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乙女ゲームからエスケープ! 留学します!
原因不明な攻撃と謎
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「それでは、本日はこの人形のデッサンをしていただきます」
それは、選択授業の一つ、美術基礎での事。
選択授業のうち、最低一単位は芸術科目で得る必要があり、美術の他に音楽や演劇、舞踊等選べる科目は様々あった。
音楽は一応前世で鍵盤ハーモニカやリコーダーくらいは触ったし、合唱とか、一応楽譜が読める程度の知識はあるし、カラオケも割りと好きな方ではあったけれど、特に極めたいジャンルでもなく。
演劇やら舞踊やらは見て楽しむ分には良いけど、自分でやる方となればそんな才能が自分にあるとも思えないし、そんな練習に時間を取られるのも嫌だった。
それを言ったら美術も……となるけど、一つは取らなきゃいけなかったから。
ちなみに調理は技術科目の一つ。
他に木工や裁縫、建築等の選択授業の中から最低一つと決まっていたから、こちらは悩むことなく調理で出したけれど。
まぁ、普通の料理も最低限美味しく見える盛り付けセンスは必要だし、ましてや菓子職人方面に進むなら、美的センスは絶対必要だろう。
そう考えて美術を選択していた。
幸い一年次に基礎を修了すれば、ニ年次からの応用科目は必須選択から外れるからね。
その分自分の極めたい分野の選択科目で多く単位を得れば良い。
まだ体験授業含めて三回目の授業だけど、やる事は基本デッサンの練習だ。
先生が前にモチーフとなる物を置いて、それを鉛筆でスケッチ。
時間に余裕があれば色付まで行う。
その際の画材は水彩でも色鉛筆でも個人の好きに選んで良い事になっていた。
「画材の扱いが分からなければ質問して下さい」
水彩は前世の学校でやったし、色鉛筆は普通に扱える。……本格的に、と言われれば困ってしまうけど……。
他にもパステルや油彩の用意もあった。
私はまだデッサンで精一杯で、それらには手も触れられていないのだけど。
「貴女って本当に不得意な分野ではポンコツなのね~?」
ふふん、と小馬鹿にした顔で嫌味な発言をコソッと投げてくるのは同じく美術を選択したイェニーさんだ。
手先の器用なドワーフ族だけあって、彼女の作品は毎回素晴らしい出来栄えだった。
初回はウサギのぬいぐるみのデッサンだったのだけれど、モチーフのウサギのぬいぐるみのみならず背景まで細かく書き込まれ、もはやデッサンではなく一つの絵画の小作品。
二回目の前回はフルーツだったんだけど、彼女の書いたそれは、まるで南国の高級ホテルで出てくるウェルカムフルーツのような、今にもかぶりつきたくなる瑞々しさ溢れる盛り合わせ。
対する私は、一応うさぎには見えるものの、モチーフのぬいぐるみに似ているか、と言われればかなり微妙な出来栄えだったし、フルーツはりんご一つ描き上げるので精一杯。
今も人形の顔部分に四苦八苦している最中だった。
……どうしても漫画風の画風になっちゃうのよ、これが。
だから、ポンコツと言われても致し方無い出来なのは認めざるを得ない。
そしてそれを口にするイェニーさんの実力もまた、認めざるを得ない。
だから、黙って笑顔を貼り付けやり過ごそうとしたのに。
「いくら見た目が良くても、御本人の美的センスがこれでは……。流石、娼婦の娘から貴族に成り上がったのに婚約者も見つからず他国に逃げてきた負け犬では……。
無駄な努力をするより、身の程を弁えてはいかがかしら?」
……別に私はこの学校で特に出自を隠してはいない。
だから私達がセイントランド聖国の出身な事を知る人は普通に居る。
祖国の振る舞いから良感情を持たれておらず、冷たくあしらわれる事もある。
だけど、私が、侯爵家に引き取られる前は平民だった事は隠しきれずとも、元娼館暮らしだった件については暗黙の了解として、侯爵が必死に隠していた。
将来の政略結婚の駒としての価値を落とさないため、その点では必死だったのに。
どうしてそれを知っている……?
