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第4章 夢の実現へ
約束①
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【SIDE フレデリック】
「本当に何もない部屋ですね。昨日、僕の部屋に帰ったら驚きました。ワインを持って『部屋に来い』ですからね。はいこれは、お誘いいただいたお礼です」
そう言ったマックスは、私が贈ったワインとは別のものを、ポンっと私に渡してきた。
「気兼ねするな。私がこの部屋に自分の意思で人を招いたのは、2人目だ」
昔は、ミカエルが招いた令嬢が、裸でベッドの中に隠れていたり、私が扉を開けた途端に抱き付いてきたりと酷かったが、……あいつが居なくなり、もうそんな事は起きないだろう。
「あれ、姉上は?」
「部屋で寝せてきた。昨日、お前の部屋からワインをくすねてきて飲んだはいいが、一晩中騒いで酷かった。日中も出掛けてたから、今は疲れて寝てる」
「ふふっ、服を脱いで大変だったでしょう」
「やはりな、アリーチェが1杯飲み干してから、マックスに止められてると言い出し、何かあると思った」
マックスから受け取ったワインのコルクを抜き、マックスと私のグラスに注いだ。
「このワイン、僕たちが産まれた時ので、元々2本あったんです」
「そんな大事なものを、私と開けて良かったのか……」
「むしろ、それ以外が思いつきません。姉上の分の1本は、以前僕たちの誕生日に2人で飲んだんです」
「お前凄いな、あれでアリーチェに手を出さなかったのか……」
昨日のアリーチェは、放っておけば、下着まで手をかけてたぞ。目の前でそんな姿を見て……。
どれだけアリーチェを大事にしてたんだ。
「あの時、一歩踏み出す勇気が無かったから、こうなってるんでしょうね。でも、何もしなかった訳じゃない。姉上の感じる声は、いつもより高くて可愛いでしょう」
「ああそうだな、可愛い」
「手前を刺激してあげるとよろこぶ」
「いや、違う。どちらかと言うと、奥だ」
「ふ~ん、そうですか。以前、絶対に喋らないと言ってたくせに、王太子は、結局僕に話してるじゃないですか。くくっ、これで、妃の秘密を僕にベラベラと話していると姉上に言いつけられます」
しまった、つい乗せられて……、アリーチェと2人の秘密だと言っていたのに。
まあ、こいつにならいいか。
「間違いなく、お前がアリーチェの弟で良かった」
「…………僕はいつも、『弟じゃ無かったら良かった』って思ってますけどね。あの人以上に愛せる女性がいる気がしない。この先自信が無くて……」
「大丈夫だ。アリーチェが妹のように可愛いと言っているのに、お前が愛せない訳無いだろう。でも、もし本当に悩んで辛くなったら、ここに来い。甘えん坊の弟の為に、アリーチェの横を少しだけ貸してやる、まあ、お前の横に私も一緒にいるけどな」
「くくっ、王太子は弟に優し過ぎるでしょう、僕なら姉上にこっそり何をするか分かりませんよ。そんなんだからミカエル殿下を、3か月後に国外追放なんて生ぬるい判断になるんです」
「ミカエルの事は、私の中では極刑だったが……、アリーチェが、あいつにマックスを重ねて泣くんだ。弟が死んだら私が辛くて生きて行けないだろうって。余りに取り乱して、私には手に負え無くてな」
「…………姉上、あの人は本当に…………」
そう言って、静かに顔を隠すマックス。
嬉しいのか、悲しいのか分からんが、こいつが涙を溢すのは初めて見た。
「私の妃は可愛いだろう」
「もう、僕の姉上で、惚気ないでと言ってるでしょう」
幼い頃、リーに出会った時は知らなかった。
まさか、彼女と結婚したら、こんなに可愛い弟までついて来るとは。
「お前も可愛いぞ」
「王太子っ! 僕はそんな気は無いですから、止めてください。僕はもう帰ります」
「泊ってもいいんだが。そのつもりで、この時間に呼び出したんだぞ」
