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第二章 異世界交流と地球人たちと邪神討伐

#19 召喚と女神と常識

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二人が風呂から上がってきた。

風呂上がりの女子はいいな。
俺の息子も少し反応した。
ちょっとだけ不安だったが俺はちゃんと男だ。

葵さんがメイド服で結衣さんがナース服だ。

葵さんは170cmくらい、スタイルいいな、胸は普通だな。
今までの印象だと活発な感じかな。

結衣さんが160cmくらいで、中々の巨乳さんだ。
物腰柔らかで、礼儀正しい感じだな。

それにしても何だろう。
風呂上がりの女子がメイドやナース服だとあれだな。
これは凄く風俗っぽいな。
・・・・・これはいい光景だ。

「どうしました?」
「な、何でもないよ、まずはご飯食べよう、話は食後でいいか?」
「もちろん、お米あったんだ!」
「はい、大丈夫です」
「おかわりも自由だ、じゃあ、いただきます!」
「いただきます!」
「いただきます」

ーーーーーーーーーーーーーーー

「旨かったか?」
「最高でした!」
「この世界に来てから一番美味しかったです」
「そいつは良かった、じゃあそろそろ話を聞かせてもられるか?」

「はい、私たちがこの世界に召喚されたのは3年前の、地球で言えば入学式の翌日の朝です」
「召喚なのは間違いないのか?」
「間違いないと思うよ」
「何でだ?」
「これから話します、続けますね、まだ登校中だったのでその時は8人が教室に居ました、そして教室の床が光り出しました、今思うとあれは魔方陣ですね、そして私たちはまず白い空間に居ました」
「どこまでも広がってる感じで、上も見えないの、あと体も動かないし、声も出せなかった」
「そして何もないところから、ある女性が出てきました、見た目は20代後半、背は私と同じ160くらいですね。」
「髪も眼も金色で美人だったけど胸は小さかった、あとは目付きが少しキツイ感じ」
「服装はゆったりした白のローブで、腰まである髪が特徴的でした、そして話し出しました」

『初めまして、地球より訪れし皆様、私はとある世界の女神アルナーガと申します、皆さま方は私の世界に召喚されました、しかし皆様がそのまま私の世界に来てもすぐに死んでしまいます』
『従って私の力であなた方の体を現地の人間よりも少し強くします、さらに私から皆様に贈り物も用意しました』
『皆さま方に私からの要求はございません、どうぞ自由にお過ごし下さい、では、良い人生を』

「そして白い空間が光で満ちて、何も見えなくなり、次に目を開くと、私たちはダリス帝国の帝都近郊の古い神殿に居ました」
「神殿か・・・・」

そう言えばこの世界の宗教あんまり知らないな。

「足元は魔方陣があり、徐々に光を失っていきました、周りには神官と騎士達が取り囲んでいました。」
「国ぐるみなのか?」
「そうとも言えないです、その後、召喚の儀式をしたことや、魔族と戦う勇者を呼んだとか言ってましたが、そこに王族はいませんでした、恐らく神官と一部の貴族の独断だと思います」
「王族じゃないのか」
「はい、あとは色々説明を受けましたが、私は彼等を信じる気になれなかったです」
「私も無理だった、魔族っていうのも見たこと無いし、魔族と手を組んだ邪悪な国と戦争するって言われてもね~」

「俺も魔族なんて聞いたこと無いな、獣人とかの異種族のことかもな」

「多分そうだと思います、私たちは神殿騎士主導で戦闘訓練やこの世界の一般常識などを学ばされました、3ヶ月くらいですね」
「その後で王様に謁見?することになったの、でも私たちはその前に逃げ出したの」

「どうしてそのタイミングで逃げた?」

「謁見の前日に神官たちの話を偶然聞いてしまったんです」
「謁見が終わったらもうバレないから、契約魔法を使うって」
「その話を聞いて、クラスのみんなに話しました。でも信じてくれない人もいて、だからクラスの男子3人と私たち2人は逃げることにしたんです」
「男子の中に逃げるのに便利なギフトを女神様にもらった人がいて助かったよ」
「その後私たちと男子3人は別れて、今に至っています」

