かの騎士、王子殿下専属につき

久保 ちはろ

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第七章 2

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 昼食後、ミカと城を出てから何時間森を駆け回っただろう。
 それでも草の間に一匹のネズミの影さえも見ることが出来ず、その上降り出した霧雨にミカの機嫌が悪くなっているのは如実であった。雨に勢いはなくとも、時間が経てばマントもすっかり濡れてしまう。
「殿下、狩りはまた日を改めて……」
 後ろから馬を並ばせ、伺いを立てたアストリットをミカの言葉が遮る。
「大尉殿、そういえば私はおまえとまだ剣を交えたことは無いが、どうだろう、お相手願えないか」
「そ、それはもちろん……光栄でございます」
 とにかく、殿下はこの”退屈”と言う悪魔を無理矢理にでも追い払いたいのだな。彼女はそう受け取り、ミカに倣って馬を下りた。二人は担いでいた猟銃を馬の鞍に掛け、代わりにそこにかかっていた剣を取ると、適当な場所を見つけて距離を取って向かい合った。
「どこからでも仕掛けてくるがいい、大尉殿。手加減はしてくれるな」
「それではお言葉に甘えて」
 アストリットはミカに向かって地面を蹴った。
 雨で殿下のお体を冷やしてはならない。殿下には申し訳ないが、早く勝負をつけてしまおう。そう思っての先攻だった。 
 ミカは表情一つ変えずに相手の一撃をさらりと受け流すと、お返しとばかりに打ち返して来た。その容赦ない刃を弾き、女騎士は数歩退いて間を取った。
――お強い……!
 いくら名士から指導を受けているとはいえ、実践の経験がほとんど無い者の技量など知れている。そう高をくくっていたアストリットが気を引き締める間に、ミカの二の手が入った。それからは両者互角の剣さばきで打ち合いは続いた。勝負はどちらかが地面の窪みや石に足を取られるか、体力が尽きるまで続くだろうことはお互いに感じる所だった。
 受けては攻め、突いては躱すという二人の姿は、ぴったりと息が合い、そこに音楽が流れていれば、ダンスを踊っているようにも見えた。
 ガキン、と顔の前でミカの力強い刃を受ける。交わった剣の向こうで、蒼い目は闘いに興奮し輝いている。吐いた息に刃が曇った。暫し二人は何かを探るように見つめ合った。それも束の間、弾かれるように同時に後ろに退くと再び剣を叩き合う。
「さすがに大した腕だな、アストリット・ローゼナウ」
 剣先ではなく、ミカの言葉が心を乱した。
――アストリット・ローゼナウ?
 隙を突き、襲ったミカの剣を、寸でのところで打ち返す。
――たとえ実の娘じゃなくても……。
 フリーダの声が鼓膜に蘇る。思考が乱れ、視界が一瞬闇に包まれた。
 刹那、熱と、引きつれるような痛みが左腕に走った。
「ローゼナウ!」
 我に返ると、膝をついた自分の目の前に動揺を表したミカの顔があった。しっとりと濡れた髪が、細面の顔に張り付いている。――美しい。ぼんやりとアストリットは思った。それと同時に、ミカをとても遠くに感じた。
「どうした。急に剣を下ろすなど……死ぬ気か!」
 叱責の強い語調に、彼女は項垂れた。
「申し訳ございません……」
 それだけ言うのがやっとだった。
――私は殿下に仕えられるような人間ではない。どこの馬の骨ともわからないのだ。卑しい生まれということも十分あり得る……。
 アストリットが動かないでいるのを、自分への怯えと悟った彼は、声を和らげた。
「傷を見せてみろ。服が裂けている」
 言われて見ると、袖が肩よりやや下で斜めに裂けていた。黒い制服は、傷の深さも、血の量も隠してしまっている。 
「すぐそこに番小屋があります」
 傷口を手で抑えたアストリットが先を行き、やがて二人は粗末な小屋に入った。
 森番が仕事の合間に手軽に食事をしたり、休息をする質素な部屋は、長い間使われていないのか整頓されてはいるもののランプや家具にはうっすらと埃がかかっている。
 ミカは、狭い部屋の中央にあるテーブルの前で椅子を引いてアストリットを座らせると、自分も膝をあわせるようにして向かいに座った。
「大丈夫か? 傷を見せてみろ」
 アストリットが抑えていた手を放すと、その掌は血で汚れていた。
「自業自得です。傷は浅いですから、上から縛っておけばそのうち血は止まるでしょう……」