「私は、お前みたいなのが大嫌いなんだよ」
イェニーは憎らし気に低く毒づいた。
それは、選択授業の一つ、美術基礎での事。
選択授業のうち、最低一単位は芸術科目で得る必要があり、美術の他に音楽や演劇、舞踊等選べる科目は様々あった。
音楽は一応前世で鍵盤ハーモニカやリコーダーくらいは触ったし、合唱とか、一応楽譜が読める程度の知識はあるし、カラオケも割りと好きな方ではあったけれど、特に極めたいジャンルでもなく。
演劇やら舞踊やらは見て楽しむ分には良いけど、自分でやる方となればそんな才能が自分にあるとも思えないし、そんな練習に時間を取られるのも嫌だった。
それを言ったら美術も……となるけど、一つは取らなきゃいけなかったから。
ちなみに調理は技術科目の一つ。
他に木工や裁縫、建築等の選択授業の中から最低一つと決まっていたから、こちらは悩むことなく調理で出したけれど。
まぁ、普通の料理も最低限美味しく見える盛り付けセンスは必要だし、ましてや菓子職人方面に進むなら、美的センスは絶対必要だろう。
そう考えて美術を選択していた。
幸い一年次に基礎を修了すれば、ニ年次からの応用科目は必須選択から外れるからね。
その分自分の極めたい分野の選択科目で多く単位を得れば良い。
まだ体験授業含めて三回目の授業だけど、やる事は基本デッサンの練習だ。
先生が前にモチーフとなる物を置いて、それを鉛筆でスケッチ。
時間に余裕があれば色付まで行う。
その際の画材は水彩でも色鉛筆でも個人の好きに選んで良い事になっていた。
「画材の扱いが分からなければ質問して下さい」
水彩は前世の学校でやったし、色鉛筆は普通に扱える。……本格的に、と言われれば困ってしまうけど……。
他にもパステルや油彩の用意もあった。
私はまだデッサンで精一杯で、それらには手も触れられていないのだけど。
「貴女って本当に不得意な分野ではポンコツなのね~?」
ふふん、と小馬鹿にした顔で嫌味な発言をコソッと投げてくるのは同じく美術を選択したイェニーさんだ。
手先の器用なドワーフ族だけあって、彼女の作品は毎回素晴らしい出来栄えだった。
初回はウサギのぬいぐるみのデッサンだったのだけれど、モチーフのウサギのぬいぐるみのみならず背景まで細かく書き込まれ、もはやデッサンではなく一つの絵画の小作品。
二回目の前回はフルーツだったんだけど、彼女の書いたそれは、まるで南国の高級ホテルで出てくるウェルカムフルーツのような、今にもかぶりつきたくなる瑞々しさ溢れる盛り合わせ。
対する私は、一応うさぎには見えるものの、モチーフのぬいぐるみに似ているか、と言われればかなり微妙な出来栄えだったし、フルーツはりんご一つ描き上げるので精一杯。
今も人形の顔部分に四苦八苦している最中だった。
……どうしても漫画風の画風になっちゃうのよ、これが。
だから、ポンコツと言われても致し方無い出来なのは認めざるを得ない。
そしてそれを口にするイェニーさんの実力もまた、認めざるを得ない。
だから、黙って笑顔を貼り付けやり過ごそうとしたのに。
「いくら見た目が良くても、御本人の美的センスがこれでは……。流石、娼婦の娘から貴族に成り上がったのに婚約者も見つからず他国に逃げてきた負け犬では……。
無駄な努力をするより、身の程を弁えてはいかがかしら?」
……別に私はこの学校で特に出自を隠してはいない。
だから私達がセイントランド聖国の出身な事を知る人は普通に居る。
祖国の振る舞いから良感情を持たれておらず、冷たくあしらわれる事もある。
だけど、私が、侯爵家に引き取られる前は平民だった事は隠しきれずとも、元娼館暮らしだった件については暗黙の了解として、侯爵が必死に隠していた。
将来の政略結婚の駒としての価値を落とさないため、その点では必死だったのに。
どうしてそれを知っている……?
「私は、お前みたいなのが大嫌いなんだよ」
イェニーは憎らし気に低く毒づいた。
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本日78を公開するにあたって気付きましたので、77を正規の内容に変え、78を公開しました。
大変失礼いたしました。77から再度お読みいただくと話がちゃんとつながります。
ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。
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