「じゃあ残った地球人の情報はあまり無いか、入学直後じゃあな」

「はい、私たち二人は中学からの知り合いでしたから」
「神殿に魔方陣は残っていたのか?」
「はい、光は失っても、紋様はそのままでした」
「見てみたい、後で神殿の場所を教えてくれ、地図は簡単なのがあるから」
「わかりました、ですが、何となくしかわかりませんよ」
「それでいいよ、そうだ神殿に名前あったか?」
「私覚えてる、【ファリントス神殿】だよ」
「辰樹さんの事も聞いていいですか?」
「俺には当時の情報はあんまり無いぞ、以前の記憶が無いからな」
「それでも聞きたい、この家何?何で女の子なのに俺なの?この服とか、銃とか、色々聞きたい!」
「そうですね、私も気になります」
「話すこと多いな、まあいいや、この世界に来てからの話でいいな?」
「うん」
「はい」

こうして水槽の中の話から始めた。

「男の娘なの?男の人が好きなの?」
「俺は男だ!!そして女の子が大好きだ!」

こんな感じで話が進まない。

「今日はもう遅いし、話は明日にしないか?葵さん寝てるし」
「Zzz」
「そうですね」
「そっちの部屋にベッドあるし、なんなら今座ってるソファーで寝てもいいぞ」
「辰樹さんは?」
「俺はこっちの部屋で寝る、少しやりたいこともあるしな」
「やりたいことですか?」
「ちょっと魔銃のカスタムパーツを作る」
「見てもいいですか?」
「・・・・いいけど、早めに寝ろよ」
「はい」

今日の神殿地下で魔銃を撃ったが、狭い通路だと音が反響してうるさかった。

なので、サイレンサーを作る。

通常のサイレンサーではなく、風の魔法を利用して、空気の振動を抑える。

これなら手加減用の魔銃でも使える、砲身の下に固定出来るようにして完成だ。

多少バランスが狂うが、慣れるしかないな。

「その印は何ですか?」
「これか?」
「はい、その木に龍が巻き付いたようなものです」
「これは俺のサインみたいなものだな、師匠に教わったんだ」
「この服にもありましたよ」
「・・・良く見てるな、それもメイド服も俺が作った」
「服まで作るんですか?」
「むしろ服がメインだ、つーかもう寝な、俺も寝る」
「はい、じゃあまた明日」
「あぁ、おやすみ」

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

翌朝、昨日の残りを食べて、話の続きだ。
簡単に流れを話す、主に体や呪い、屋敷のみんなに森やダンジョンのことだな。

「というわけだ、俺に何があったのか知りたいってのが目的かな、あとは記憶が戻ればいいな~ぐらいだ」
「なんか、運が良いのか悪いのかわかんない」
「私も羨ましい気もするけど、その立場になりたいかどうかと言えば嫌ですね」
「何でだ?」
「多分死んじゃう」
「私も」
「まぁ、何度か死にかけたな・・・・そういえば今までに帰還の手がかりってあったのか?」
「アルナーガの名前から伝承を探ってるんですが、古い記録があまり無いんです」
「アルナーガねぇ、そういえば贈り物って何なんだ?」
「アイテムボックスって収納魔法と後みんなに1つずつ色んなスキルかな」
「スキル?技能か?」
「『ギフト』って名前でした」
「そうか『ギフト』か、クラスも決めてるのか?」
「私は『剣聖』だよ」
「私は『聖女』です、辰樹さんは?」
「俺は『職人』だ」

ちょっとだけごまかす、職人には違いないしな。

「職人?魔法使ってたよね」
「初級魔法はな」
「何で使えるの?」
「それより『職人』なんて聞いたこと無いですよ」
「あったから選んだだけだよ、魔法は教えてもらった」
「それで魔法が使えるようになるの?」
「昨日使っただろ、何が不思議なんだ?」
「私たちが教えてもらった常識では『10才になったらクラスを選ぶ、そしてクラス毎の技能を授かる、そしてその技能を習熟していく』ということでした」
「俺はクラス選ぶ前から魔法使えたぞ、訓練はしたけどな」
「じゃあ私も訓練すれば使えるの?」
「魔力次第だけど使えるだろ、それに剣で戦うのも魔力使うだろ?」
「どういうことですか?」
「?身体強化したり、魔力を剣にまとわせたり色々やるだろ」
「そんなこと出来るの」
「出来ないのか?」
「私もそんな方法聞いたこと無いですよ」
「ん~?結衣さん魔法はどうやるんだ?」
「呪文を詠唱して、狙いを定めれば出来ます」
「そもそも体内の魔力操作はしないのか?」
「何ですかそれ?」

どうしよう、俺がおかしいのか?
でも子供たちも出来てたよな。

「良し、ちょっと外に行こう、やって見せる方が早い」

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

「まずは身体強化だ」

軽く身体強化して動き、最後に岩を殴る。

『ヒュン、ヒュン、ガゴン』

「・・・・・・・」

「次は剣に魔力をまとわせる、その大剣貸して」

俺の刀だと魔力をまとわせなくても岩くらい斬れるので、大剣を借りる。
つーかこの剣、魔力の通りが悪いな。
もうちょい質のいい剣無いのかな?

