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第一章 2
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「この件は本部に報告し、この辺りの巡回も強化しよう」
再び馬の背に股がったアストリットは馬の首を城と反対の森の方へ向けた。少し馬を走らせたい気分だった。
巡回は、既にガースローが終えているはずだ。少しくらい遠回りをして帰っても構わないだろう。
王子殿下の、本来ならその身分であまり感心されない数々の所業は――お忍びで街を遊び歩くのもその一つだが――あまりにも有名だった。それには警護の騎士たちも城の側近も頭を悩ませていたが、それを見逃すようなところがあったのは、今日のような騒ぎがこれまでに一度もなかったからだ。
騒ぎを起こしたのは自分で無いにも関わらず、彼女は酒場での話を報告することを思うと、自然とその滑らかな眉間の間に皺を寄せずにいられなかった。
そしてさらに困ったことには、今朝の姉の詮索から続き、酒場の主人から聞かされたその名がアストリットの頭に渦巻いていた。職務でその名を聞くのとは明らかに違って胸を騒がす。その感情は、蓋をして心の奥に閉じ込めていたはずなのに無理矢理こじ開けられた感があった。
――ミカ・フォン・オールソン。
この名を頭から振り払わない限り、今日は仕事に集中出来る自信が彼女には無かった。
――姉上が、『心に秘めた殿方』などと言うから……
この寄り道で滞る職務があればそれは全て姉のせいだと、アストリットは自分に言い訳をした。
初夏の強い日差しが遮られた薄暗い森に入ると、木々のみずみずしい匂いを肺一杯に吸い込み、ほっと息をついた。それからアストリットは馬の腹に踵を入れ、森の奥に向かって馬車道を走らせた。幼い頃の記憶が蘇える。
第一王子との初対面はアストリットが七歳、ちょうど騎士団に入団したての頃だった。
まだ体に馴染まない軍服を着た幼いアストリットは、当時騎士団副指揮長だった父の供として王室の催す園遊会の護衛に付いていた。
供と言ってもまだ大したことが出来るわけではない。城内の厩舎で騎士たちの馬番をしているだけのお役目であった。
ちょうど父の愛馬スフィアがイライラと地面を搔き出したのに気が付き、彼女がその手綱を持ったときだった。
「それ、おまえの馬か」
肩越しに振り向けば、そこには紫紺の丈の長い上着と、白いズボンを履いた少年が立っていた。ブーツは今日足を入れたばかりのように濡れたような艶を放っている。透き通るような白い肌にブロンズ色の髪、目は雨上がりの空のような爽やかな青だ。薄い唇は子供らしく鮮やかな赤だった。一目見て上流階級の子供なのは瞭然だ。
「それ、おまえの馬か」
突然の訪問者を観察するのに気を取られ、返事をしないアストリットに少年は歳に似合わぬ苛立を露骨に見せた。
「あ、父の馬です。スフィアといいます」
体を少年に向け失礼の無いように努めながら答えを返した。
「おれに乗させろよ」
「そ……それは……」
突然の要求に、対応に困ったアストリットは手綱を持つ手に力を入れた。スフィアは馬の中でも特別賢い父自慢の芦毛である。賢すぎるので乗り手を選び、乗り手が初心者や慣れていない者とわかると、馬鹿にする素振りさえ見せる。たぶん、暴れはしないだろうがやはりこの”お坊ちゃま”をスフィアの背に乗せるのはあまりよい判断でないことは、幼いアストリットにもわかった。
「この馬は、だめです。乗り手を選びますから」
予想していなかった拒否の言葉に少年はややたじろいだようだったが、すぐに高慢さを取り戻し、小さな騎士に食って掛かった。
「おまえ、おれが馬に乗れないとでも思ってるのか。おれはもう十二だぞ。馬術は七歳から始めてるんだ。おれに乗れない馬など無い! 手綱をよこせ!」
詰め寄る相手に、アストリットは一歩退いた。自分よりも頭一つほど背の高い少年はそんな彼女をせせら笑うように見下ろした。
