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第八章 3
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柔らかく唇を食まれ、濡れた舌に歯茎をなぞられると、閉じた目の奥がじわりと熱くなる。毛布の下で腰に回されていた手が、開いたドレスの背をゆるりと上下する度にアストリットの体はしなり、口づけが深くなった。顔の角度を変えながらミカは盛んに甘い舌を絡めとり、吸い上げる。
「んっ……ん、………っふ、………ふっ……」
激しく唇を貪られ、漏れる吐息と小さな水音だけが薄闇に溶けて行く。
ミカの執拗な甘い攻めに意識が朦朧となる頃、彼は絡めていた舌を離した。乱れた吐息がお互いの唇に掛かる。持ち上げた瞼の先でミカは笑みを見せたが、それはすぐに真顔になった。
「それならなぜ、私を避けていた?」
「避けて……?」
「なぜ、アーシャ大尉の話を嬉しそうに私に聞かせた? この場で慰めなど必要ない。お前は彼を好きなのだろう?」
自分を射抜く強い眼差しには憂いと敵意が色濃く浮かんでいる。もちろん、敵意はアストリットにではなく明らかにレヴァンに対してだ。そう思うと、あの時ミカが彼について聞いて来たのは、目の前に現れた恋敵をもっとよく知るためだったのか。ミカを愛しいと思う気持が胸一杯に広がる。
「避けていたのは……、顔に気持がすぐに出てしまう私の、殿下への日々募る想いを悟られないために……。護衛が殿下をお慕いしていると知られれば、即座に役から降ろされてしまいます。その暁にはもう二度と殿下にお会いする機会が与えられないでしょう。それを恐れたのです。レヴァンのことは、殿下が私の……友人関係や勤めに興味を持って下さったと思い、嬉しさからつい饒舌になってしまって。以前は、殿下は私の個人的なことに全く興味を持って下さらなかった……」
「いや、それは……」
気まずそうに彼は目を泳がせた。
「おまえのことは全部調べ上げていたからな……おまえの率いる騎士団には私の内偵が何人かいる」
え、と薄く開いた唇からは驚きで声が出てこない。
確かに、普段から他国に内偵を送り込み、相手を把握すために情報を集めるのは珍しい話ではない。でも、まさか自分の隊にまで。一体いつから。そこまでして殿下は自分をのことを……。
込み上げる感動に、呼吸が浅くなる。
「どこか痛むのか……?」
「いえ……嬉しさで、胸が苦しくて……」
伏せた睫毛を震わせる女の顎をミカは指先で引き寄せ、今度は優しく唇を啄んだ。
「可愛いことを言ってくれる。嬉しいのは私の方だ……」
顔を離し、低い声で囁く。恍惚に瞳を潤ませたアストリットは自分の頬を包んでいる手に自分のを添えた。
「殿下は手袋を忘れてしまったのですね。少しは暖がとれたものを……」
その言葉にミカはふっと鼻で笑うが、それでもさも愛おしいというように、自分を包んでいた手を取ると唇に押し付けた。
「おまえは意外と物を見ていないのだな。その観察眼のなさは軍を率いる大尉としていかがなものか?」
「え?」
「おまえと二人きりのときにあれを着けた事は無い。革越しに触れて何が嬉しい」
驚きで目を見開いているアストリットにミカは気恥ずかしそうに歯切れ悪く言った。
「あれは、お前以外の者に触れたくなかったからだ。お前を手に入れるまで手袋をするという願掛けのようなものでもあった」
「そんな他愛なこと……」
「それでも私は大真面目だったのだが……まあ、確かにここでは少しは役に立ったかもしれんな。しかし……」
ミカの手はアストリットの身体の曲線を下り、細い腰をぐっと引き寄せた。その下腹に彼の猛りが押し付けられる。俯いた顔を覗き込みながら、ミカは囁いた。
「今はお前が私を熱くさせてくれるのだろう?」
「えっ……」
一瞬、悪戯な笑みを浮かべたミカは、戸惑うアストリットに構うこと無く首元に顔を埋めると、痕がつくほどに強く吸う。
