封印された魔王を解放してしまいましたが、私が何とかしますので放っといてください〜奇跡の力を持つ1人の女性は、2人の王子から愛を捧げられる〜
瑞貴◆後悔してる/手違いの妻2巻発売!
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本章3 魔王の力
初めて
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キュアに乗ってカモメイル公爵直轄地へ向かっているけど、どこに降り立つかが問題になる。現場に少しでも早く到着するには、近くで降りるのが1番良いに決まっている。だけど、「竜の到来」なんて、間違いなく住民たちが大混乱を起こしてしまう。
もどかしさは残るけど、住民達に不安を与えないように、人目のない森付近で降ろして貰うことになった。
魔物の気配を感じるその場所までは、まだ距離がある。
私が 魔力を探知してから、現場に着くまでは、思った以上に時間がかかってしまった。
現場に着くと、所々に破損した家屋が目に入る。
こんな町の中にまで、魔物がやって来るなんて。昨日のうちに、森の全てを回復出来ずに寝てしまった、自分を恨みたくなる。
もし、怪我をした人がいたら…………私のせいだ…………足が震える。
あの倒壊した建物の中に、人が残されていたら……怖い。
ジュリアスが私の手を握る。握られた手に力を込め、悔しい気持ちを伝える。
頼れる存在に、背中を押される。
私がすべきことをする。…………嘆くのは、後でも出来る。
負傷者がいるかも分からないけど、壊れている家屋のある一体に癒しの力を満たす。
ジュリアスは何も言わず、横にいる私を見つめている。何をしているかは、分かっていて、何も言わない。
よし! 次は早く魔物達を何とかしなきゃ。
複数の魔物の気配を感じる先へ目を向ける。
大勢の騎士がビッグボアを取り囲んでいる。
ここからだと、視界に入るのは1頭だけ。
ビッグボアは別々に動いているようね。
足の速いビッグボアは、騎士達の隙間を抜けて、様子を見ていた人々の群れに突進する。
悲鳴や叫びが一斉に響く。
気が立っているビッグボアを前に、騎士達は何も出来ずに見守っているだけ。
私がビッグボアの元へ行こうとした、その時、ジュリアスが私の前へ立ち塞がった。
「この場は私が何とかするから、リディは森の再生のために力を残しておけ」
「ジュリアス…………」
剣を鞘から抜き、ビッグボアに向かって走って行く。
レイルもジュリアスに遅れることなく討伐へ向かう。
私の傍には、クルリだけが残っている。
2人の剣技の優秀さは知っている。それでも、相手は俊敏な魔物……大丈夫かしら。
だけど、心配は良い形で、簡単に裏切られてしまう。
レイルがビッグボアの気を引いているうちに、あっという間にジュリアスがビッグボアに留目を刺す。
こんなに、あっという間に討伐できるなんて。
2人の動きは凄いわ! 一切の怯みがなく、躊躇ない動き。
カモメイル公爵の騎士達が手も出せなかったビッグボアを、たった2人で瞬殺してしまった。
カミツキラビットとは違い、動きが早くて力が強いビッグボアは、安易な攻撃は命取りになる。
怒り狂って、ますます凶暴になってしまうから。
安堵した瞬間! ――――危ない!
仲間を失い、怒り狂うビッグボアが陰から飛び出してきた。
同時に2頭のビッグボアが、ジュリアスとレイルの背中から襲い掛かる。
――――やめて――――!
魔法を発動しようと思った、その時――――。
それより先に、2人の手前で2頭のビッグボアは同時に倒れ、ピクリとも動かない。
魔法?
「……っはぁ……っはぁ。危なかった! 上手くできて良かった!」
「殿下! 今のは?」
「レイルは見えただろう? ……っはぁ、アイスボールを発動させてみた!」
「もちろん見えましたが、殿下が魔法を使ったんですか?」
「ああ、試してみた!」
「試してみたって! 殿下!」
私の拍動が煩い。
目から涙が止めどなく溢れて視界が悪くなる。そんな事は気にしていられない。
自然とジュリアスの元へ走り寄ってしまう。
「ぅっうっ…………無事でよかった、うっ…………」
ジュリアスに泣きついた。
傷一つないことに、心から安心した。
「私の事をそんなに心配してくれたのか? 嘘じゃないよな? 大丈夫だが、大丈夫ではない。無理だろう、こんな時に…………後で怒るなよ……お前が悪い」
私の頭を優しくなでるジュリアスの心地よい手を感じていたのに、顎を持ち上げられ唇に温かさを感じる。
――――!!