マックスは、結構だと遠慮して帰って行った。
何だって、私にはつれない弟だ。
「本当に何もない部屋ですね。昨日、僕の部屋に帰ったら驚きました。ワインを持って『部屋に来い』ですからね。はいこれは、お誘いいただいたお礼です」
そう言ったマックスは、私が贈ったワインとは別のものを、ポンっと私に渡してきた。
「気兼ねするな。私がこの部屋に自分の意思で人を招いたのは、2人目だ」
昔は、ミカエルが招いた令嬢が、裸でベッドの中に隠れていたり、私が扉を開けた途端に抱き付いてきたりと酷かったが、……あいつが居なくなり、もうそんな事は起きないだろう。
「あれ、姉上は?」
「部屋で寝せてきた。昨日、お前の部屋からワインをくすねてきて飲んだはいいが、一晩中騒いで酷かった。日中も出掛けてたから、今は疲れて寝てる」
「ふふっ、服を脱いで大変だったでしょう」
「やはりな、アリーチェが1杯飲み干してから、マックスに止められてると言い出し、何かあると思った」
マックスから受け取ったワインのコルクを抜き、マックスと私のグラスに注いだ。
「このワイン、僕たちが産まれた時ので、元々2本あったんです」
「そんな大事なものを、私と開けて良かったのか……」
「むしろ、それ以外が思いつきません。姉上の分の1本は、以前僕たちの誕生日に2人で飲んだんです」
「お前凄いな、あれでアリーチェに手を出さなかったのか……」
昨日のアリーチェは、放っておけば、下着まで手をかけてたぞ。目の前でそんな姿を見て……。
どれだけアリーチェを大事にしてたんだ。
「あの時、一歩踏み出す勇気が無かったから、こうなってるんでしょうね。でも、何もしなかった訳じゃない。姉上の感じる声は、いつもより高くて可愛いでしょう」
「ああそうだな、可愛い」
「手前を刺激してあげるとよろこぶ」
「いや、違う。どちらかと言うと、奥だ」
「ふ~ん、そうですか。以前、絶対に喋らないと言ってたくせに、王太子は、結局僕に話してるじゃないですか。くくっ、これで、妃の秘密を僕にベラベラと話していると姉上に言いつけられます」
しまった、つい乗せられて……、アリーチェと2人の秘密だと言っていたのに。
まあ、こいつにならいいか。
「間違いなく、お前がアリーチェの弟で良かった」
「…………僕はいつも、『弟じゃ無かったら良かった』って思ってますけどね。あの人以上に愛せる女性がいる気がしない。この先自信が無くて……」
「大丈夫だ。アリーチェが妹のように可愛いと言っているのに、お前が愛せない訳無いだろう。でも、もし本当に悩んで辛くなったら、ここに来い。甘えん坊の弟の為に、アリーチェの横を少しだけ貸してやる、まあ、お前の横に私も一緒にいるけどな」
「くくっ、王太子は弟に優し過ぎるでしょう、僕なら姉上にこっそり何をするか分かりませんよ。そんなんだからミカエル殿下を、3か月後に国外追放なんて生ぬるい判断になるんです」
「ミカエルの事は、私の中では極刑だったが……、アリーチェが、あいつにマックスを重ねて泣くんだ。弟が死んだら私が辛くて生きて行けないだろうって。余りに取り乱して、私には手に負え無くてな」
「…………姉上、あの人は本当に…………」
そう言って、静かに顔を隠すマックス。
嬉しいのか、悲しいのか分からんが、こいつが涙を溢すのは初めて見た。
「私の妃は可愛いだろう」
「もう、僕の姉上で、惚気ないでと言ってるでしょう」
幼い頃、リーに出会った時は知らなかった。
まさか、彼女と結婚したら、こんなに可愛い弟までついて来るとは。
「お前も可愛いぞ」
「王太子っ! 僕はそんな気は無いですから、止めてください。僕はもう帰ります」
「泊ってもいいんだが。そのつもりで、この時間に呼び出したんだぞ」
マックスは、結構だと遠慮して帰って行った。
何だって、私にはつれない弟だ。
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