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本章4 暴かれる真実

クルリの嫌味

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(SIDE クルリ)

 我が主は、一刻も早くリディアンヌ様との時間を作ろうと画策している。
 臣下としては、主が意欲的に政務を取り組まれるのは、願ってもないことなのに、巻き込まれて6日も徹夜を続けたら、流石に体力の限界だ。

 この時点で限界をはるかに超えている。なのに、明日で全てを解決すると言い出した我が主! リディアンヌ様への対応を間違った失敗に、僕まで巻き込むのは止めて欲しい。

 こんなに働かせるなんて……。
 我が主の計画が上手くいっても、惚気なんて絶対に聞きませんからね、ふふふ。
 今度こそ失敗しないために、休むよう進言したのに、全く気にする素振りもなかった主。


 我が主の準備は全て順調だった。カモメイル公爵が魔法を発動する以外。
 カモメイル公爵の異常な言動の直後、王族達へ魔法攻撃が発動された。
 だが、我が主の反応速度は流石だった。自分へ向けられた攻撃だけでなく、国王陛下への攻撃も防いでいた。
 あれ程の攻撃を受けて、国王陛下に傷の一つも負わせない判断と反応を見せられれば、僕の忠義心が深まるのは不思議ではない。

 ふふふ、主の初恋が上手くいくように、もう一肌脱ぐか。
 主の兄である、もう一人の殿下。あれ程の負傷では、もう助からないだろう。

 僕は、その殿下の心配なんて全くしていないけど、主にとっては兄だからな。
 まあ、助けてくれる本人が、どんな判断をするか分からないけど、少々急いで来て頂かなければ、本当に間に合わないかもしれないな。
 ふふふ、我が主には、リディアンヌ様「あなたしかいない」のですから、嘘は申しておりません、ふふふ。

※※※※

 主と2人でカモメイル邸を調査した結果、古代文字で書かれた魔法の紙が見つかった。
 書かれた術式の一つに、カモメイルが謁見の間で発動したものがある。この紙を基に魔法を使ったことは間違いないだろう。

 それにしても、この術式の組み合わせは凄いな。
 シェルブール邸で読んだ知識があるから理解はできるが、この紙だけでは原型の術式を読み取ることはできないな。
 こんな高度な魔法を、どうやってカモメイルは発動できたのか疑問が残る。

 魔王の復活後は空間の魔力を使って、魔法を発動出来るが、魔法を使えば体力を消耗するはずだ。
 1週間の徹夜をしてもまだ、無謀な事を考える体力馬鹿の我が主でさえ、ビッグボアにアイスボール2つを打ち込んだ時に、疲労を感じたと言っていたが。

 この術式は、アイスボールの比にならない術式の組み合わせにも関わらず、カモメイルは平然と立っていたが何故だ? カモメイルには何か別の秘密があるかもしれないな。それは、明日調べるとするか。

 はぁーーっ、やっと、調べに一区切りついた。

 後は全ての使用人を含めて、邸の関係者への尋問だな。
 この邸に関わる人間で、古代文字を解読できる人物は、全て処分対象にするのが安全か。
 よし、この尋問は、僕1人で行うか。

 僕の隣でそわそわしている殿下には、本来一番なさりたい事をさせてあげるか。
 カモメイルのせいで計画外の動きを強いられた主。ご自身は気づいていないでしょうが、明らかに疲労の色が濃くなっています。少しでも早くリディアンヌ様の元へ行ってください。
 
※※※※

『王城の極秘文書を解読可能な人物を至急探している。
  この文書を読めた者を、王城にて好待遇で雇う。
   謝礼はそちらの言い値で従う』
 僕が古代文字で書いた文書を、使用人全員に見せた。

 もちろん結果は、一人も読める者はいなかったし、その字体さえ、言い当てる人物もいなかった。
 古代文字など、王族とその周辺の極限られた高等教育を受けたものでなければ、読めるどころか、見たこともないからな。

 ただ一人、公爵の息子だけは、難なくその文書を読み上げた。

 カモメイル家の次期当主だから、まぁ当然か。
 この息子は、あの紙の魔法を知っている可能性は否定できない。ましてや国費横領の共犯である可能性も高い。

 よしっ、この息子を王城へ呼び出す同意を貰えば、今日の仕事が終わる。
「あなたを見つけることが出来て安心いたしました。この続きは、明日王城でお伝えいたします。殿下から直接ご説明がありますので、王城へいらしてください」
 カモメイルの息子は疑う事も無く、大喜びをしている。ふっ、単純な男だ。

 魔法を知っているかもしれない人物を無事に確保し、1週間ぶりの眠りに着くため、冷えた寝台へ体を沈める。
 もう本当に体力の限界だ…………既に、思うように体が動かない。

 1人で入る寝台は、こんなにも冷たかったのか…………あー虚しいな。
 今頃、我が主は熱い時間を過ごしているのか。
 僕1人に働かせておいて、楽しんでるなんて……やっぱり悔しいな。
 明日、主が惚気てきたら、嫌味でも言わせていただきますからね、ふふふ。


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