慌てて目を開ける。
「こういう時は目を閉じるものだ」
言われた瞬間、再び柔らかい感覚が唇に触れたかと思うと、初めの触れただけのものとは違い、舌が口の中這うような、ジュリアスからの深い口づけが……。
――――何! 何! なんで!! どうしてこんなこと……。
唇が離された後に、発する言葉が見つからない。
――――恥ずかしくて、頬が熱くなる。
突然のことで、どんな態度で接していいのかわからない。
もどかしさは残るけど、住民達に不安を与えないように、人目のない森付近で降ろして貰うことになった。
魔物の気配を感じるその場所までは、まだ距離がある。
私が 魔力を探知してから、現場に着くまでは、思った以上に時間がかかってしまった。
現場に着くと、所々に破損した家屋が目に入る。
こんな町の中にまで、魔物がやって来るなんて。昨日のうちに、森の全てを回復出来ずに寝てしまった、自分を恨みたくなる。
もし、怪我をした人がいたら…………私のせいだ…………足が震える。
あの倒壊した建物の中に、人が残されていたら……怖い。
ジュリアスが私の手を握る。握られた手に力を込め、悔しい気持ちを伝える。
頼れる存在に、背中を押される。
私がすべきことをする。…………嘆くのは、後でも出来る。
負傷者がいるかも分からないけど、壊れている家屋のある一体に癒しの力を満たす。
ジュリアスは何も言わず、横にいる私を見つめている。何をしているかは、分かっていて、何も言わない。
よし! 次は早く魔物達を何とかしなきゃ。
複数の魔物の気配を感じる先へ目を向ける。
大勢の騎士がビッグボアを取り囲んでいる。
ここからだと、視界に入るのは1頭だけ。
ビッグボアは別々に動いているようね。
足の速いビッグボアは、騎士達の隙間を抜けて、様子を見ていた人々の群れに突進する。
悲鳴や叫びが一斉に響く。
気が立っているビッグボアを前に、騎士達は何も出来ずに見守っているだけ。
私がビッグボアの元へ行こうとした、その時、ジュリアスが私の前へ立ち塞がった。
「この場は私が何とかするから、リディは森の再生のために力を残しておけ」
「ジュリアス…………」
剣を鞘から抜き、ビッグボアに向かって走って行く。
レイルもジュリアスに遅れることなく討伐へ向かう。
私の傍には、クルリだけが残っている。
2人の剣技の優秀さは知っている。それでも、相手は俊敏な魔物……大丈夫かしら。
だけど、心配は良い形で、簡単に裏切られてしまう。
レイルがビッグボアの気を引いているうちに、あっという間にジュリアスがビッグボアに留目を刺す。
こんなに、あっという間に討伐できるなんて。
2人の動きは凄いわ! 一切の怯みがなく、躊躇ない動き。
カモメイル公爵の騎士達が手も出せなかったビッグボアを、たった2人で瞬殺してしまった。
カミツキラビットとは違い、動きが早くて力が強いビッグボアは、安易な攻撃は命取りになる。
怒り狂って、ますます凶暴になってしまうから。
安堵した瞬間! ――――危ない!
仲間を失い、怒り狂うビッグボアが陰から飛び出してきた。
同時に2頭のビッグボアが、ジュリアスとレイルの背中から襲い掛かる。
――――やめて――――!
魔法を発動しようと思った、その時――――。
それより先に、2人の手前で2頭のビッグボアは同時に倒れ、ピクリとも動かない。
魔法?
「……っはぁ……っはぁ。危なかった! 上手くできて良かった!」
「殿下! 今のは?」
「レイルは見えただろう? ……っはぁ、アイスボールを発動させてみた!」
「もちろん見えましたが、殿下が魔法を使ったんですか?」
「ああ、試してみた!」
「試してみたって! 殿下!」
私の拍動が煩い。
目から涙が止めどなく溢れて視界が悪くなる。そんな事は気にしていられない。
自然とジュリアスの元へ走り寄ってしまう。
「ぅっうっ…………無事でよかった、うっ…………」
ジュリアスに泣きついた。
傷一つないことに、心から安心した。
「私の事をそんなに心配してくれたのか? 嘘じゃないよな? 大丈夫だが、大丈夫ではない。無理だろう、こんな時に…………後で怒るなよ……お前が悪い」
私の頭を優しくなでるジュリアスの心地よい手を感じていたのに、顎を持ち上げられ唇に温かさを感じる。
――――!!
慌てて目を開ける。
「こういう時は目を閉じるものだ」
言われた瞬間、再び柔らかい感覚が唇に触れたかと思うと、初めの触れただけのものとは違い、舌が口の中這うような、ジュリアスからの深い口づけが……。
――――何! 何! なんで!! どうしてこんなこと……。
唇が離された後に、発する言葉が見つからない。
――――恥ずかしくて、頬が熱くなる。
突然のことで、どんな態度で接していいのかわからない。
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