小さな別れは、淡く儚い恋を呼ぶ

桐生桜月姫

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1 幼馴染の恋

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▫︎◇▫︎

 全ては中学1年生の春から始まった。

「あのね、あのね!」
「なーに?ゆーなちゃん」
「私ね、好きな人ができたの!!」

 ちょっとだけぽっちゃりしている優奈は、ボブの焦茶色のストレートな髪を揺らして下校中に小学校の頃からのお決まりの台詞セリフを、少女漫画で言うところの『きらきらした恋する乙女』の表情で言った。

「で?誰?」
「私とおんなじクラスの立花颯さまよ!!」

 きらきら輝く瞳を見るのは、中学校に来てからもう3回目だったはずだ。つまり、入学したての春の時点で、優奈はもう3人に振られているのだ。
 けれど、心菜は首を傾げるようにして人差し指を顎に当てて考え込んだ。何故なら今回の男の子のお名前は中学校に入学してから1度も聞いたことのないお名前だったからだ。
 ちなみに、最初の最初、つまり入学直後に振られた3人は学校内での超有名人で、王子と名高いイケメン軍団だ。今思えば、よくもまあそんな男たちに猛アタックに行ったものだ。心菜はそっと溜め息をついて、優奈との会話に専念することにした。今回ならば、幼馴染の恋が叶うかもしれないと思ったのだ。身の丈に合う恋ほど甘くて気楽なものはないと前に本で読んだことがある。

「立花颯さま?」
「そ!めちゃくちゃカッコいいの!顔がじゃなくて、性格が!!」
「あ、そ」

 心菜は『ほらやっぱり』と、心の中で言って、そっけなく返事をした。普通の一般的な生徒にはないは!!せめてにした方がいい。絶対にいい。

「えー!ここな冷たくなーい?というか、冷めてる!!」
「………そりゃあずっと、こっろころこっろころ変わる恋心と失恋のお話しを聞かされてたらねー」

 適当に返事をしていると、いつの間にか心菜の家の前に到着してしまっていた。いつもならば、このまま優奈としばらくおしゃべりにお花を咲かせるところだが、あいにく恋のお話はあまりお好みではない。心菜はひらりと優奈に手を振った。

「じゃあ、また明日。ゆーなちゃん」
「むう、………朝7時30分に迎えに来るね。ここな、ちゃんとお寝坊せんで起きといてよね」
「ん、頑張る」

 朝が苦手な心菜は苦笑しながらも、玄関の扉に手を置いた。

*******************

読んでいただきありがとうございます😊😊😊
次の更新は午後3時です。

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