ローズガーデン

彩世幻夜

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第五章

視察と報告会

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 「まあっ、素敵ですわ……」

 まずは観賞用の温室へと案内したら、サフィーラ姫は目を輝かせて喜んだ。

 「城のバラ園より素敵……」

 「今はバラの季節ではないので、四季咲のもの以外は花をつけていませんので、少し迫力に欠けますが。秋か春にいらして下されば満開の畑をお見せする事ができたのですが」

 「ふふ、私も農業大国の娘ですもの。旬と言う言葉くらい存じておりますもの。
 それをない事にするならば、神のような力でも持たない限りは無茶な事と知っております。
 今楽しめるものを存分に楽しむのがこの国の者の当たり前なのですよ」

 「それは、とても素敵な考え方です」

 次に素材の温室へ。

 「これは……良い香りですが、これだけあると流石に香りも濃いですね。香水よりは少しマシですが」
 「香水は、この香りを更に凝縮した物ですからね……」

 「なるほど、香りごとに部屋を分けているのか」
 「ええ、上手くブレンドすればとても素晴らしい香りが生まれますが、下手に混ぜると逆に不快な香りになる場合もありますから」

 「家具も運び込まれているし……、本当に後は職員だけということか」
 「はい、書類選考は済んでおりますので、あとは面談で直接対話し、その上で試用期間を設け、採用に足ると判断した者を残すつもりです」

 「ふむ。書類で残っているのに特に問題のある奴は居なさそうだが、研究の向き不向きは俺にはさっぱり分からんからな。そちらに任せる」

 言いながら、彼のサインの必要な書類にひたすらサインし続けている。

 「ええ。……それと王都との定期便の話はどうなりました?」
 「専用の船を一日一往復と言う事で話はまとまったが、今船の規模をどうするかで少々揉めている。予算的な話でな」

 「研究所が成功すれば、こちらで船を買って便数を増やしますので、まずは小さくとも毎日の定期便を就航させる事を優先して下さい」

 「ああ。馬車についてはここから一番近い街への定期便を走らせる。こちらは発注した車が納品され次第開始される、研究所の前に停留所を作りたいが構わないか?」

 「ええ、……ちょっと待って」
 執事に図面を広げさせ、

 「できたらここの所に。……作ってしまって良いならこっちで作るけど」
 「それは助かる」
 「ならそういう事で」

 こうして報告会も終わる頃には外は暗くなっていた。

 「ローゼリア様、晩餐の支度が整いました」
 「ありがとう。それじゃあ今日はウチの晩餐会に招待するわ」

 「ふふふ、楽しみですわ」

 場所を私の離れに移し、私達は席に着いた。
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