もう1人の自分は召喚獣でもないただのカフェオレだった件

じゅうや

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5. 改名

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 走り続けて約15分。徐々にスピードは落ちていったとは言え、元の身体とは違い、もう一人の俺の身体のスタミナは底が深かった。

 さすが異世界パワー。しかし、まさか俺の足の速さがステータスとして引き継がれていたというのは嬉しいことだ。今の俺は雑魚キャラ一匹倒せるかどうかも心配な戦力なので、設定さんには助かったぜ。

「相棒、見えてきただろ?あれはシロップ村だ」
「おう、もう着くのか」
「相棒の足が速すぎたんだぜ」

 褒められるのには慣れていなかったので、とりあえず頷いておいた。最初のうちは風が巻き起こるほどの異常なスピードで走っていたので服はとっくに乾いていた。とはいえ…

「さすがにこんなボロボロな服で入るのはキツイな」
「とりあえずマントあるからこれを纏え」
「あるなら早く言えよ」
「走ってる間に作ったんだよ」
「いやすげえなおい」

 錬金術は使えないみたいな事言ってなかったっけ?この短時間でどうやって作ったんだよ…。

 走りを辞め、歩きながらマントを羽織る。これなら冒険者っぽいから怪しまれなさそうだが…この顔だ。手配書などで素性が割れてたら1発でアウトだ。慎重にいこう。

「心配いらねえよこの村は」
「なんでだ?」
「俺の故郷だからな」

 まさか故郷の人たちもこんな大賢者になって終いには魔人になってるとは思わんだろうな…。まあ今は俺がその張本人だから誰も気づかないだろうけど。

 村の中に入ると思ってたより栄えている場所に行ってだった。人はそこまで多くはないが、個々が活気に溢れているので村全体が明るい。なんだか楽しそうな村だ。

「んお?あんちゃんもしかして…ちょっと面貸しな」
「え?ちょっ」

通りすがりの大男にフードを外されてしまった。まずい素性が…

「トルーじゃねえか!……いや、雰囲気が違ぇ。ってことはぁ…なるほどな、あいつの言ったことは本当だったのか…」
「なんか納得したのか?」
「お前さん、トルーじゃないだろ?とりあえず村長の所連れてくぜ」

 トルー、というのはおそらくもう一人の俺ことカフェオレの魔人の本名だろう。てか悟とトルーってほぼ一緒じゃねえか名前。ありきたりすぎるだろ。なんかもっとすげえ先祖の家名とか付いてんのかと思ってたわ。大男の案内により、この村で1番デカい建物へとやってきた。言うなれば小さな宮殿のような、ここだけ雰囲気が他の家と違うのだ。

「さあ、中に入ってくれ」
「失礼します…」

 就活でもないのに思わずこの言葉が出てしまい、入ってからも一礼をしてしまった。そうだもんな。ここに来る前は面接受けてたからな。まだまだ身に染み付いてるもんだよな。

「お主がトルーの言ってた…召喚者だな?」
「え、あ、はい。そんな感じです」

 もっと年老いてるのかと思ったら以外とそうでもなかった。年齢的に言えば40代後半といったところだろうか。顔はコワモテで、ガタイがいいので体育教師みたいで、とても強そうな人だ。

「私はこのシロップ村の村長をやっているラテール・ハイエンドだ」

うん?ハイエンドってどっかで聞いたな…

「俺の名前は…サトルです。よろしくお願いします。」
「サトル…そうか。ならばその名前は封印しろ」
「え?なぜですか?」
「この世界では認識されない名前だからだ」

ええ…そういうのあるの~?親から貰った名前否定されちゃったよ俺…。

「改名にはなんか儀式とかありますか?」
「今からやる、そこに座れ」

準備早っ!

「あ、はい…」

俺は魔法陣のようなとこに座りじっとする。すると周りから青い光が生じ、やがて俺の身体も青い光で照らされていく。すぐにその光は1つの塊になり、俺の心臓へと入り込む。

ドクンと。

なにかが与えられたような感覚がした。

「終わったぞ。これからお主の名前は…」

ゴクリ……

「シン・モカーテだ」
「シン…モカーテ…」

モカーテってなんやねん。家名かなんか?それにしてもカッコよくないし強くなさそうな家名だな…。

『モカーテ……』

 俺の中でカフェオレの魔人がモカーテという名前になにか引っかかっているらしい。

「シン!これからよろしく頼むぞ」
「は、はい!ありがとうございます!」

 …シン。良い響きだな…。
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