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「メロンパン、あんた好きだったよね?食べたくない?」
俺はこのスーパーで売っているチョコチップの練り込まれたメロンパンが大好物だった。
「食べたい」
俺は間髪入れずに答えた。
今からスーパーに戻って、メロンパンを買ってくれるんだろうか。チョコチップの濃い甘さを想像しただけでぐうきゅるると俺の腹が鳴いた。
母はその音を聞いて少し笑うと俺に言った。
「じゃあ、お母さんここで待ってるから取ってきなよ」
「俺、お金持ってない」
母はにっこり笑うと、しゃがみこんで俺に目線を合わせた。
「お母さんだってお金なんかないよ。だから、周りの人にばれないようにここまで持ってくるの。あんたのコートのポケット、大きいでしょ?ここに入れてくればいい」
「えっ、でもそれって泥棒…」
俺がそう言うと笑っていた母親の目が吊り上がった。
「あんたがお腹が空いた、お腹が空いたうるさいから連れてきてやったんでしょ。じゃあ、どうすんのよ」
母は持っていた小ぶりのハンドバックで俺の頭を思い切りはたいた。
「このままアパート帰る?言っておくけど、食べ物なんかないからね。分かってんのかよっ。もうお前みたいな馬鹿は一生何も食うなっ」
母は自分の言葉で余計興奮が増したらしく、俺の頭を何度もバックでがむしゃらに殴った。その度に俺の頭は振り子のように揺れた。
ついに俺は尻餅をついた。
「ごめんなさい」
これ以上殴られるのが嫌でそう言った。
「で、どうするつもり?」
母が腰に手を当て聞く。
「パン……盗ってくる」
「最初からそう言えばいいのよっ。手間かけさせやがって」
座りこんだ俺の頭をもう一度、母がはたいた。
俺は一人でスーパーに戻った。
きょろきょろと辺りを伺いながら、パンの売り場まで行くと、ごくりと唾を飲む。
盗って行かなきゃ、また母さんに殴られる。
俺は素早くメロンパンとジャムパンを両方のポケットに入れた。
走ってスーパーから出ると、母のところに急いだ。
パンを見せると母は満面の笑みを浮かべた。
俺はこのスーパーで売っているチョコチップの練り込まれたメロンパンが大好物だった。
「食べたい」
俺は間髪入れずに答えた。
今からスーパーに戻って、メロンパンを買ってくれるんだろうか。チョコチップの濃い甘さを想像しただけでぐうきゅるると俺の腹が鳴いた。
母はその音を聞いて少し笑うと俺に言った。
「じゃあ、お母さんここで待ってるから取ってきなよ」
「俺、お金持ってない」
母はにっこり笑うと、しゃがみこんで俺に目線を合わせた。
「お母さんだってお金なんかないよ。だから、周りの人にばれないようにここまで持ってくるの。あんたのコートのポケット、大きいでしょ?ここに入れてくればいい」
「えっ、でもそれって泥棒…」
俺がそう言うと笑っていた母親の目が吊り上がった。
「あんたがお腹が空いた、お腹が空いたうるさいから連れてきてやったんでしょ。じゃあ、どうすんのよ」
母は持っていた小ぶりのハンドバックで俺の頭を思い切りはたいた。
「このままアパート帰る?言っておくけど、食べ物なんかないからね。分かってんのかよっ。もうお前みたいな馬鹿は一生何も食うなっ」
母は自分の言葉で余計興奮が増したらしく、俺の頭を何度もバックでがむしゃらに殴った。その度に俺の頭は振り子のように揺れた。
ついに俺は尻餅をついた。
「ごめんなさい」
これ以上殴られるのが嫌でそう言った。
「で、どうするつもり?」
母が腰に手を当て聞く。
「パン……盗ってくる」
「最初からそう言えばいいのよっ。手間かけさせやがって」
座りこんだ俺の頭をもう一度、母がはたいた。
俺は一人でスーパーに戻った。
きょろきょろと辺りを伺いながら、パンの売り場まで行くと、ごくりと唾を飲む。
盗って行かなきゃ、また母さんに殴られる。
俺は素早くメロンパンとジャムパンを両方のポケットに入れた。
走ってスーパーから出ると、母のところに急いだ。
パンを見せると母は満面の笑みを浮かべた。
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