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29 第10の作戦決行!!

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「ライアン、今日は魔法制御訓練です。基礎的なことですので、しっかりとこなしてみせてくださいましね?」

 わたくしは授業に向かう道の傍ら、ライアンに微笑みを浮かべたまま冷たく言った。第10の作戦、『魔法制御で馬鹿にしよう大作戦!!』を絶賛決行中と言っても過言ではないほどに、ぐずぐずに文句を言えていることだろう。

「はい、義姉上。義姉上の恥にならぬよう、しっかりと取り組みます」
「………………」

 最近の彼はわたくしの意地悪に全くもって無反応だ。それどころか、少し嬉しそうにしている節もある。気味が悪いとはまさにこのことだろう。
 訓練場に到着すると、そこにはもう教師が到着していた。もじゃもじゃな真っ白お髭にふわふらちりちりのこれまた真っ白ロングヘアー。

「ダンベル先生、お越しいただきありがとう存じますわ」
「いえいえ、向上心の高い生徒は嫌いではありませんから。それより、そちらがお嬢さまの弟君でいらっしゃいますか?」
「えぇ、こちらはわたくしの義弟ですわ」
「ライアンと申します。属性は氷です。よろしくお願いします」
「ご丁寧にありがとうございます。お坊っちゃま」

 ダンベル先生はそう言うと、早速授業を開始した。合理的な性格な先生は、無駄話を嫌う。いつも授業は授業で、一切の脱線がない。

「ーーーーー、それでは、魔力を制御してみてください。そうですねー、お嬢さまは出来るだけ小さな炎を、お坊っちゃまはできるだけ小さな氷を出現させてください。詠唱の有無はご自由にしてください。では、始め」

 わたくしはふーっと息を吐き出して心を水面のように狂いなく沈めると、ボワンと炎を出現させた。

(《『火焰ブレイズ』》)
「《『フリーズ』》」

 わたくしは無詠唱、ライアンは短縮詠唱でお互いの属性の最も簡単な魔法を出現させた。この試験はどれだけ小さく、そして魔力の多くこもったものを出現させられるかが採点のポイントだ。
 ………わたくしの出現させた魔法よりも、ライアンの出現させたものの方が圧倒的に小さく、魔力が凝縮されていた。わたくしのことですら滅多に褒めない先生ですら、爛々と目を輝かせている。それほどまでに、ライアンの出現させた氷はとても美しくて緻密で、そして、わたくしにとっては酷く残酷だった。

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読んでいただきありがとうございます😊😊😊

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