「あ……っ、い……けません……っ」
ぴくん、と肩をすくめた彼女の指が彼の肩のシャツを握り込む。
「どうして、いけない?」
彼女の胸をかろうじて覆っていたドレスの名残を腰の方まで引き下ろすと、むき出しになった果実の重みを楽しむように捏ね回す。その中心はすでに色づき、つんと立ち上がっていた。
「ぁ……、賊たちがいつ帰って来るとも……っあん……」
ミカは柔らかな乳房の上に、濡れたキスをまぶし始める。
「心配には及ばぬ。大体、あの男が『二人で楽しめ』と言ったではないか」
小さく肌を吸われる度に甘い痺れが広がり、相手を押しやろうと肩に置いた手の力が徐々に抜けて行く。
「そん……なぁっ……ぁ」
しこった乳首を口に含まれると、彼女は背を撓《しな》らせた。
「……おまえの中で溺れさせてくれ」
切なげな声にきゅっと体の芯が疼く。
「ミカ様……」
「ほら、滴る蜜がすでに私の脚を濡らしている……どうしてだ?」
「それ……は……」
悪戯な笑みを浮かべて瞳を覗き込まれ、頬が熱くなるのを感じた。
ミカは返事を待たず、身体のわずかな隙間に手を差し入れると器用に二本の指で襞を割り、蜜を湛えた泉を中指でとろりと掻き回した。
「ぁ……」
「どうしてだ。言ってみろ」
腰を支えていた左手は、今や指で乳頭を捻りながら乳房全体を大きく捏ね回すように揺さぶっていた。
乳首が強くつままれる度に微電流が脚の付け根の蕾へ伝い降りると、そこはもっと強い刺激を求めて脈打ち始める。
「ミカ、さまが……ン……欲しく、て……っふ…………」
濡れそぼった媚肉のあわいで柔和に出し入れされる指の動きが心地よくももどかしく、アストリットは甘えるように鼻を鳴らした。
「私もだよ、アスティ……」
恋人の溢した吐息に含まれた要求を悟ったミカは、強い力で騎士の身体を浮かせると、その下で素早くズボンの前を広くくつろげた。今まで指で愛撫していた場所を漲った己の切っ先でなぞる。鬼頭に触れる蜜を湛えた花弁は、既に熱く戦慄いている。
「ひくひくしているぞ……私を待ちわびているのか?」
羞恥でミカの肩に顔を埋めたアストリットは、小さく何度も頷きながら微かに「このまま……お願い、です……」と囁いた。ミカはそれを聞くと、すぐにでも一気に貫きたい衝動を抑えながら、期待に身体を震わせている彼女の耳元に口を寄せた。
「おまえの可愛い顔を見せてくれ。私を感じているおまえを見たいのだ」
二人の、恋慕に揺れる瞳にお互いの顔が映る。彼はひと時も視線を外さず、アストリットを支えていた腕の力を抜いて行く。
「ぁあ……」
疼きの溜まり切った蜜路へ、太い陽根がずぶずぶと滑らかに沈み込んで行くと、気の遠くなるような喜悦にアストリットは白い首を仰け反らせ、喘いだ。
ミカにぎゅっとすがりついた彼女は奥まで屹立を受け入れたものの、そのまま動かない。それでも、ミカを包む粘膜は戦慄き、びくんびくんと締め付けている。
「大丈夫か? やはり痛むか?」
「大丈夫です……。ミカさまに満たされ、この、逞しくて……とても幸せで……」
瞳を潤ませながらはにかむアストリットを見れば欲望の炎はさらに燃え上がり、彼は小さな顎を掴むと荒々しく唇を覆った。
「んっ……んんっ……」
キスをしながら、つい激しく突き上げてしまいそうな己をかろうじて制し、ミカは乳房を掴むと双丘にむしゃぶりついた。柔肌に舌を縦横無尽に這わせ、張りつめた先端に舌を絡めて甘噛みをする。
耐えるように声を押し殺していたアストリットだったが、ミカの埋まった脚の付け根から、嬲られている乳首から、絶え間なく注ぎ込まれる甘美な刺激に昂りは増して行き、やがて「あ、ぁ……あっ」と声を漏らして腰を前後に揺らし始めた。
柔らかな粘膜が絶妙にミカの分身を締め付け、擦り始めると、彼の理性は一気に吹き飛んだ。アストリットの腰に手をかけ、
「動くぞ……」
短く言うと相手の返事も待たずに下から突き上げた。
「っはあぁん!!」
