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第一章
生活エリアの拡張
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さて。
私がやっつけ仕事で作った企画書は、一先ず審査員とやらのお眼鏡にかなった様で。
私の命も取り敢えず来月まで保証された。
「来月までに建物一つが最低ラインか……」
だけど、この外見と中身に相違のあるデタラメ屋敷の外は、形ばかりの庭が申し訳程度にあるばかり。
その外はほぼ宇宙空間。
当然人間が生きられる環境じゃない。
そんな場所に住むならNASAが小国の国家予算レベルの大金と、知識と技術を注ぎ込んで開発した設備やらが必要――だけど、生憎私にそんな専門知識も技術も無い。
「で。この屋敷の維持ってどうなってるの?」
NASAの技術どころかファンタジーレベルのこの空間がどういうものか。
検索すればそれっぽい技術の一つや二つ――どころか両手の指に余る件数の情報が引っ掛かったけど、今の私じゃここに使われているのがどういったものか判別がつかなかった。
「そりゃ、俺の神力に決まってる」
「なら、せめてもう少し人の住めるエリアを広げて欲しい」
「何で俺がそんな面倒な事をしなくちゃならない? 対価は?」
……そう返されると、この男が納得しそうな物を提示出来ない私に唯一差し出せそうなものと言えば。
「き、吸血の頻度……少し譲歩しても……良い」
悔しいけど、他に思い浮かばない。
それに、血くらいなら吸われ過ぎなければまたすぐ増える。
今は二、三日に一度だけど、一日一回位なら……
……が。
「ただの血なら間に合ってる。対価にはなり得ないな」
と拒否された。
けど。
「『ただの血』ってどういう事?」
気になるワードが耳に引っ掛かり尋ねた。
「専属契約してない奴の血じゃ、せいぜい渇きを癒すだけだが、契約した奴の血は俺の力になる……が、俺は契約を望まない」
そこからは押しても引いても奴の譲歩は得られなかった。
「……となると、他の方法を考えなきゃいけないわけだけど」
エリア外の最大の難点は……やはり空気、だろうか。寒さも致命的だけど、そちらは南極に行くつもりで厚着すれば……なんとかならないかなぁ、と。……ならないか。
「けど、年中雪に閉ざされた田舎村では地下に住居を造っていたところもあったわねぇ」
広いエリアを満たすのは難しくても、一軒分の空気は通風口の出口をエリア内に作れば何とかならない?
「解らないけど、やるだけやってみるか」
……園芸用のスコップしか無くて、やる前から心折れそうだけど。
その日から、勉強と家事に充てる時間に加えて穴堀りが日々のルーティンに加わることになった。
私がやっつけ仕事で作った企画書は、一先ず審査員とやらのお眼鏡にかなった様で。
私の命も取り敢えず来月まで保証された。
「来月までに建物一つが最低ラインか……」
だけど、この外見と中身に相違のあるデタラメ屋敷の外は、形ばかりの庭が申し訳程度にあるばかり。
その外はほぼ宇宙空間。
当然人間が生きられる環境じゃない。
そんな場所に住むならNASAが小国の国家予算レベルの大金と、知識と技術を注ぎ込んで開発した設備やらが必要――だけど、生憎私にそんな専門知識も技術も無い。
「で。この屋敷の維持ってどうなってるの?」
NASAの技術どころかファンタジーレベルのこの空間がどういうものか。
検索すればそれっぽい技術の一つや二つ――どころか両手の指に余る件数の情報が引っ掛かったけど、今の私じゃここに使われているのがどういったものか判別がつかなかった。
「そりゃ、俺の神力に決まってる」
「なら、せめてもう少し人の住めるエリアを広げて欲しい」
「何で俺がそんな面倒な事をしなくちゃならない? 対価は?」
……そう返されると、この男が納得しそうな物を提示出来ない私に唯一差し出せそうなものと言えば。
「き、吸血の頻度……少し譲歩しても……良い」
悔しいけど、他に思い浮かばない。
それに、血くらいなら吸われ過ぎなければまたすぐ増える。
今は二、三日に一度だけど、一日一回位なら……
……が。
「ただの血なら間に合ってる。対価にはなり得ないな」
と拒否された。
けど。
「『ただの血』ってどういう事?」
気になるワードが耳に引っ掛かり尋ねた。
「専属契約してない奴の血じゃ、せいぜい渇きを癒すだけだが、契約した奴の血は俺の力になる……が、俺は契約を望まない」
そこからは押しても引いても奴の譲歩は得られなかった。
「……となると、他の方法を考えなきゃいけないわけだけど」
エリア外の最大の難点は……やはり空気、だろうか。寒さも致命的だけど、そちらは南極に行くつもりで厚着すれば……なんとかならないかなぁ、と。……ならないか。
「けど、年中雪に閉ざされた田舎村では地下に住居を造っていたところもあったわねぇ」
広いエリアを満たすのは難しくても、一軒分の空気は通風口の出口をエリア内に作れば何とかならない?
「解らないけど、やるだけやってみるか」
……園芸用のスコップしか無くて、やる前から心折れそうだけど。
その日から、勉強と家事に充てる時間に加えて穴堀りが日々のルーティンに加わることになった。
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