小さな別れは、淡く儚い恋を呼ぶ

桐生桜月姫

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111 心菜はケンカップルを止める

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「お、高梨、おせーぞ!!」

 心菜と優奈の通う学校の近所にある公園にたどり着くと、唐突に後ろから声をかけられた。というよりも、叫ばれた。あまりの声量に首を肩をすくめて首を隠すと、優奈が心菜を守るような立ち位置に立った。後ろを振り返って見つけたのは、言わずもがな優奈の彼氏疑惑が浮上していた“大鷹おおたか 裕人ひろと”だった。
 心菜は泣きたい衝動に駆られながらも、親友の優奈の彼氏だからという理由で、2人のイチャイチャっぷりを観察しようとひょいっと優奈の後ろから2人のことを見つめた。だがそこで見られたのは、イチャイチャどころか、一色触発のとても気まずい雰囲気だった。

(これは巷で言う………、“ケンカップル”というやつなのかな………?)

 どこか見当違いのようにしか考えられないことを考えながら、心菜は次の場面がどうくるのか、少しだけわくわくとしていた。

「うっさい、大鷹!!ちょっとはそのふざけた喉を潰したらどうなの!?」
「潰したら話せなくなるだろーが!!ばーか!!」
「は!?誰が馬鹿だって!?」
「お前だよ。おーまーえ!!」
「ちょってそこに座れ!!」
「は!?そんなふうに言われて、大人しく座るわけねーだろ!?馬鹿なのか!?」
「また馬鹿って言ったっ!!」
「知るか、ばーか、ばーか!!」
「大鷹のあーほ、あーほ!!」

 お互いに胸ぐらをつかみ合って叫び合う姿に、心菜は自分の耳を塞ぎながら半泣きでそちらの方を見つめた。

(………………幼稚園児のどうしようもない不毛で低レベルな争い………)

 感想を抱いてしまったがゆえに申し訳なくなってしまい、心菜はずーんと項垂れる。

(“ケンカップル”って、現実だとあんまり面白くない。というか、怖い。怖い怖い怖い怖い怖い怖い………!!何あれ、もう殴る寸前じゃないの!?というか、止めないと………!!止めないと、怪我しちゃう!!)

 心菜はプルプル子鹿ちゃん状態の脚を叱責して、優奈と大鷹の方に向かう。

「も、もう、………や、やめ、やめようよ………!!」
(あぁー!!なんでこういう時に限って、ちゃんと声出ないのよ!!)

 床にうずくまってしまいたい衝動に駆られながら、心菜はケンカップル優奈&大鷹の仲裁を続けるのだった。

********************

読んでいただきありがとうございます😊😊😊

ストックがやばいので、更新止まる日があるかもです!!
本当に、ごめんなさい🙇‍♀️
更新が止まっていたら、『あぁ、桜咲間に合わなかったんだな』っていうことで、暖かく見守ってもらえると嬉しいです😃
以上、考えなし桜咲でした!!

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