ひと際高い艶声が地下室に反響する。彼女は顔を仰け反らせ、甘い喘ぎを漏らしながら身体をしならせてミカの律動を受け止める。
「あぁ……、すごいぞ、アスティ……おまえの中はなんて気持いいんだ……」
それから「愛している」、と何度も囁かれる。多幸感に心は打ち震え、さらに燃え上がった身体に執拗にペニスを穿たれると、淫らな蜜液が止めどなく溢れ出てくる。
片手に乳房を揉みしだかれ、乳首を吸われながら一定のリズムで攻め続けられると、穿たれている場所から発芽した快楽の蔓が、アストリットの身体に愉悦の棘を食い込ませながら四肢へつるつると伸びて行く。
「ぁ……そこ……」
すすり泣くように、ミカに訴える。
「ああ、わかる……感じる……」
ミカの熱い息が耳にかかる。低い喘ぎが鼓膜に沁みる。そして、どこまでも優しく、その一点を押し貫いてくる。くちゅ、ねちっ、と淫媚な音が擦れ合う場所から聞こえてくる。
「もっと……」
硬質な熱が自分の中を行き交うあまりの心地よさに陶酔したアストリットは、無意識のうちに自ら腰をくねらせ、ねだるように喘いだ。
「もっと、どうしたいのか言ってくれ」
切なげに眉を寄せ、包み込むような温かな目で見つめられると、アストリットは胸から込み上げる狂おしいほどの愛情に唇を震わせた。
「ミカさまを、もっと感じたい……奥に、感じたい……です」
滲む視界に、ミカの穏やかな笑みを見た気がした。しかし、その直後壮絶な衝撃が身体を貫いた。力強さを増した剛直が、最奥を連打する。
「ぁあっ!」
息をつく間もなく身体はミカの上で跳ねる。連続する浮き沈みのなかで、うねる愉悦に意識はたゆたう。
劣情で滾った陽根が媚肉をくまなく擦り上げ、抉るたびに身体の芯を痺れるような戦慄が走り抜ける。
一定のリズムで突き上げながらも、ミカの手はアストリットの肌から滲む汗を、匂いを味わうかのように背中を、ウエストを、まろやかな尻の上を満遍なく這い回った。
貫かれている中心にゆらめく快楽の炎が、その繊細な愛撫に煽られてさらに燃え立つと、アストリットはきつく眉を寄せ、身を捩った。
「ぁ、あ……、ミ……カさ、ま……ぁっ……もう、わたし……もうッ…………」
喘ぐアストリットの下腹が緊張し、締め付けが一層強くなる。
首にしがみついた腕に力がこもる。ミカの首元を熱い息で湿らせながら、腰を激しく前後に振り立てた。
さらに密着感の高まった陰部が、まるで溶け出したかのようにぬち、にちと粘質な水音を立てる。彼女の動きに合わせてミカも腰を揺らせば、二人の律動は一体となって底から込み上げる愉悦はさらにうねりを増す。
「行け……。アスティ……、私のために、行くのだ……」
「ミカさまっ!……ミカさまっ………! ぁ、ぁあ、ああっ!!」
ミカは戦慄く細腰をぐっと掴み、最奥の狭まった部分に楔を打ち込んだ。
腕の中でくたりと脱力したアストリットの身体を片手で抱きながら、床に広げた毛布の上にそっと仰向けに寝かせる。
「ミカ様……やめないで……」
潤んだ目でミカを見つめ、求めて差し伸べられた手に彼は指を絡めた。シャツを脱ぎ、アストリットの上に被さると唇を優しく食む。
「そう頼まれるのは二度目だな……。おまえが初めてのときと……あの時はどんなに私が感動したか、おまえには到底わかるまい」
「それは……私も同じです……ミカ様のお気遣いが何よりも嬉しかった……」
「最初だけだったがな……あとはおまえの乱れる姿に我を忘れてしまった」
「そんな……」
「おまえのその姿が好きでたまらないのだ。私だけに見せてくれ。乱れる姿を……」
「ミカ……さ、ま」
膝を割り、熱の篭る秘部に顔を寄せたミカの吐息が襞を撫でるだけで、下腹から熱が広がって行く。そして、尖らせた舌先が襞を分けるように舐め上げると、アストリットは襲いかかった逸楽に背をしならせた。
ミカは滑らかな脚にしがみつくように押さえ込み、舌を濡れた粘膜の間で踊らせる。
「あぁ……」
疼き上がった愛芽が舌に捕らえられると、甘美な衝撃が背中を突き抜けた。
