もう1人の自分は召喚獣でもないただのカフェオレだった件

じゅうや

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3.大罪人

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「そいえばなんでさっき詠唱みたいなの無しで呪文唱えてたんだ?」
「いちから説明すると長いから簡単に言うと、こっちの世界だと俺は第五賢者っていう序列があって、その中の1番強い賢者が俺だからだ」
「じゃあ俺の存在いる?」
「訳あって相棒いないとダメになっちまったんだ…だから呼んだ」

 何気無い会話をしているが、俺たちは今…


…空を飛んでいる。

もちろん、カフェオレの魔人こともう1人の俺の力で飛んでいる。

「相棒にはこれから魔法無しで強くなってもらわないといけない。そのための準備がある」
「これから俺らの大冒険が始まるってわけだな」
「訂正しとくと最初のうちはひたすらに逃げるだけだけどな」

魔人姿の彼は、走るジェスチャーで俺に言葉をかけてくる。おそらく彼が言ったことは、俺らの存在がすでに大罪人という追われる身になってしまった、ということだろう。

「まあさっき言った通り俺が禁術を使ったせいで管理局の連中らはもう俺らを追いかけてきてると思う。それと相棒1つ言っておきたいんだが」
「なんだ?」

 カフェオレの液体から水鏡を作り、俺の方へ向けてきた。鏡に映し出された俺の姿は…


…金髪の少年だったのだ。

「顔は幼い頃の俺…だが…。いやそんなまさか…」
「そのまさかだ…相棒はこっちの世界のの姿になっちまったんだ」
「…つまり俺は街とかでも素性を出せなくなったのか」
「そういうことだ。しかも今の相棒は魔法が使えない上に剣や弓などを使えないから、まともに戦えない」
「強くてニューゲーム…てわけにはいかないか…人生ハードモードも悪くねえな」

下手をこいたら死んでしまうかもしれないこの聞き的状況なのに、俺はなぜかワクワクしてしまってる。俺達の冒険はこれから始まることに期待感を抱いてしまってるせいで、感覚が麻痺してしまってるのだろう。

「そろそろあの街に降りるから飛行魔法を解除するぞ」
「え?」
「街に入る時に空飛んで入場なんてしたら1発でバレる。この魔法使える奴は限られてるからな」

そういった直後、上から重りを乗せられたかのように身体がぐんと、落ちていく。勢いのあまり、声にならない声が出る。

「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!しぬぅぅぅぅぅ!」
「ひゅぅぅぅぅ!そっちの世界で言うジェットコースターみたいだなぁ!相棒ぉ!!」
「ぞんなごどいっでるばぁいじゃねええええええ」

俺達は無事、池に落ちたのであった。
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