 彼女は素早く上着のポケットからハンカチを引き出す。その拍子に、フリーダからもらった小箱が飛び出し、床の上で固い音を立てた。二人の視線は脇に佇むそれに惹き付けられる。
 そして我に返ったアストリットが手を伸ばすよりも早く、ミカは小箱を拾い上げて蓋を開けた。中を確認し、その眉間に深い皺が刻まれる。
「なんだ、これは」
「それは……」
 なんと言えばいいのか。それは、私がアストリット・ローゼナウではないと証明するものです、か。
 唇を噛み、言い淀んでいるアストリットの前で、ミカは含み笑いに口元を歪ませた。
「なんだ、姉のところへ行くと言うのは嘘で、男に会っていたのだな。あいつだな。おまえの同僚とやら……アーシャか。付き合いが長いと言ったな。あいつはおまえに何を教えた。武術ばかりではあるまい。あいつはおまえの純潔を奪うまでの度胸まではなかったが、それなりにおまえの体を楽しんだのではないのか? あの男の前でおまえは嬉々として脚を開いたのか? 身体中を触れさせ、悩ましい声を聞かせたのか? この安物の首輪を受け取ったということは、あいつを受け入れたわけだな?」
 愕然と目を見張るアストリットの顔から視線を外さず、一息に言うと彼は木箱をテーブルの上に転がした。
 疑いがこれではっきりした。最近気になっていた妙に艶めかしい態度、目が追わずにいられない女らしい仕草、それらは全てあの男のためだったのだ。
「服を脱げ、大尉殿。傷を見ないとな。全て脱ぐのだ」
「えっ?」
 アストリットの唇は薄く開いたままだが、そこから言葉が継がれることは無かった。顔を伏せ気味に、その場でおもむろに立ち上がると上着のボタンを外し始めた。
 ミカも立つと、彼女の脱衣する一挙一動を見守りながら剣を外し、薄く埃の積もった椅子の上に置いた。マントを脱いで同じ椅子の背にかける。テーブルに寄りかかり、全裸になったアストリットを見下ろした。
 腕の傷の血はほとんど止まっていたが、抜けるような白い肌にそこだけ広がった濃く変色した血の色は痛々しい。彼は手袋を外してテーブルに置くと、その隣に置きっ放しにされていたハンカチを取り、傷を縛った。
「ここに体を伏せろ」 
 アストリットは言われるままに、ミカの指すテーブルの上に上体を折った。この恰好だと、全てが丸見えである。羞恥に体をほてらせると同時に、後ろから聞こえて来る衣擦れの微かな音を耳にすると、アストリットは固く目を閉じた。
「なんとも淑女にあられもない姿……ああ、おまえと”淑女”という言葉は程遠いものだったな。男と密会する女だ。もしかして、この小屋も逢い引きのために何度も使われたのではないか?」
 冷ややかなミカの声音に体の熱が一気に冷めるようだ。
「ち……、違います……」
「私は嘘は嫌いだ」
「嘘など……」
 いきなり腰が両手で掴まれ、脚の間に入った膝にそこを大きく割られた。その刹那、ミカの耳に組み敷いた女が息をのむのがはっきりと聞こえた。
 露になった尻に手をかけると、しっとりと肌が吸い付いた。尻の上の掌が体の震えを拾いながらぐっと両手で中心を開くと、無防備に晒された秘処が小屋に差し込む頼りない光に一層艶を放つ。屹立した己を襞の間に宛てがい、さらに体を割り込ませて細い腰を乱暴に引き寄せると、男根に絡み付く花弁を巻き込む勢いで一気に突き刺した。
「っ、くぅ……」
 アストリットが喉で鳴いた。
 陽根は滑らかに根元まで泉に沈んだ。自分を迎え入れた、湿った柔肉の感触に身震いを抑えられなかった。間髪を入れず、お互いを馴染ませるように前後にゆるゆると動いた。
――あの男は、私から視線を外さなかった。挑むようなあの眼差し……隠そうとしてもむき出しの敵意があった。こいつか。この女がそうさせるのか。
 深く埋め込んだまま、中をかき混ぜるように大きく腰を回す。合わされた性器から溢れ出た大量の蜜が恥毛を濡らした。
「っ………ぅあ……」
「すでに濡れていたようだが……、あいつと戯れの後だったのか?」
 一直線に連なる背骨の隆起を指先で軽く辿ると、アストリットはぎゅ、ぎゅとミカを締め付ける。女の膣口に下腹部を押し付けたまま腰をぐいと突き出し、最奥を穿った。
「ちが……っ、く……ん…………っう……ふ」
 アストリットは息をするのもままならない様子だ。ほんのりと色づいた目元、それよりはるかに色鮮やかな唇。
 あの男が、この唇を吸ったのか? この折れそうな首に歯を立てたのか? 肩のこの古傷の跡に舌を這わせたのか? 男の指はかき混ぜ、濡れたのか?
