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さようなら日本

吉井冬樹の休日

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吉井冬樹の朝は早い。
日課のパトロール兼ランニングを済ませてシャワーを浴びたら一日が始まる。
今日は日曜日、久々の休みだ…
社会人一年目の四月はやはり忙しかった。
公務員とはいえ覚える事も多く、土曜日は休めなかったのだ。

「定時帰りで完全週休二日だと思ってたのに…」

自分の部屋に戻って窓を開け、三好家の庭を眺める…

「今年はゆっくり桜を眺める暇もなかったな…」

冬樹は庭でせっせと洗濯物を干す有紀をぼんやり見ていた。

晃子さんがこの世を去って二週間…
俺たち家族も有紀たちも覚悟はしていた。
最後に俺が見舞いに行った日に、晃子さんは言ったんだ。

「可愛い孫が四人もいて幸せだったのよ、冬くんあの子達をよろしくね」

そう笑ってあの人は旅立つた。

「敬子さん大丈夫かな…」

葬儀の時は気丈にふるまってはいたが、晃子を失って平気な筈はない。
冬樹は世界で一番大事な人を思う…

あれは冬樹七歳の春…
学校から帰ると家に女神と天使がいた。
女神は晃子さんの娘だった。

「冬樹くんね、フユくんて呼んでいい?この子はアキ、仲良くしてね。」

女神は声も美しかった。
冬樹は一瞬で恋に落ちたのだ…
春斗のハルそしてアキとフユ、これは運命だと。
2年後の夏に妹が産まれて、夏美と名付けられた時は震えたな…

あの日から冬樹の最優先はいつも敬子だ。
あの笑顔を守る為に冬樹は生きている。

晃子さん、あの家と敬子さんは、俺が守るから…

冬樹は未来の息子(仮)がシーツを干すのを見ながら天国の晃子に誓った。

「敬子さんまだ寝てるかな…疲れた…敬子さんが足りない…そうだアップルパイだ」

冬樹は今日も敬子の好きなアップルパイを焼く。
敬子の笑顔の為に…














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