「おまえ、大体女のくせになんで騎士団の制服着てるんだ? そうか、おまえの父親が騎士団にいるんだな? うん、わかった。おまえがおれにその手綱をよこさなければ、おまえの父親を騎士団から追い出してもいいんだぜ?」
「そ、そんなことが!」
副指揮長の父をこの十二歳の少年の一言で辞めさせることなど出来るのだろうか。子供の考える嘘にしてもあまりにも度を超している。
「あっ……」
一瞬のわずかな隙をついて、少年は彼女の手から素早く手綱を奪い、馬の鞍に飛び乗ってしまった。
「よく見てろよ」
強い日差しを背に、逆光に黒い影となった少年を彼女は見上げた。少年は勢いよく馬の腹を蹴る。スフィアは驚いたように前足をあげたが、すぐに大人しく歩みを進めた。堂々と華麗に。
威勢良く走らせるつもりでいた少年に取ってそれは大人し過ぎたのかもしれない。何度も腹を蹴るが、スフィアは歩みの速度を上げようとはしなかった。そして、次に二人が予想もしなかったことが起こった。
やはりこの乗り手は自分の背に股がる者ではないと判断したのだろう。スフィアは突然、地面に四つ足を折って座り込んでしまったのだ。
こんな光景を目にしたのはアストリットも初めてだったし、きっと少年にも同じだったに違いない。彼は馬の背に股がったままどうしていいか当惑しているのは十分その背から読み取れた。
一瞬呆然としたアストリットだったが、はっと気がつくと少年に慌てて駆け寄り、その上着を掴み、必死に馬から下ろそうとした。そのときは少年がどんな身分かもすっかり忘れていた。
「何をしている! 早く下りるんだ! 馬が体を横たえたらどうする! 下敷きになるぞ!」
少年は呆気にとられてアストリットを見たまま動かない。どうやら彼のあまり素直でない性格がアストリットの言葉に従うのを躊躇っているようだった。
しかし、そんなことに構っていられない。本当に下敷きになったら子供の足の骨は折れてしまうかもしれないのだ。アストリットは力の限り少年を馬から引きずり下ろした。その拍子に少年は地面に叩き付けられるように転がり落ちた。その時、中庭に雷のような声が響いた。
「何をしている!!」
声の方に顔を向けると、父親が駆けつけてくるところだった。
「申し訳ございません、お怪我はございませんか」
ガレスは急いで少年を助け起こすと、上着の土埃を丁寧に払い落した。そして横に立つ娘に向き直るといきなり手を振り上げてその頬を力任せに打った。今度はアストリットが地面に叩き付けられる番だった。
「こんな無礼が王子殿下に許されると思っているのか!」
彼女は自分の耳を疑った。――王子殿下。
それなら父親を騎士団から追い出すことも可能なはずだ。アストリットは膝をつき、地面に目を落したまま王子の言葉を思い出していた。殴られた頬はずきずきと痛むのに、合点のいった胸の清々しさのほうが強かった。
「申し訳ございません……」
そのままの姿勢で王子を見上げ、許しを請う。いきなりの、幼い娘に対する父親の剣幕の前に、まるで王子自身が頬を張られたかのように少年はその場に立ち尽くしていた。そして、上着のポケットから白いハンカチを出し、無言でアストリットに差し出す。アストリットはその時初めて口に広がる血の味に気がついた。そして、それを受け取るか躊躇していると、父親の手が二人の間に割って入った。
「殿下、それはお治めください。勿体のうございます」
王子は何か言いたげにガレスを見上げたが、大人しくポケットにそれをしまった。
「おまえ、名はなんという」
拳で口元を拭りながら立ち上がったアストリットに王子は冷ややかに尋ねた。
「アストリット・ローゼナウと申します、王子殿下」
「アストリット・ローゼナウ……。おまえも騎士の一人なら、せいぜい帝国騎士団を名乗るに恥じぬ騎士になれ。おれは、おまえみたいな生意気な女が一番嫌いだ」
王子はそれだけ言うと、ふいと背を向けて中庭を去って行った。
アストリットは馬車道をそれ、木々の間を抜けて空き地を目指した。やがて泉が見えてくると馬を降り、手綱を引いて水を飲ませた。自分も隣で冷たい水で手と顔を洗う。水面に顎から落ちた水滴が波紋を広げる。それが消えて行くまでじっと見つめた。まるで自分の心が鎮まるのをその目で確かめるように。
