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怜雄の帰宅予定時間まであと一時間。
テーブルの上には俺が腕によりをかけたちらし寿司、エビフライ、ハマグリのお吸い物などが並んでいた。
冷蔵庫には少し高めのワインが冷えているし、ケーキも甘さ控えめなビターチョコレートの物を買ってある。
それにこれ……。
俺は着ていたパーカーのポケットから指輪の箱を取り出した。
四年前の怜雄の誕生日、渡そうと思っていて結局渡せなかった物。
俺は箱をぎゅっと握り締め、もう一度ポケットに戻した。
今夜こそこれを渡せるはずだ。
しかしこうやって怜雄の好物が並んだ机の前で一人座っていると、嫌でもあの夜、一人ぼっちで待ち続けた怜雄の誕生日を思い出してしまう。
怜雄の帰宅までまだ時間はあったが、俺は落ち着かない気分になり、カードキーを手に取ると、スニーカーをつっかけ外に出た。
マンションの前で辺りを見渡すが、怜雄の姿は見えなかった。
当たり前かと思って、部屋に戻ろうとした時、マンション横の非常階段の傍で蹲る人影が見えた。
もしかして体調が悪いのかな。
俺は相手に近づくと声をかけた。
「あのどうかしましたか?」
俺の声に相手がびくりと体を震わせ、顔を上げる。
それは真昼ちゃんだった。
しかし俺の知っている真昼ちゃんとはだいぶ違った。
ふわふわの髪は、ほつれ、絡まり、まとまりがなかった。
俺を見上げる目は血走り、泣いていたのか目の周りはマスカラで真っ黒だった。
テーブルの上には俺が腕によりをかけたちらし寿司、エビフライ、ハマグリのお吸い物などが並んでいた。
冷蔵庫には少し高めのワインが冷えているし、ケーキも甘さ控えめなビターチョコレートの物を買ってある。
それにこれ……。
俺は着ていたパーカーのポケットから指輪の箱を取り出した。
四年前の怜雄の誕生日、渡そうと思っていて結局渡せなかった物。
俺は箱をぎゅっと握り締め、もう一度ポケットに戻した。
今夜こそこれを渡せるはずだ。
しかしこうやって怜雄の好物が並んだ机の前で一人座っていると、嫌でもあの夜、一人ぼっちで待ち続けた怜雄の誕生日を思い出してしまう。
怜雄の帰宅までまだ時間はあったが、俺は落ち着かない気分になり、カードキーを手に取ると、スニーカーをつっかけ外に出た。
マンションの前で辺りを見渡すが、怜雄の姿は見えなかった。
当たり前かと思って、部屋に戻ろうとした時、マンション横の非常階段の傍で蹲る人影が見えた。
もしかして体調が悪いのかな。
俺は相手に近づくと声をかけた。
「あのどうかしましたか?」
俺の声に相手がびくりと体を震わせ、顔を上げる。
それは真昼ちゃんだった。
しかし俺の知っている真昼ちゃんとはだいぶ違った。
ふわふわの髪は、ほつれ、絡まり、まとまりがなかった。
俺を見上げる目は血走り、泣いていたのか目の周りはマスカラで真っ黒だった。
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