もう誰も愛さない

ルー

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宿

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案内された部屋に入ったルイとアメリアは椅子に座った。

「アメリア、彼は間違いなく貴族だ。関わりすぎると痛い目にあう。」

「うん、わかってる。でも、ここまで良くしてもらってるのに。何も言わずに去るのはどうなんだろう。」

アメリアが言うとルイは首を振った。

「たとえそうだったとしてこの時期に入国しているのは私たちくらいだ。きっと私たちのことを必要以上に探られるはずだ。」

「そっか。じゃあ、どうするの。」

「ここの宿屋の金額分ここに置いて行こう。騎士として務めていた分の給金の4分の1だ。払えなくもないからな。」

「でも、せっかくこんないい宿屋を紹介してくれたのに・・・。」

アメリアの言葉にルイは苦笑した。

「貴族は本当に危険なんだ。裏と表の顔があり、邪魔者は容赦なく排除する。彼がそういう人だと断定はできないが
それでも距離を置いておくことにこしたことはない。」

「そっか。」

ルイの言うことは大体正しいと理解しているアメリアは大人しくその判断に従った。

「いつ、ここから出るの?」

「早朝に書置きとお金を置いて行こう。」

「わかった。」

素直にうなづいたアメリアはバックの中から着替えの下着とパジャマを取り出した。

「この宿、露天風呂あるらしいんだけど入ってきてもいい?」

キラキラとした目で尋ねられ、ルイは仕方なくうなづいた。

「ああ、混浴ではないんだろう?」

「うん、そこは大丈夫。」

アメリアは部屋から出て、一目散に露天風呂に向かった。部屋に残されたルイは明日の準備をしていた。その時、扉がノックされた。

「どちら様ですか?」

「すいません、シオンです。」

目を見開いたルイは警戒したように一瞬黙った。

「・・・どうぞ。鍵は開いています。」

「失礼します。」

部屋に入ってきたシオンにルイは椅子をすすめた。

「突然来てしまいすみません。」

「いえ、アメリアがいないと分かっていて来たのですね。なんのお話ですか?」

シオンは一瞬目を見開いた。

「やはり、その洞察力・・・。ルイさん、いえ。ルイ元侯爵令息殿。今回調べさせていただきました。個室を取れるのは相当金持ちもしくは貴族でなければとれませんから。カーレシャス侯爵家のお方のようで。つい最近離婚されたとか・・・。」

「随分と調べたのですね。その通りです。」

「名乗り遅れました。私はシオン・ローヴェル・アスラ。アスラ王国の第7王子だ。王子と言っても名ばかり。敬っていただく必要はありません。」

「王子殿下でしたか・・・。」

「男爵家出身の側妃の子ですから王国内での発言権もないに等しいです。ですからそう警戒しないでください。」

「ですが、アメリアもなぜあなたがここまで良くしてくださるのか納得できていないようで。少し不安そうなんです。」

その言葉を聞いたシオンはうつむいた。

「あ、アメリアさんが・・・。」

シオンはアメリアと初めて会った時のことを思い出した。





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