再び馬の背に股がったアストリットは馬の首を城と反対の森の方へ向けた。少し馬を走らせたい気分だった。
巡回は、既にガースローが終えているはずだ。少しくらい遠回りをして帰っても構わないだろう。
王子殿下の、本来ならその身分であまり感心されない数々の所業は――お忍びで街を遊び歩くのもその一つだが――あまりにも有名だった。それには警護の騎士たちも城の側近も頭を悩ませていたが、それを見逃すようなところがあったのは、今日のような騒ぎがこれまでに一度もなかったからだ。
騒ぎを起こしたのは自分で無いにも関わらず、彼女は酒場での話を報告することを思うと、自然とその滑らかな眉間の間に皺を寄せずにいられなかった。
そしてさらに困ったことには、今朝の姉の詮索から続き、酒場の主人から聞かされたその名がアストリットの頭に渦巻いていた。職務でその名を聞くのとは明らかに違って胸を騒がす。その感情は、蓋をして心の奥に閉じ込めていたはずなのに無理矢理こじ開けられた感があった。
――ミカ・フォン・オールソン。
この名を頭から振り払わない限り、今日は仕事に集中出来る自信が彼女には無かった。
――姉上が、『心に秘めた殿方』などと言うから……
この寄り道で滞る職務があればそれは全て姉のせいだと、アストリットは自分に言い訳をした。
初夏の強い日差しが遮られた薄暗い森に入ると、木々のみずみずしい匂いを肺一杯に吸い込み、ほっと息をついた。それからアストリットは馬の腹に踵を入れ、森の奥に向かって馬車道を走らせた。幼い頃の記憶が蘇える。
第一王子との初対面はアストリットが七歳、ちょうど騎士団に入団したての頃だった。
まだ体に馴染まない軍服を着た幼いアストリットは、当時騎士団副指揮長だった父の供として王室の催す園遊会の護衛に付いていた。
供と言ってもまだ大したことが出来るわけではない。城内の厩舎で騎士たちの馬番をしているだけのお役目であった。
ちょうど父の愛馬スフィアがイライラと地面を搔き出したのに気が付き、彼女がその手綱を持ったときだった。
「それ、おまえの馬か」
肩越しに振り向けば、そこには紫紺の丈の長い上着と、白いズボンを履いた少年が立っていた。ブーツは今日足を入れたばかりのように濡れたような艶を放っている。透き通るような白い肌にブロンズ色の髪、目は雨上がりの空のような爽やかな青だ。薄い唇は子供らしく鮮やかな赤だった。一目見て上流階級の子供なのは瞭然だ。
「それ、おまえの馬か」
突然の訪問者を観察するのに気を取られ、返事をしないアストリットに少年は歳に似合わぬ苛立を露骨に見せた。
「あ、父の馬です。スフィアといいます」
体を少年に向け失礼の無いように努めながら答えを返した。
「おれに乗させろよ」
「そ……それは……」
突然の要求に、対応に困ったアストリットは手綱を持つ手に力を入れた。スフィアは馬の中でも特別賢い父自慢の芦毛である。賢すぎるので乗り手を選び、乗り手が初心者や慣れていない者とわかると、馬鹿にする素振りさえ見せる。たぶん、暴れはしないだろうがやはりこの”お坊ちゃま”をスフィアの背に乗せるのはあまりよい判断でないことは、幼いアストリットにもわかった。
「この馬は、だめです。乗り手を選びますから」
予想していなかった拒否の言葉に少年はややたじろいだようだったが、すぐに高慢さを取り戻し、小さな騎士に食って掛かった。
「おまえ、おれが馬に乗れないとでも思ってるのか。おれはもう十二だぞ。馬術は七歳から始めてるんだ。おれに乗れない馬など無い! 手綱をよこせ!」
詰め寄る相手に、アストリットは一歩退いた。自分よりも頭一つほど背の高い少年はそんな彼女をせせら笑うように見下ろした。
「おまえ、大体女のくせになんで騎士団の制服着てるんだ? そうか、おまえの父親が騎士団にいるんだな? うん、わかった。おまえがおれにその手綱をよこさなければ、おまえの父親を騎士団から追い出してもいいんだぜ?」
「そ、そんなことが!」