 一度着いた嫉妬の炎はどんなに小さくてもミカをさらに昂らせるのに十分だった。
「こんな恰好で……こんなに手荒くされても、ここは貪欲に吸い付いてくるぞ……そんなに男が好きか。あいつが好きか。あれを思って、強く締め付けるのか」
「ち……がい、ます…………っ」
 苦しげに喘いでいたアストリットの粒ぞろいの歯の間から言葉が押し出された。
「おまえの中に入ってるのは誰だ」
 拳に歯を立て、拷問に耐えている彼女の口の端からくぐもった声が洩れる。体を戦慄かせながら、横顔には苦悩とも喜悦にもとれる表情が浮かんでいる。ミカは上からその細い手首を掴み、拳を口から離した。女の、紅潮していた肌の赤味がさらに増す。指の関節が唾液で濡れている。それを舐めとりたい激情に駆られた。アストリットのものなら全てを味わいたい。しかし、ミカはその感情をぐっと押し込めた。
「ミカ……さま、です」
 消え入りそうな声だったが、はっきりと自分の名を聞いた。
 深く嵌っている場所から、己の尖端がほとんど顔を出す位置まで身を引く。アストリットの腰が、抜かれた雄を欲しがって揺れた。その尻の肉を掴んで指を食い込ませ、弾力を楽しむように捏ねた。カリ首に絡んだ襞がひくひくと息づいている。
「欲しいか」
 ミカは冷ややかに吐き捨てた。膣口の浅い部分で竿のくびれた部分を引っ掛けるように小刻みに抜き差しを繰り返すと、くちくちと粘質な音が立つ。
 張りつめて敏感になった亀頭が、濡れた粘膜をつるつると擦ると、上質な絹を撫でているような心地よい刺激が伝わる。小さな愉悦の波が何度も押し寄せるうちに、ミカはすぐにでも荒々しく動きだしたい衝動に襲われるが、彼女の返事を聞くまではと、その数刻の間、奥歯を噛んで耐えた。
 そのため、押さえ込まれた悦楽が腰の後ろ辺りからぞわぞわと這い上って行く。
 女騎士は目に涙をため、肩越しにこわごわとミカを見上げながら小さく、だが何度も頷いた。
「誰が欲しいか言ってみろ」
「殿下が……。ミカ様が……欲しい、です……」
 ミカは片手で腰骨を包み、もう一方の手で彼女の怪我をしていない方の腕を取ると、渾身の力で突き上げた。
「ああああぁっ…………!」
 アストリットの背が仰け反り、乱れた髪の一房が落ちた。
 そのしなった背に沿わせるように、激しく内壁を擦り上げる。濡れそぼった女の中は熱く、きつくミカを締め上げるが、同時に蕩けるような快感を与える。恍惚としながらも、ミカの脳裏では一つの言葉が繰り返された。
――誰にも渡すものか。誰にも……。
 粘膜を擦り上げる度、身体中で暴れ回る快楽と興奮にけぶったミカの視界に、ふと傷の上に巻いた白い布が飛び込んだ。
――あのとき腕を切り落としていれば、軍人として役に立たなくなっていただろう。免職させられたこいつを私の側に置く理由になったかもしれない。一生私に仕えるような身分にしてやれたはずだ。さらに片腕を失ったショックで廃人になっていれば、それこそ情けをかけてやる絶好の口実だった。私の過失ということで。そうだ、腕の無い元女騎士が頼れる者は、私だけ……。私の庇護の元で死ぬまで不自由無く暮らせたのに。そんなチャンスを私も、こいつも逃したとは。