それでも何とか魔力を纏わせて、剣の強度を上げ、鋭さも強化する。

『スパン』
「・・・・・・・」

「魔法はまず体内の魔力を性質の違う2つに分ける、そして同量出して混ぜる」

『ピカァ』

魔力がほのかに光る。

「そして明確にイメージするか、魔方陣を魔力で描く」

今回は分かりやすく大きめの火の玉だ。

『ドカーーン』

「わかっただろ」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「お~い、聞いてんのか?」
「凄い!」
「こんな方法聞いたこと無いですよ」
「結衣さん、いつも通りに魔法やってみて」

「・・・紅蓮の炎よ、我が敵を焼き尽くせ、『ファイヤーボール』」

『ボカーン』

威力弱いな、そして詠唱って恥ずかしいな。

「それは威力や範囲の調節出来るの?」
「出来ないです」

不便なんだな。
・・・テルに感謝だな。



「まぁいっか、2人はこのあとトリカールに帰るのか?」
「待って、待って、教えてよ!」
「私も出来れば教わりたいです」
「メンドイ」
「そこを何とか」
「ね~良いじゃん」
「・・・じゃあまずは基本だな」
「ありがとう」
「よろしくお願いします」
「まずは体内の魔力を感知すること、これは体の中を流れてるからそれを感じるんだ、試しに今俺が2人の右腕に魔力を流す、その感触を覚えてくれ」
「「はい」」

魔力をしばらく流す。

「何か分かるか」
「あったかいかんじがする」
「そうですね」
「その感触を体の中から探すんだ、何ヵ月もかかる事もあるから根気よくな」
「「はい」」
「あと結衣さんは魔法を明確にイメージするように、あと魔法を唱えた時の魔力の流れを感じれば、早く感知できるかもしれない」
「はい」

子供たちもこんな感じで覚えてたな。

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

あれから2時間たった。
二人はまだ魔力を探しているな。
俺もそろそろ行こう。

「俺はこのあと行く所があるけど2人はどうするんだ?」
「私たちはトリカールに戻ろうと思ってました」
「そのあとは?」
「決めてないです、ギルドで依頼でも受けながら情報を集めようかと」
「じゃあこれを持っててくれ」
「これは?ネックレスですか?」
「それは通信用魔道具だ、真ん中の魔石を押すと俺に繋がる、何かあれば連絡してくれ」
「凄いですね、辰樹さんはこれからどこに?」
「東に行って海を目指す」
「海で何をするんですか?」
「トリカールの商人がそっちで醤油っぽいものを見たらしい、あとは海産物を食べたい」
「・・・・・・」
「なんだよ醤油だぞ!牛丼だって作れるし、卵かけご飯もいけるぞ」
「・・・・・・」
「そんなに気を張ってると持たないぞ、せっかくの異世界なんだから楽しもうぜ」
「・・・・そうですね、美味しいものも、綺麗な景色もありますからね」
「そうそう、やっと笑ったな、それと昨日の服はやる、あの服は今お前らが着てる防具より数段丈夫だから、あとはトリカールでお米売ってたぞ」

浮遊バイクを出してまたがる。
神殿やアルナーガの事も調べたいから、ちょっと急ごう。
今日は浮遊バイクを地上10mまで浮かす。

「じゃあ1,2週間くらいで俺もトリカールに戻るから、またなぁ」

浮遊バイクを加速、さらに上昇、そして加速。

待ってろ牛丼!そして卵かけご飯!!



「・・・ねぇ結衣ちゃん」
「・・・・・・なに?」
「あの人ちょっと変だね」
「そうだね、・・・でも楽しそうだよ」
「うん、私たちもこの世界楽しもうよ!」
「聞いてたんだ、そうだね、目的はあるけど、そこまでは楽しい方が良いよね」
「良し、じゃあせっかくだし景色を楽しみながらトリカールに帰ろう」
「うん」
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