「あっ……、だめ、ですっ……そこ………っあ……はぁん……」
閉じかけた内腿をさらに開き、ミカは親指で濡れそぼった襞を左右にくつろげた。
「だめといっても、ここは感じているが……ほら」
「ぁあ……だって…………」
ミカに言われずとも、彼女にはそれが隠し様のない事実だとわかっていた。
恋人の舌の上で、一度絶頂を味わったその小さな蕾が信じられないくらいに硬く膨れ上がっている。
ミカを待ちわびたそこが誘うように息づいているのも感じていた。
「ずいぶんここは正直だな」
ミカは肉芽を舌で扱きつつ、口を開けている秘唇に指を這わせた。爪先は粘膜の浅い部分を優しく上下に撫でているだけなのに、そこから甘く、鋭い戦慄が身体中に伝播する。
「ぁふんっ、あ……あ、ああぁ!」
「ここが弱いんだったな……」
囁いて、唇をその箇所に下ろして行く。
「はんっ、あんっ、ああぁああん!」
ピチョ……と、淫猥な音を立てて、濡れた舌が動き始める。柔らかな花弁に、ミカは唾液を塗り立てるようにして舐めて行く。ざらり、と舌が粘膜を抉る度にアストリットは胸を波打たせ、声を絞る。
ミカが指の腹でしこった陰核を軽く押さえ、もみ込むように小さな円を描くと、振り上げた腰が指の動きに倣うようにみだらにくねってしまう。
一度達してさらに感度の高まった肉体の奥の部分が、もっともっとと欲しがっている。
指の腹で肉芽を転がしながら、ミカは舌先を秘唇の内側に埋めて来た。
「あんっ、やめ……っ!」
そこはまだ入り口を取り囲む粘膜だ。それなのに小刻みにひらめく舌先は、今までに経験したことの無い官能をじわじわと注ぎ込んでいく。
唇を割れ目に押し付けたミカは、滴る蜜をじゅる、じゅるるっと音を立てて強く吸いたて、粘膜を震わせた。
「あぁああッ!」
尖った舌先が愛芽の根元を強く殴打したとたん、鋭いほどの快感に打たれ、アストリットは身体を弾かせた。ミカの大きな手は悶える腰を抑え、突起にねちねちと執拗に舌を絡め続ける。唇で軽く挟んでは、下から上へしゃぶりあげる。
「んっ……ん、………っふ、………ふっ……」
激しく唇を貪られ、漏れる吐息と小さな水音だけが薄闇に溶けて行く。
ミカの執拗な甘い攻めに意識が朦朧となる頃、彼は絡めていた舌を離した。乱れた吐息がお互いの唇に掛かる。持ち上げた瞼の先でミカは笑みを見せたが、それはすぐに真顔になった。
「それならなぜ、私を避けていた?」
「避けて……?」
「なぜ、アーシャ大尉の話を嬉しそうに私に聞かせた? この場で慰めなど必要ない。お前は彼を好きなのだろう?」
自分を射抜く強い眼差しには憂いと敵意が色濃く浮かんでいる。もちろん、敵意はアストリットにではなく明らかにレヴァンに対してだ。そう思うと、あの時ミカが彼について聞いて来たのは、目の前に現れた恋敵をもっとよく知るためだったのか。ミカを愛しいと思う気持が胸一杯に広がる。
「避けていたのは……、顔に気持がすぐに出てしまう私の、殿下への日々募る想いを悟られないために……。護衛が殿下をお慕いしていると知られれば、即座に役から降ろされてしまいます。その暁にはもう二度と殿下にお会いする機会が与えられないでしょう。それを恐れたのです。レヴァンのことは、殿下が私の……友人関係や勤めに興味を持って下さったと思い、嬉しさからつい饒舌になってしまって。以前は、殿下は私の個人的なことに全く興味を持って下さらなかった……」
「いや、それは……」
気まずそうに彼は目を泳がせた。
「おまえのことは全部調べ上げていたからな……おまえの率いる騎士団には私の内偵が何人かいる」
え、と薄く開いた唇からは驚きで声が出てこない。
確かに、普段から他国に内偵を送り込み、相手を把握すために情報を集めるのは珍しい話ではない。でも、まさか自分の隊にまで。一体いつから。そこまでして殿下は自分をのことを……。
込み上げる感動に、呼吸が浅くなる。
「どこか痛むのか……?」