 そんなことを思う反面、たとえかすり傷でも、アストリットを傷つけたことを深く後悔していた。
 自分は女を傷つけたかったのか? 傷が浅くて幸いだった? 腕を失くせばこいつが頼るのは、私ではなく……あの男ではないのか? 退団したら、王室と……私との関わりも一切なくなる。嬉々として男の元へ身を寄せるのではないか……。
 混濁する思考を打ち消すように、さらに激しく何度もアストリットを貫いた。簡素なテーブルがきしきしと音を立てた。
 最奥を穿つ度に、固く瞼を閉じたアストリットは眉を寄せながら「うんんっ……んんっ……」と喉の奥で切なげに鳴く。  
――こいつを乱れさせられるのは、私だけだ。……私だけだ……この女を愛でることが許されるのは。
「あいつとは何も無いのだな?」
 アストリットはがくがくと体を揺らされるままに頭を上下に振った。
「誓って……なにも……っ、ありま、せん……っ…………」
 腰骨から脚の付け根に沿ってさらに内側に手を滑らせ、濡れそぼった恥毛の奥の熟れた蕾を指先でくるりと撫でた。
「ひあ……! っ……はぁあああん………!」
 びくん、と体が弾ける。
 普段から、どんな場所でもミカが触れれば、自分を恥じるように、だが敏感に応えるアストリットだったが、花びらの奥の愛芽を刺激すると、羞恥も忘れ、愛撫を与えている方が戸惑うほど激しく乱れる。それを十分承知しているミカは、固く充血した突起の周りに蜜を刷り込むようにくるくると指を動かした。アストリットの体は小さく痙攣し、ミカを呑み込んでいる中もぞわぞわと蠢く。
 さらに尖端を爪の先でくすぐり、軽く押しつぶすと、ぷっくりと膨れた蕾自体が、求めるようにビクビクと戦慄いた。
「ひ……ぁ……ぁ、ぁあ、……っ……もう……、……っ」
 息も絶え絶えに、彼女は濡れた眼差しをミカに流した。その淫猥な表情にミカの漲りがさらに増す。女の背に覆い被さり、腕を腰に回して強く引き寄せると、その体から立ち上る甘くまろやかな香りが鼻腔を満たした。もはや手の着けようの無い興奮に煽られるまま、ミカは女騎士の腕を庇いながらも渾身の力で、煮えたぎる泉の奥に何度も叩き込み、さらに貪欲に快楽を貪った。
「っ……あ………っ、あっ……あんっ……あぁっ…………はぁっ…………!」
 拘束の中で許す限り身をくねらせ、アストリットはミカの執拗で激しい攻めに耐えていたが、やがて、細く高い嬌声とともに全身を強ばらせた。
 
 アストリットがテーブルから重い体を起こしたとき、既に身支度を終えた王子はドアに手を掛け、出て行く所だった。
「城はそう遠くない。一人でも大丈夫だ。傷にも障るだろう。おまえはゆっくり戻ってくればよい」
 そう言うと振り返りもせずにドアを閉めた。
 微かに馬具の擦れる音がし、それもすぐに聞こえなくなった。
 思い出したように傷がずきずきと疼く。そして、心も。
 それでも彼女は手早く服を着て、馬に乗ると、ミカの後を追った。
 専属護衛の名において……。今は……今は殿下のお側を離れるわけにはいかない……。せめて、犯人が捕まるまでは。
 霧雨が、体の火照りを冷まし始める。
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