副指揮長の父をこの十二歳の少年の一言で辞めさせることなど出来るのだろうか。子供の考える嘘にしてもあまりにも度を超している。
「あっ……」
一瞬のわずかな隙をついて、少年は彼女の手から素早く手綱を奪い、馬の鞍に飛び乗ってしまった。
「よく見てろよ」
強い日差しを背に、逆光に黒い影となった少年を彼女は見上げた。少年は勢いよく馬の腹を蹴る。スフィアは驚いたように前足をあげたが、すぐに大人しく歩みを進めた。堂々と華麗に。
威勢良く走らせるつもりでいた少年に取ってそれは大人し過ぎたのかもしれない。何度も腹を蹴るが、スフィアは歩みの速度を上げようとはしなかった。そして、次に二人が予想もしなかったことが起こった。
やはりこの乗り手は自分の背に股がる者ではないと判断したのだろう。スフィアは突然、地面に四つ足を折って座り込んでしまったのだ。
こんな光景を目にしたのはアストリットも初めてだったし、きっと少年にも同じだったに違いない。彼は馬の背に股がったままどうしていいか当惑しているのは十分その背から読み取れた。
一瞬呆然としたアストリットだったが、はっと気がつくと少年に慌てて駆け寄り、その上着を掴み、必死に馬から下ろそうとした。そのときは少年がどんな身分かもすっかり忘れていた。
「何をしている! 早く下りるんだ! 馬が体を横たえたらどうする! 下敷きになるぞ!」
少年は呆気にとられてアストリットを見たまま動かない。どうやら彼のあまり素直でない性格がアストリットの言葉に従うのを躊躇っているようだった。
しかし、そんなことに構っていられない。本当に下敷きになったら子供の足の骨は折れてしまうかもしれないのだ。アストリットは力の限り少年を馬から引きずり下ろした。その拍子に少年は地面に叩き付けられるように転がり落ちた。その時、中庭に雷のような声が響いた。
「何をしている!!」
声の方に顔を向けると、父親が駆けつけてくるところだった。
「申し訳ございません、お怪我はございませんか」
ガレスは急いで少年を助け起こすと、上着の土埃を丁寧に払い落した。そして横に立つ娘に向き直るといきなり手を振り上げてその頬を力任せに打った。今度はアストリットが地面に叩き付けられる番だった。
「こんな無礼が王子殿下に許されると思っているのか!」
彼女は自分の耳を疑った。――王子殿下。
それなら父親を騎士団から追い出すことも可能なはずだ。アストリットは膝をつき、地面に目を落したまま王子の言葉を思い出していた。殴られた頬はずきずきと痛むのに、合点のいった胸の清々しさのほうが強かった。
「申し訳ございません……」
そのままの姿勢で王子を見上げ、許しを請う。いきなりの、幼い娘に対する父親の剣幕の前に、まるで王子自身が頬を張られたかのように少年はその場に立ち尽くしていた。そして、上着のポケットから白いハンカチを出し、無言でアストリットに差し出す。アストリットはその時初めて口に広がる血の味に気がついた。そして、それを受け取るか躊躇していると、父親の手が二人の間に割って入った。
「殿下、それはお治めください。勿体のうございます」
王子は何か言いたげにガレスを見上げたが、大人しくポケットにそれをしまった。
「おまえ、名はなんという」
拳で口元を拭りながら立ち上がったアストリットに王子は冷ややかに尋ねた。
「アストリット・ローゼナウと申します、王子殿下」
「アストリット・ローゼナウ……。おまえも騎士の一人なら、せいぜい帝国騎士団を名乗るに恥じぬ騎士になれ。おれは、おまえみたいな生意気な女が一番嫌いだ」
王子はそれだけ言うと、ふいと背を向けて中庭を去って行った。
アストリットは馬車道をそれ、木々の間を抜けて空き地を目指した。やがて泉が見えてくると馬を降り、手綱を引いて水を飲ませた。自分も隣で冷たい水で手と顔を洗う。水面に顎から落ちた水滴が波紋を広げる。それが消えて行くまでじっと見つめた。まるで自分の心が鎮まるのをその目で確かめるように。
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