしてしまってる。俺達の冒険はこれから始まることに期待感を抱いてしまってるせいで、感覚が麻痺してしまってるのだろう。
「そろそろあの街に降りるから飛行魔法を解除するぞ」
「え?」
「街に入る時に空飛んで入場なんてしたら1発でバレる。この魔法使える奴は限られてるからな」
そういった直後、上から重りを乗せられたかのように身体がぐんと、落ちていく。勢いのあまり、声にならない声が出る。
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!しぬぅぅぅぅぅ!」
「ひゅぅぅぅぅ!そっちの世界で言うジェットコースターみたいだなぁ!相棒ぉ!!」
「ぞんなごどいっでるばぁいじゃねええええええ」
俺達は無事、池に落ちたのであった。
0
あなたにおすすめの小説
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
悪役令嬢、休職致します
碧井 汐桜香
ファンタジー
そのキツい目つきと高飛車な言動から悪役令嬢として中傷されるサーシャ・ツンドール公爵令嬢。王太子殿下の婚約者候補として、他の婚約者候補の妨害をするように父に言われて、実行しているのも一因だろう。
しかし、ある日突然身体が動かなくなり、母のいる領地で療養することに。
作中、主人公が精神を病む描写があります。ご注意ください。
作品内に登場する医療行為や病気、治療などは創作です。作者は医療従事者ではありません。実際の症状や治療に関する判断は、必ず医師など専門家にご相談ください。
婚約破棄? 私、この国の守護神ですが。
國樹田 樹
恋愛
王宮の舞踏会場にて婚約破棄を宣言された公爵令嬢・メリザンド=デラクロワ。
声高に断罪を叫ぶ王太子を前に、彼女は余裕の笑みを湛えていた。
愚かな男―――否、愚かな人間に、女神は鉄槌を下す。
古の盟約に縛られた一人の『女性』を巡る、悲恋と未来のお話。
よくある感じのざまぁ物語です。
ふんわり設定。ゆるーくお読みください。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる