太陽は桜の花びらたちを忘れない
平成が幕を閉じ、時代は令和へ。スマートフォンが一層必需品となる世の中で、根拠のない情報に踊らされ、デジタル文字でのコミュニケーションが多くなり、対人と向き合うことが苦手になりつつある若者たち。今日もまた、スマートフォンの中の文字に翻弄され、人生を憂えている者がいる。主人公東条暁は就職が決まらないことに絶望を感じ、体裁ばかり気にする実母との確執に頭を悩ませていた。以前は、太平洋戦争を経験し、暁の相談に自身の経験を踏まえた的確なアドレスをする曾祖父に何でも話していた暁だが、曾祖父が2年前に老衰してからは、調べものや悩み事はほとんどスマートフォンに任せて解決していた。ある日、味方だと思っていたデジタル内の友人に相談をもちかけたところ、暁が求めていた回答とは異なる回答が届いた。その瞬間、突如日常から逃げ出したくなり、曾祖父の元へいこうと決意。自宅マンション8階から飛び降りてしまった。次に目を開けたときは「あの世」にいるはず、と思っていた暁。しかしマンションのすぐそばに植えてある大きな木がクッションとなり、一命をとりとめた。そして目を開けた暁の前に現れたのは、教科書でしか見たことのない服装、軍服を着た兵隊河野聡二郎であった。令和時代の暁は意識不明の重体。眠る暁に必死で声をかける母と友人。一方、暁の目の前に広がる世界は太平洋戦争時代ー。明日があるのが当たり前の現代に、死にたいと自らの命を投げ捨てた暁と、明日の命が保証されない生きたいけど国のために命を捧げなければならない聡二郎。彼らの命に対するそれぞれ気持ちがぶつかりあったとき、若者たちはどう考えるか。また、自ら命を絶とうとした娘を目の前に母はどう感じたか。
自由が許される現代日本人と自由が許されることのなかった過去の日本人を共存させ「命」に焦点をあてた衝撃ストーリー。
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