「いえ……嬉しさで、胸が苦しくて……」
伏せた睫毛を震わせる女の顎をミカは指先で引き寄せ、今度は優しく唇を啄んだ。
「可愛いことを言ってくれる。嬉しいのは私の方だ……」
顔を離し、低い声で囁く。恍惚に瞳を潤ませたアストリットは自分の頬を包んでいる手に自分のを添えた。
「殿下は手袋を忘れてしまったのですね。少しは暖がとれたものを……」
その言葉にミカはふっと鼻で笑うが、それでもさも愛おしいというように、自分を包んでいた手を取ると唇に押し付けた。
「おまえは意外と物を見ていないのだな。その観察眼のなさは軍を率いる大尉としていかがなものか?」
「え?」
「おまえと二人きりのときにあれを着けた事は無い。革越しに触れて何が嬉しい」
驚きで目を見開いているアストリットにミカは気恥ずかしそうに歯切れ悪く言った。
「あれは、お前以外の者に触れたくなかったからだ。お前を手に入れるまで手袋をするという願掛けのようなものでもあった」
「そんな他愛なこと……」
「それでも私は大真面目だったのだが……まあ、確かにここでは少しは役に立ったかもしれんな。しかし……」
ミカの手はアストリットの身体の曲線を下り、細い腰をぐっと引き寄せた。その下腹に彼の猛りが押し付けられる。俯いた顔を覗き込みながら、ミカは囁いた。
「今はお前が私を熱くさせてくれるのだろう?」
「えっ……」
一瞬、悪戯な笑みを浮かべたミカは、戸惑うアストリットに構うこと無く首元に顔を埋めると、痕がつくほどに強く吸う。
「あ……っ、い……けません……っ」
ぴくん、と肩をすくめた彼女の指が彼の肩のシャツを握り込む。
「どうして、いけない?」
彼女の胸をかろうじて覆っていたドレスの名残を腰の方まで引き下ろすと、むき出しになった果実の重みを楽しむように捏ね回す。その中心はすでに色づき、つんと立ち上がっていた。
「ぁ……、賊たちがいつ帰って来るとも……っあん……」
ミカは柔らかな乳房の上に、濡れたキスをまぶし始める。
「心配には及ばぬ。大体、あの男が『二人で楽しめ』と言ったではないか」
小さく肌を吸われる度に甘い痺れが広がり、相手を押しやろうと肩に置いた手の力が徐々に抜けて行く。
「そん……なぁっ……ぁ」
しこった乳首を口に含まれると、彼女は背を撓《しな》らせた。
「……おまえの中で溺れさせてくれ」
切なげな声にきゅっと体の芯が疼く。
「ミカ様……」
「ほら、滴る蜜がすでに私の脚を濡らしている……どうしてだ?」
「それ……は……」
悪戯な笑みを浮かべて瞳を覗き込まれ、頬が熱くなるのを感じた。
ミカは返事を待たず、身体のわずかな隙間に手を差し入れると器用に二本の指で襞を割り、蜜を湛えた泉を中指でとろりと掻き回した。
「ぁ……」
「どうしてだ。言ってみろ」
腰を支えていた左手は、今や指で乳頭を捻りながら乳房全体を大きく捏ね回すように揺さぶっていた。
乳首が強くつままれる度に微電流が脚の付け根の蕾へ伝い降りると、そこはもっと強い刺激を求めて脈打ち始める。
「ミカ、さまが……ン……欲しく、て……っふ…………」
濡れそぼった媚肉のあわいで柔和に出し入れされる指の動きが心地よくももどかしく、アストリットは甘えるように鼻を鳴らした。
「私もだよ、アスティ……」
恋人の溢した吐息に含まれた要求を悟ったミカは、強い力で騎士の身体を浮かせると、その下で素早くズボンの前を広くくつろげた。今まで指で愛撫していた場所を漲った己の切っ先でなぞる。鬼頭に触れる蜜を湛えた花弁は、既に熱く戦慄いている。
「ひくひくしているぞ……私を待ちわびているのか?」
羞恥でミカの肩に顔を埋めたアストリットは、小さく何度も頷きながら微かに「このまま……お願い、です……」と囁いた。ミカはそれを聞くと、すぐにでも一気に貫きたい衝動を抑えながら、期待に身体を震わせている彼女の耳元に口を寄せた。
「おまえの可愛い顔を見せてくれ。私を感じているおまえを見たいのだ」
