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第4.5章 スライムを飼う?

第43話 観察日記1

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今俺の目の前では、テイロを筆頭に家の建設が行われている。

理由はドラゴンの肉を使うからだ。以前普通に作った料理でさえあれだけの人が集まった。ドラゴンの肉を使えばもうどうなるか想像つく。宿屋の人たちにも迷惑がかかるため、女将さんからも了承を得て街のすぐ外で家を建て、そこで赤ちゃんスライムを観察するつもりだ。

その赤ちゃんスライムといえば、今俺の手のひらでスヤスヤと寝ている。生まれたばかりの時はキョロキョロとしていたが、そこは赤ちゃん、疲れてしまったのだろう。他のスライムは全員成体(?)で生まれてきてたから、赤ちゃんがどういうのかわからない。そのため家が出来次第色々と試していくつもりだ。

しばらくすると、目の前には立派な家ができていた。一階建てだが、かなり丈夫にできている。テイロに話を聞くに『木の表面は俺らの溶解液を塗り、火や寒さにも強く、ちょっとの衝撃ではビクともしないようにしてあります。』と職人のように伝えてくれた。丈夫じゃないと赤ちゃんスライムに影響が出るかもしれないし、そこは流石といったところ。

家の中に入りまずは、

 「アクア、このぐらいの水槽作ってくれないかな?」

 「キュー♪」

アクアに少し大きめの水槽を作ってもらう。赤ちゃんスライムを観察するためだ。小さすぎるため、どこかに落ちてしまっては探すのが大変だ。

 「ありがとうアクア。それじゃあここに入ってもらうから落ちないようにね。」

赤ちゃんスライムを水槽の中に入れる。入れると、キョロキョロと横に動くが、間も無く隅っこによる。近くにリーンに作ってもらった小さい布団を敷く。すると、寝床と認識したのか赤ちゃんスライムはぴょんと布団の上に乗ってすやすやと眠る。

 「結構寝るな。まだ赤ちゃんだからかな。こっちはこっちで作業を始めるか。」

まずは食性を調べていく。飲み物として通常の水とアクアの水、ただの水で作った紅茶とアクアの水を使った紅茶を用意する。それぞれを小さな器に入れて水槽の中に入れる。

まずはただの水を入れる。すやすやと寝て何も気づかない。

次にアクアの水を入れる。

 !?

入れた途端に赤ちゃんスライムは器の方にぴょんぴょんと今まで見せたことのない速さで駆け寄りちゃぷんと体ごと器に入れて飲み始める。

 「体全体で飲んでる?まだ器用なことができないのか?他のみんなは誕生したばかりから腕を伸ばして口元に持って飲んでたしな。」

アクアも最初はうまく飲めてなかったが、こんな体では飲まなかった。まだ知能は低いのか?飲み終わって満足したのか布団にゆっくりと戻ってまたすやすやと寝始める。

続いてただの紅茶を入れる。これもさっきと同じ反応で何もしない。次にアクアの紅茶を入れる。これにはしっかりと反応してまたごくごくと体で飲む。飲み終わるとただの紅茶に反応して体を器に入れる。しかしちょっと飲んだだけで、残したまま布団に戻る。濡れたままで布団が少し湿った。

 「味は感じるのかな?ただの水は手つけてないし。魔力に過剰に反応するな。」

そうと決まれば次は食事だ。肉だが、よくあるオーク肉と、魔力の満ちているドラゴンの肉を用意する。共に同じ味付けのステーキにする。

野菜も、俺が前に倒れていた時になぜか栽培していた野菜とふつうの野菜を使って検証していく。これも魔力の違いだけで、味はほとんど変わらない。

そうだ、鑑定しておこうかな。赤ちゃんだし多分鑑定できるよね?

名前:???
種族:エンジェルスライム
年齢:0日
レベル:5
スキル:無し
称号:無し

あれ?全然ないな。まだ生まれたばかりで発展してないのかな。称号もない。まだ向こうは俺を主人とは認識してないようだ。エンジェルスライムか、白いからなのか?ジーさんに聞けばわかるかな?


~~~~~~~~

 「よし、完成だ。それじゃあアクア達は配膳を頼むね。俺は赤ちゃんスライムを連れてくる。」

 「キュー!」

アクアは腕をシュバッと上にあげてミニスライム達に指示を出していく。

 「そういえばまだ名前決めてなかったな。」

いつまでも赤ちゃんスライムは呼びにくいかな。
うーーん。考えている間も赤ちゃんスライムはすやすやと熟睡中だ。餅みたいになって動かない。
 
 「本当によく寝てるな。」

触ってみても全く反応がない。よく見ると少し透き通って見える。餅みたいだしお菓子みたいにも見える。

 「そうだ!!」

ひょいと持ち上げる。すると、赤ちゃんスライムは何が起きた?とキョロキョロする。そして俺の方を向く。

 「今日から君の名前はマロだ。マシュマロみたいだからだよ。」

今まで反応が薄かった赤ちゃんスライム、もといマロだが、名前をつけると、俺の方に向きながら手のひらの上で嬉しそうにぴょんぴょんと跳ねる。

 「それじゃあ、ご飯食べるよ。」

 「きゅー、」

おお、初めて鳴き声を出した。そんな成長のようなものを感じながら食卓の方に向かう。

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