ざまぁ系ヒロインに転生したけど、悪役令嬢と仲良くなったので、隣国に亡命して健全生活目指します!

彩世幻夜

文字の大きさ
34 / 114
私、ざまぁ系ヒロインに転生してしまったかも……!?

お約束……?

しおりを挟む
 「本日はよろしくお願いします」

 私は、質素ながら上品な設えの教会で、たるんでもいなければ、風が吹けば飛ばされるか折れるかしそうな貧弱さも感じさせない、紳士らしい神職様に頭を下げた。

 最初こそ、この間お義姉様の慈善活動の為に連れて行かれた教会か、中央教会辺りに連れて行かれるかと思ったのだけれど。

 「ここは、言うまでもなく我が国の者が日々利用する教会で、神職もフライハイト王国の国籍持ちの者だから」

 そう、フライハイト王国の大使館の敷地内にある、こぢんまりとした、しかし教会として必要な施設は一通りしっかり整えられた教会へと案内されていた。

 「……言っちゃ悪いけど、この国の上層部と教会が癒着しているのはもう世界の常識になりつつある。
 もし仮にこの国の他の教会で予想外の結果が出たら、数字を誤魔化されたり、場合によっちゃ拉致監禁なんて可能性も考えられたから」

 ……そうなんだよね。
 基本、この世界には『ガイア様』って神様しか存在しなくて、だから世界にある教会の全てはウィルガイア教の教会で、他に宗教なんか存在しないんだけど。
 代わりに派閥が存在して。

 大きく分けて派閥は三つ。
 人族が多く信じるティターニア派、エルフやドワーフ等の亜人族が多く信じるフェニッヒ派、獣人族が多く信じるフェアリー派。

 けれど、ティターニア派が圧倒的多数を占めるこのセイントランド聖国は、他の派閥の者を異端と差別する。
 そして自分達こそが他より優れているのだと驕り高ぶる者ばかりで。

 だからこそかつてのフライハイト王国の建国者はそんな体制に否を突付けた。

 「では、この水晶の玉に手をかざして下さい」

 ……あ。

 『……誤魔化す?』

 そっか。今なら誤魔化す必要は……

 『今は、やめとく』

 自分でも正確な数値は知っておきたい。
 問題にならないなら、ね。

 言われた通り手をかざすと――
 ふわり、と、髪が軽く煽られる程度の優しい風が吹き……

 「まぁ……美しい……」
 「色とりどりの光が……眩い程ですわね……」

 「こ、これは……、全属性の光がこれ程に強く……!
 成る程、これは確かに坊ちゃまの仰る通り、通常の魔導具でしたら今頃粉微塵になっていたでしょうな。
 そしてこの国の教会で鑑定なさっていたら、間違いないなく、二度と教会から俗世には帰して貰えなかったでしょう」

 「……坊ちゃん?」
 「そこ、突っ込まない! ミゲルも! 坊ちゃんて呼ぶなっていつも言ってるだろう!」

 うわぁ、ミヒャエルが真っ赤になってる。
 いつも済まし顔の彼にしては珍しい。

 「はい、もう充分です。
 適性は全属性、魔力量も一万越えですね」

 因みにお義姉様の魔力量は二千、お義母様は千五百だそう。
 それでも一般の貴族としては多い方だと言う。

 「教会で普通に使う魔導具の許容量は、この国の平民用で千、貴族用で五千ですからねぇ……」

 『当然だ! 闇の精霊王様もフィリーネの事は気にしてるんだぞ!
 ……会った事はないけど、闇の精霊王様の話じゃ他の精霊王様も興味があるって。
 フィリーネの魔力エーテルは凄く質が良いんだ。
 だから、エーテル石も良いのが簡単に作れる』

 ルノーがエッヘンと胸を張る。

 「ほう……。しかも妖精を見る素養もある、と。
 ……こりゃティターニア派のみならず全ての派閥で取り合いになりそうな人材ですね。
 坊ちゃん、しっかりしないと横から掻っ攫おうとする手はいくらでも伸びますよ?」

 「だから坊ちゃんと呼ぶなと! ……それは改めて思ったけど」

 何やら神官さんとミヒャエルがわちゃわちゃしてるけど……。

 はぁ。
 水晶玉破壊のお約束イベントは回避できたけど。
 やっぱりチートフラグは折れなかったみたいだ。

 ここで調子に乗ると、イタいざまぁ系ヒロインまっしぐらだから。
 しっかり自制しないと。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

虐殺者の称号を持つ戦士が元公爵令嬢に雇われました

オオノギ
ファンタジー
【虐殺者《スレイヤー》】の汚名を着せられた王国戦士エリクと、 【才姫《プリンセス》】と帝国内で謳われる公爵令嬢アリア。 互いに理由は違いながらも国から追われた先で出会い、 戦士エリクはアリアの護衛として雇われる事となった。 そして安寧の地を求めて二人で旅を繰り広げる。 暴走気味の前向き美少女アリアに振り回される戦士エリクと、 不器用で愚直なエリクに呆れながらも付き合う元公爵令嬢アリア。 凸凹コンビが織り成し紡ぐ異世界を巡るファンタジー作品です。

【完結】悪役令嬢の妹に転生しちゃったけど推しはお姉様だから全力で断罪破滅から守らせていただきます!