二人の、恋慕に揺れる瞳にお互いの顔が映る。彼はひと時も視線を外さず、アストリットを支えていた腕の力を抜いて行く。
「ぁあ……」
疼きの溜まり切った蜜路へ、太い陽根がずぶずぶと滑らかに沈み込んで行くと、気の遠くなるような喜悦にアストリットは白い首を仰け反らせ、喘いだ。
ミカにぎゅっとすがりついた彼女は奥まで屹立を受け入れたものの、そのまま動かない。それでも、ミカを包む粘膜は戦慄き、びくんびくんと締め付けている。
「大丈夫か? やはり痛むか?」
「大丈夫です……。ミカさまに満たされ、この、逞しくて……とても幸せで……」
瞳を潤ませながらはにかむアストリットを見れば欲望の炎はさらに燃え上がり、彼は小さな顎を掴むと荒々しく唇を覆った。
「んっ……んんっ……」
キスをしながら、つい激しく突き上げてしまいそうな己をかろうじて制し、ミカは乳房を掴むと双丘にむしゃぶりついた。柔肌に舌を縦横無尽に這わせ、張りつめた先端に舌を絡めて甘噛みをする。
耐えるように声を押し殺していたアストリットだったが、ミカの埋まった脚の付け根から、嬲られている乳首から、絶え間なく注ぎ込まれる甘美な刺激に昂りは増して行き、やがて「あ、ぁ……あっ」と声を漏らして腰を前後に揺らし始めた。
柔らかな粘膜が絶妙にミカの分身を締め付け、擦り始めると、彼の理性は一気に吹き飛んだ。アストリットの腰に手をかけ、
「動くぞ……」
短く言うと相手の返事も待たずに下から突き上げた。
「っはあぁん!!」
ひと際高い艶声が地下室に反響する。彼女は顔を仰け反らせ、甘い喘ぎを漏らしながら身体をしならせてミカの律動を受け止める。
「あぁ……、すごいぞ、アスティ……おまえの中はなんて気持いいんだ……」
それから「愛している」、と何度も囁かれる。多幸感に心は打ち震え、さらに燃え上がった身体に執拗にペニスを穿たれると、淫らな蜜液が止めどなく溢れ出てくる。
片手に乳房を揉みしだかれ、乳首を吸われながら一定のリズムで攻め続けられると、穿たれている場所から発芽した快楽の蔓が、アストリットの身体に愉悦の棘を食い込ませながら四肢へつるつると伸びて行く。
「ぁ……そこ……」
すすり泣くように、ミカに訴える。
「ああ、わかる……感じる……」
ミカの熱い息が耳にかかる。低い喘ぎが鼓膜に沁みる。そして、どこまでも優しく、その一点を押し貫いてくる。くちゅ、ねちっ、と淫媚な音が擦れ合う場所から聞こえてくる。
「もっと……」
硬質な熱が自分の中を行き交うあまりの心地よさに陶酔したアストリットは、無意識のうちに自ら腰をくねらせ、ねだるように喘いだ。
「もっと、どうしたいのか言ってくれ」
切なげに眉を寄せ、包み込むような温かな目で見つめられると、アストリットは胸から込み上げる狂おしいほどの愛情に唇を震わせた。
「ミカさまを、もっと感じたい……奥に、感じたい……です」
滲む視界に、ミカの穏やかな笑みを見た気がした。しかし、その直後壮絶な衝撃が身体を貫いた。力強さを増した剛直が、最奥を連打する。
「ぁあっ!」
息をつく間もなく身体はミカの上で跳ねる。連続する浮き沈みのなかで、うねる愉悦に意識はたゆたう。
劣情で滾った陽根が媚肉をくまなく擦り上げ、抉るたびに身体の芯を痺れるような戦慄が走り抜ける。
一定のリズムで突き上げながらも、ミカの手はアストリットの肌から滲む汗を、匂いを味わうかのように背中を、ウエストを、まろやかな尻の上を満遍なく這い回った。
貫かれている中心にゆらめく快楽の炎が、その繊細な愛撫に煽られてさらに燃え立つと、アストリットはきつく眉を寄せ、身を捩った。
「ぁ、あ……、ミ……カさ、ま……ぁっ……もう、わたし……もうッ…………」
喘ぐアストリットの下腹が緊張し、締め付けが一層強くなる。
首にしがみついた腕に力がこもる。ミカの首元を熱い息で湿らせながら、腰を激しく前後に振り立てた。
