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第四章 リゾート・ダンジョンオープン

プレオープン

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 さて。シンくんにビラを持たせて送り出したは良いけれど。
 彼が戻るまで二週間はかかる。

 そして、そのカレガ貼ったビラを見て、即日足を運ぶと決めた人が居たとしても、一週間強は誰も来ない可能性があまりに高い。

 その数日を、私は無駄に過ごす気はなかった。

 いつお客さんが来ても良いように!

 「練習するわよ!」
 「アイアイサー!」

 「……うちの魔物はいつの間に敬礼なんか覚え……、ああ、もう一々突っ込むのも馬鹿らしくなってきたな」

 「何言ってるの、ヴォルティス。ダンジョンマスターはあくまで貴方なのに」

 「いや、お前こそ何を言ってる。俺なんかハナっから魔力供給源でしか無いだろう。肩書こそサブマスターだが、実情はお前がマスターだろ? いっそ譲ってやろうか?」

 「流石にマスターになる気はないね。今の参謀ポジのが好みだわ」

 お客になったつもりで、お帳場で貴重を済ま――
 「ああ、こっちの文字を書けないんだった……。ヴォルティス書いて。ついでに今度暇があったら字を教えて」
 ヴォルティスにペンを押し付け書いてもらい。

 部屋に案内してもらう。
 勿論、日本流おもてなし、お茶とお茶菓子は完備。

 お部屋でまったりした後、温泉に浸かり、美味しいご飯を食べて、ふかふかの布団で眠る。

 「……床で寝るとは、と思ったんだが。この……畳、か? この床材悪くないな。裸足で歩くと足裏が気持ち良いし、香りも良い」

 翌朝、朝風呂で目を覚まし、美味しい朝食で腹を満たしたら、スポーツエリアへGO。

 ここはね、作った当初に一通り巡っているから、好きなアトラクションをそれぞれで回ってもらう。

 都度都度、従業員の接客で気になった所は即座に注意をし、改善策を講じる。

 ――そして、二週間後。シンが戻って来た。


 シンより早く現れた客は――残念ながらのゼロであった。

 いや、まぁそうだよね。いくら冒険者のフットワークが軽いからってそうそうすぐには……

 それから、更に一週間。
 また一週間。

 プレオープンの訓練は、もうほぼ問題は出て来ない。

 あとは魔物が従業員というインパクトに対するお客のリアクション次第で起こり得るトラブルの対処くらいかな。

 こればっかりはねぇ、お客さんが来ないことには……

 あ、勿論リゾート部分ばかりでなく通常のダンジョンの階層も増やしたんだよ!?

 「そろそろ中級ダンジョンに分類しても良いはずだぞ」

 と、ヴォルティスが言った。

 「……仕方ない。リゾート方面の客が欲しいけど、ちょっと目新しすぎたかもしれないわ。まずギルドにダンジョンの評価を改めて貰いましょう。シンくん、依頼を出してきてちょうだい!」
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