くま
恋愛
え?死ぬ間際に前世の記憶が戻った、マリア。 ここは前世でハマった乙女ゲームの世界だった。 マリアが一番好きなキャラクターは悪役令嬢のマリエ! 悪役令嬢マリエの妹として転生したマリアは、姉マリエを守ろうと空回り。王子や執事、騎士などはマリアにアプローチするものの、まったく鈍感でアホな主人公に周りは振り回されるばかり。 少しずつ成長をしていくなか、残念ヒロインちゃんが現る!! ほんの少しシリアスもある!かもです。 気ままに書いてますので誤字脱字ありましたら、すいませんっ。 月に一回、二回ほどゆっくりペースで更新です(*≧∀≦*)

【完結】ヒロインに転生しましたが、モブのイケオジが好きなので、悪役令嬢の婚約破棄を回避させたつもりが、やっぱり婚約破棄されている。

樹結理(きゆり)
恋愛
「アイリーン、貴女との婚約は破棄させてもらう」 大勢が集まるパーティの場で、この国の第一王子セルディ殿下がそう宣言した。 はぁぁあ!? なんでどうしてそうなった!! 私の必死の努力を返してー!! 乙女ゲーム『ラベルシアの乙女』の世界に転生してしまった日本人のアラサー女子。 気付けば物語が始まる学園への入学式の日。 私ってヒロインなの!?攻略対象のイケメンたちに囲まれる日々。でも!私が好きなのは攻略対象たちじゃないのよー!! 私が好きなのは攻略対象でもなんでもない、物語にたった二回しか出てこないイケオジ! 所謂モブと言っても過言ではないほど、関わることが少ないイケオジ。 でもでも!せっかくこの世界に転生出来たのなら何度も見たイケメンたちよりも、レアなイケオジを!! 攻略対象たちや悪役令嬢と友好的な関係を築きつつ、悪役令嬢の婚約破棄を回避しつつ、イケオジを狙う十六歳、侯爵令嬢! 必死に悪役令嬢の婚約破棄イベントを回避してきたつもりが、なんでどうしてそうなった!! やっぱり婚約破棄されてるじゃないのー!! 必死に努力したのは無駄足だったのか!?ヒロインは一体誰と結ばれるのか……。 ※この物語は作者の世界観から成り立っております。正式な貴族社会をお望みの方はご遠慮ください。 ※この作品は小説家になろう、カクヨムで完結済み。

《完》義弟と継母をいじめ倒したら溺愛ルートに入りました。何故に?

桐生桜月姫
恋愛
公爵令嬢たるクラウディア・ローズバードは自分の前に現れた天敵たる天才な義弟と継母を追い出すために、たくさんのクラウディアの思う最高のいじめを仕掛ける。 だが、義弟は地味にずれているクラウディアの意地悪を糧にしてどんどん賢くなり、継母は陰ながら?クラウディアをものすっごく微笑ましく眺めて溺愛してしまう。 「もう!どうしてなのよ!!」 クラウディアが気がつく頃には外堀が全て埋め尽くされ、大変なことに!? 天然混じりの大人びている?少女と、冷たい天才義弟、そして変わり者な継母の家族の行方はいかに!?

小説主人公の悪役令嬢の姉に転生しました〜モブのはずが第一王子に一途に愛されています〜

みかん桜
恋愛
第一王子と妹が並んでいる姿を見て前世を思い出したリリーナ。 ここは、乙女ゲームが舞台の小説の世界だった。 悪役令嬢が主役で、破滅を回避して幸せを掴む——そんな物語。 私はその主人公の姉。しかもゲームの妹が、悪役令嬢になった原因の1つが姉である私だったはず。 とはいえ私はただのモブ。 この世界のルールから逸脱せず、無難に生きていこうと決意したのに……なぜか第一王子に執着されている。 ……そういえば、元々『姉の婚約者を奪った』って設定だったような……? ※2025年5月に副題を追加しました。

疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!

ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。 退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた! 私を陥れようとする兄から逃れ、 不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。 逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋? 異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。 この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?

【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!

ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。 ※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。

悪役令嬢ってもっとハイスペックだと思ってた

nionea
恋愛
 ブラック企業勤めの日本人女性ミキ、享年二十五歳は、   死んだ  と、思ったら目が覚めて、  悪役令嬢に転生してざまぁされる方向まっしぐらだった。   ぽっちゃり(控えめな表現です)   うっかり (婉曲的な表現です)   マイペース(モノはいいようです)    略してPUMな侯爵令嬢ファランに転生してしまったミキは、  「デブでバカでワガママって救いようねぇわ」  と、落ち込んでばかりもいられない。  今後の人生がかかっている。  果たして彼女は身に覚えはないが散々やらかしちゃった今までの人生を精算し、生き抜く事はできるのか。  ※恋愛のスタートまでがだいぶ長いです。 ’20.3.17 追記  更新ミスがありました。  3.16公開の77の本文が78の内容になっていました。  本日78を公開するにあたって気付きましたので、77を正規の内容に変え、78を公開しました。  大変失礼いたしました。77から再度お読みいただくと話がちゃんとつながります。  ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。

処理中です...