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京極さんの問いに俺は俯きながらぼそぼそと答えた。
「仲の良い同期の奴と飲んでたんですけど、せっかくそいつが俺のことを考えて色々アドバイスしてくれたのに、結果的に無視するようなことになっちゃって。相手のこと…怒らせてしまいました」
まさか貴方との付き合いを反対されていますとは言えず、俺は抽象的にそう言った。
京極さんは俺の言葉を聞くと、目線を上にあげながらネクタイを緩め、ポンポンと自分の膝を両手で叩いた。
「おいで」
俺は京極さんの首に両腕を巻きつけ、彼の膝の上に横に座った。
いつも通り京極さんの香水が漂い、規則的な心臓の音が聞こえると気持ちが落ち着く。
「野々原はいい友達をもったな」
京極さんがぽつりとそう言った。
俺がどういう意味だと顔をあげると、京極さんが俺にふっと微笑んだ。
「大人になると、仲の良い友達でもぶつかるのが面倒になって間違ってると思っても何となく相槌をうったり、争いを避けようとしちまう。だけどそいつは喧嘩になってもお前のためにアドバイスしてくれたんだろ?そんな友達なかなかいないと思うぜ」
確かに忍は俺のことを色々考えたうえで助言してくれたんだろう。今更ながらあの時、忍をそのまま帰したことが悔やまれた。
「でも俺、本気で怒らせちゃったから…」
俺がそう言って俯くと、京極さんがあやすように俺のこめかみにキスを落とした。
「そいつと友達やめたくないって思うなら、とことん話し合ってみろよ。その方が後悔も少ない」
「そうですかね」
俺が呟くように言うと京極さんがにっこりと笑った。
「おら、すぐ相手にメール。電話でもいいけどな」
「えっ、今ですか?」
「仕事でもタイミングを逃すなって俺がいつも言ってんだろ。ほらさっさとしろ」
「仲の良い同期の奴と飲んでたんですけど、せっかくそいつが俺のことを考えて色々アドバイスしてくれたのに、結果的に無視するようなことになっちゃって。相手のこと…怒らせてしまいました」
まさか貴方との付き合いを反対されていますとは言えず、俺は抽象的にそう言った。
京極さんは俺の言葉を聞くと、目線を上にあげながらネクタイを緩め、ポンポンと自分の膝を両手で叩いた。
「おいで」
俺は京極さんの首に両腕を巻きつけ、彼の膝の上に横に座った。
いつも通り京極さんの香水が漂い、規則的な心臓の音が聞こえると気持ちが落ち着く。
「野々原はいい友達をもったな」
京極さんがぽつりとそう言った。
俺がどういう意味だと顔をあげると、京極さんが俺にふっと微笑んだ。
「大人になると、仲の良い友達でもぶつかるのが面倒になって間違ってると思っても何となく相槌をうったり、争いを避けようとしちまう。だけどそいつは喧嘩になってもお前のためにアドバイスしてくれたんだろ?そんな友達なかなかいないと思うぜ」
確かに忍は俺のことを色々考えたうえで助言してくれたんだろう。今更ながらあの時、忍をそのまま帰したことが悔やまれた。
「でも俺、本気で怒らせちゃったから…」
俺がそう言って俯くと、京極さんがあやすように俺のこめかみにキスを落とした。
「そいつと友達やめたくないって思うなら、とことん話し合ってみろよ。その方が後悔も少ない」
「そうですかね」
俺が呟くように言うと京極さんがにっこりと笑った。
「おら、すぐ相手にメール。電話でもいいけどな」
「えっ、今ですか?」
「仕事でもタイミングを逃すなって俺がいつも言ってんだろ。ほらさっさとしろ」
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