さらに密着感の高まった陰部が、まるで溶け出したかのようにぬち、にちと粘質な水音を立てる。彼女の動きに合わせてミカも腰を揺らせば、二人の律動は一体となって底から込み上げる愉悦はさらにうねりを増す。
「行け……。アスティ……、私のために、行くのだ……」
「ミカさまっ!……ミカさまっ………! ぁ、ぁあ、ああっ!!」
ミカは戦慄く細腰をぐっと掴み、最奥の狭まった部分に楔を打ち込んだ。
腕の中でくたりと脱力したアストリットの身体を片手で抱きながら、床に広げた毛布の上にそっと仰向けに寝かせる。
「ミカ様……やめないで……」
潤んだ目でミカを見つめ、求めて差し伸べられた手に彼は指を絡めた。シャツを脱ぎ、アストリットの上に被さると唇を優しく食む。
「そう頼まれるのは二度目だな……。おまえが初めてのときと……あの時はどんなに私が感動したか、おまえには到底わかるまい」
「それは……私も同じです……ミカ様のお気遣いが何よりも嬉しかった……」
「最初だけだったがな……あとはおまえの乱れる姿に我を忘れてしまった」
「そんな……」
「おまえのその姿が好きでたまらないのだ。私だけに見せてくれ。乱れる姿を……」
「ミカ……さ、ま」
膝を割り、熱の篭る秘部に顔を寄せたミカの吐息が襞を撫でるだけで、下腹から熱が広がって行く。そして、尖らせた舌先が襞を分けるように舐め上げると、アストリットは襲いかかった逸楽に背をしならせた。
ミカは滑らかな脚にしがみつくように押さえ込み、舌を濡れた粘膜の間で踊らせる。
「あぁ……」
疼き上がった愛芽が舌に捕らえられると、甘美な衝撃が背中を突き抜けた。
「あっ……、だめ、ですっ……そこ………っあ……はぁん……」
閉じかけた内腿をさらに開き、ミカは親指で濡れそぼった襞を左右にくつろげた。
「だめといっても、ここは感じているが……ほら」
「ぁあ……だって…………」
ミカに言われずとも、彼女にはそれが隠し様のない事実だとわかっていた。
恋人の舌の上で、一度絶頂を味わったその小さな蕾が信じられないくらいに硬く膨れ上がっている。
ミカを待ちわびたそこが誘うように息づいているのも感じていた。
「ずいぶんここは正直だな」
ミカは肉芽を舌で扱きつつ、口を開けている秘唇に指を這わせた。爪先は粘膜の浅い部分を優しく上下に撫でているだけなのに、そこから甘く、鋭い戦慄が身体中に伝播する。
「ぁふんっ、あ……あ、ああぁ!」
「ここが弱いんだったな……」
囁いて、唇をその箇所に下ろして行く。
「はんっ、あんっ、ああぁああん!」
ピチョ……と、淫猥な音を立てて、濡れた舌が動き始める。柔らかな花弁に、ミカは唾液を塗り立てるようにして舐めて行く。ざらり、と舌が粘膜を抉る度にアストリットは胸を波打たせ、声を絞る。
ミカが指の腹でしこった陰核を軽く押さえ、もみ込むように小さな円を描くと、振り上げた腰が指の動きに倣うようにみだらにくねってしまう。
一度達してさらに感度の高まった肉体の奥の部分が、もっともっとと欲しがっている。
指の腹で肉芽を転がしながら、ミカは舌先を秘唇の内側に埋めて来た。
「あんっ、やめ……っ!」
そこはまだ入り口を取り囲む粘膜だ。それなのに小刻みにひらめく舌先は、今までに経験したことの無い官能をじわじわと注ぎ込んでいく。
唇を割れ目に押し付けたミカは、滴る蜜をじゅる、じゅるるっと音を立てて強く吸いたて、粘膜を震わせた。
「あぁああッ!」
尖った舌先が愛芽の根元を強く殴打したとたん、鋭いほどの快感に打たれ、アストリットは身体を弾かせた。ミカの大きな手は悶える腰を抑え、突起にねちねちと執拗に舌を絡め続ける。唇で軽く挟んでは、下から上へしゃぶりあげる。
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「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」
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