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デス・ゲーム1日目深夜・優笑の夢
しおりを挟む1日目の夜。
優笑は一人ベッドに入る。
沢山の女生徒が死んだ……。
何度も嫌な映像が目に浮かぶのに耐えながら……少し意識が夢へと誘われる……。
しかしそれは確かな悪夢。
怒鳴り声でそれは始まる。
『役立たずめ!』
ごめんなさいごめんなさい……!
こわいこわいよぉ
たすけて……たすけて
ママ!
パパ!
ゆらちゃん!
『計画は失敗だ!』
ゆらちゃん たすけて
こわいよ……こわいよ
いたい……
たすけて……たすけて……
『始末しろ!』
おじさんたちがこわい
あぁ……さむい……よ
「たすけ……て……」
だれか……
「可哀想に……」
……誰……?
ふっと優しく微笑む顔が見えた気がした。
そこでまた暗転する世界。
「ハッ……!!!」
飛び起きた優笑。
心臓の音がうるさい。
不安で部屋の照明を点けっぱなしにして寝てしまった……。
夢の中でくらい平穏でいたいのに……久しぶりに見てしまった。
額が汗でぐっしょり、瞳にも涙が溜まってる。
ハァハァ……と自分の荒い呼吸と激しい心臓音が鼓膜を揺さぶっていた。
平和な家族に起きた悲惨な事件。
身代金目的の誘拐。
優笑は6歳の時に誘拐事件に巻き込まれた。
あの時の記憶は断片的だ。
おじさん達に捕まって……怒鳴り声が響いた後に……。
「うっ……」
思い出すのをやめようと、冷蔵庫に水を取りに行く。
手が震えていた。
唇を噛んで思考を停止させる呪文を繰り返す。
「……ストップ……ストップ……」
あんな過去をどうにか乗り越えたのに……また、こんな目に。
あんな笑顔はただの幻だ。
優笑は無傷で監禁現場から発見された。
嫌な夢を見た夜は、いつも優楽のベッドに入るのに……。
優笑は自分を抱きしめるように肩を抱き、また一人ベッドに入った。
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