もう1人の自分は召喚獣でもないただのカフェオレだった件

じゅうや

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4. サトルの力

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 「おまえ魔人なら服とか錬成できないの?」
「錬金術師じゃないから無理だな」

池に落ちたせいでびしょ濡れになってしまった。こんな状態で待に入ってしまったら怪しまれるのでなんとか服になれそうな布を探しているが…

「森林の中に布があるとは思えねえけどな」
「まあ透明化の魔法なら使えるぞ」
「なんだよ早く言えよそれを」
「魔力消耗激しいから今使ったら、しばらく相棒は1人で乗り越えなきゃだぞ」

カフェオレの魔人はなにやら編み物のような遊びをしながら水滴を俺にぶつけてきた。

「やっぱりタイムリミットみたいなのがあるのか」
「このカフェオレの液体が無くなったら魔力貯めなきゃいけねえなら相棒の心の中に引きこもるぞ」
「ならアドバイスとかできるのか」
「そんなポジティブに捉えることじゃないからな、俺がいなきゃ今の相棒はすぐに死ぬ」

こいつはいちいち喋りながらジェスチャーしてくるので、まるで俺が全てを理解するのに苦労してる人っぽく捉えられてる気がして少々苛立ちを覚えてしまう。

「…!まずい相棒、1回この茂みに隠れろ」

言われた通りに茂みに身を隠す。すると遠くから男たちの声がする。

「たしかにこの池に何かが落ちたんだよ」
「そうですか、たしかに…うん?隊長!足跡が」

まずい、靴を脱いだから土に跡が残ってしまってたか…!

「ふむ、人の足だな…あまり大きくないから年齢はそこまでいってない人物と見よう」
「どうしますか?例の奴だとしたら戦力的に抑えらない気がしますが…」
「いま出動してるやつらを全員ここに集めろ、そう遠くまでいってないはずだ。リンドール街周辺にも警備を置け」

男たちの会話を聞き、自分の鼓動が早くなってるのを感じる。じりじりと、それでいて確実に俺の体温は上がってきて、額には汗が滲んでいた。どうする?俺は、どうやって逃げれば…。

『そう焦んなって相棒』

脳に直接声がした。右肩のカップを見ると魔人の姿はない。

 『魔力探知されないようにもう心の中に入った。とりあえず街のほうは危ねぇから、西の方に逃げるぞ』
『逃げるって言ったってこの状況じゃ、 足音でバレちまうぞ!』
『機を見て走るしかねえ』
『……』

しばらくすると、兵隊らしき男たちは街の方に戻って行った。今がチャンスだ。そう思い俺は、すぐに走り出した。

『よし、この方向を真っ直ぐに走れ相棒!』

俺は、ただひたすらに、逃げることのみを考えて走り続けた。足場は悪く、時折なにかを踏んではつまづきそうになるが、アドレナリンが出過ぎている今は、痛みを感じない。

『なんか相棒…走れメロンみたいだな』
『メロスな!!』

こんな状況だと言うのにカフェオレの魔人は、俺の中にいても余裕な口ぶりで俺をからかってくる。

 ふと俺は走っていることに違和感を抱く。その違和感の正体は自分でも分かっていた。だが、こんなに気持ち良く走れることに喜びを感じていて、その違和感すらもどうでもよくなっていたのだ。

『相棒まずいぞ、兵隊が追いかけてきてる!』

心の中の魔人がなにかを叫んでいるが今の俺には届かなかった。走ることに夢中になっていたので周りの音が全て、シャットアウトされていた。

『…?相棒?聞こえてないのか?それに…どういうことだ?この速さ…』


そうか…俺は…のか…!!


この身体なら!!


『なるほど…相棒の力は…』


彼が走った後の道は風の力により、綺麗な平地となっていた。今のサトルは、風を纏って走っているのだ。


『禁術を使ったってのに…神に愛されたか…相棒っ!!』


 幼い頃の林道悟は、陸上競技のジュニアオリンピック選手だった。将来有望だと言われていた彼だったが、不慮の事故により選手生命を失ったのだ。その実績がこの世界ではステータスとして、彼の身体に…「神速」の力として宿ったのだった。

『そのまま突っ走れ!!相棒!!』
『おう!!』

今の俺には…もう1人のオレと…足がある!!
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