かたつむり

ラムネ

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 町が静けさを取り戻してゆく午後八時。

 俺と反町は傘に隠れて二度目のキスをした。

 ファーストキスは俺的にどうしてもノーカンに出来なかったから、きっちり二度目。

 今度は偶然の事故じゃなく、必然的に同意の元で重なったキスだ。

 化石化した恋心。

 アンモナイトが、かたつむりのようにゆっくり動き始める。

 それは鈍臭い俺達に似合いの比喩だと我ながら思う。


「あのー。雨上がってますよー?あとここ一応、職場の目の前ですよー?」
 体がびっくうっと跳ね上がった。心臓も跳ね上がった。振り向くと垂水くんが美しい顔で困ったように微笑んでいた。
「反町さん」
「えっ!知り合い?」
「ビニール傘にこんなにデカデカと名前書く人初めて見ました。弦楽器の調べのコントラバスの人ですよね。土曜日、楽しみにしてます」
「来てくださるんですね。お待ちしてます」
 反町とがっちり握手を交わした垂水くんは、夜なのにとても爽やかに軽やかに、駅方面へと去って行った。



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