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第二章 異世界交流と地球人たちと邪神討伐

#48 着替えと謁見と無人島

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僕たちは食事が終わってから、ダリスのお城に連行されました(エリーさんと後から来たザウスさんに)。
そこで僕とテレサは着せ替え人形になりました。
お城で礼装として用意されていた服は、フリルをたっぷり使った甘ロリィタ?と言う物体でした。

きっとこれは違います。
絶対礼装じゃないです(涙)
もちろん僕は抵抗しました。
けれど敵は僕の弱点を的確に突いてきました。
お城の侍女さん達が僕の体にしがみついてきたんです!
軽く手を振れば逃げられるのですが、彼女らは絶対怪我をする。
そんな状況に追い込んだのです。
しかも僕はその時既に、男に戻っていました。
もちろん息子も帰って来ています。
彼女らはそれを知ってか知らずか、遠慮なしにしがみついてきます。
そして僕は前屈みになります。
更に逃げるのが難しくなります。
こうして僕は諦めました(涙)

きっとミカエラさんの入り知恵だと思います。
帰ったらギリギリまで浄化しようと思います(ミカエラさんはアンデット)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

薄いピンクが主体のワンピースには、白と薄いピンクのフリルがたっぷり使われ、ボリュームが増しています。
二の腕から指先には、魔シルクで作られた艶のある白い手袋。
首もとには、薄いピンクのネックリボンのワンポイント。
白いタイツを履き、これまた艶のあるパンプスまでも薄いピンクでお揃いです。
髪は両端を白いリボンで結び、ツインテールに仕上がっています。

僕の隣には、同じように着せ替え人形になったテレサがいます。
こちらは黒を基調にしたゴスロリ?仕様になっており、かなり可愛く仕上がっております。
黒い服に銀髪が映えてかなり似合っている模様です。

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そして僕は今、控え室で何かを待っています。
少々お待ちくださいとしか言われなかったので、僕自身も何を待っているのか分かりません。

両隣にはニコニコしたテルと、恥ずかしいけど嬉しそうなテレサが座っています。
後ろにはエルマもメイド服で控えています。
テルもエメラルドグリーンと白を基調にした甘ロリィタ?風の格好をしています。

お菓子と紅茶もあるので、これはお茶会なのかな。
それとも何かの話し合いがあるのかな?

色々想像しながら待っていると執事服を着た人が控え室に来ました。

「準備が整いましたので、謁見の間までお越しくださいませ」

そう言って執事は去って行きました。

・・・・・・・・・謁見?
この格好で謁見?

「ふざっけんな!!! こんな格好で謁見なんか出来るかボケ! あまりの事に脳内でずっと『僕』とか言ってたわ! なんだ今までの匠みたいな説明は!!!」
「やっと正気に戻ったんですね、ずっと脱け殻みたいでそれはそれで可愛かったのですが、やっぱりこうじゃないとタツキ様じゃないですよね、さぁ謁見の間へ行きましょう」
「だから行かね~よ、謁見って言ったらあれだろ、貴族だの何だのいっぱい居るんだろうが、こんな格好で行けるか!!」
「まぁまぁ良いじゃん、私も行くから行こうよ、タッチャン」
「辰樹さん可愛いです、恥ずかしいけど私も一緒に行きます」

テルとテレサが両端からしがみついてくる。

「皆さんお願います」

エルマが言うと侍女さん達が現れて俺を取り囲む。
俺は絶望顔でエルマに問いかける!

「エルマ! お前も俺を裏切るのか?」
「タツキ様、私はタツキ様の味方です「なら!」ですから謁見にはタツキ様の一番美しい姿でお連れしたいのです」
「お前は何を言ってるんだ?」
「皆さん、お連れしましょう」

「離せ、テル、テレサ離してくれ! 頼む、お願いだ、他の事なら何でもする、だから離してくれ~~~~~!」

俺の叫びが城の廊下にこだました。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

謁見の間は広かった。
つーか扉自体がでかかった。
中に入ると幅6mの赤い絨毯が玉座まで続いていて、30m程ある。
玉座は1m位高くなっていて、玉座の前が階段になっている。
絨毯の端には騎士が立っていて、ずらっと並んでいる。
玉座の下の階段の両端には貴族?とか将軍とかが並んでる。
玉座の横にはエリーさんとザウスさんも居るな。

俺らは今めっちゃ凝視されてる。
そうだよな、前代未聞だよな。
こんな格好で謁見なんてあり得ないよな!
俺だって一番分かってるよ!

もうこうなったら早く終わらせよう!
でも、これは作法が分からんな?
テルやテレサを見ると俺の後ろに下がっている。
俺が行くのか?
こう言う作法は教わって無いんだよなぁ。
・・・まぁ大体忘れたけどね。

俺は帝国の住民じゃないし、ひざまずく必要無いよな?
何かそんなこと聞いた気がする。
つーか玉座遠くね?
近くに行った方が良いのかな?
大声で喋る訳じゃ無いだろうし、多分近くに行くのが正解だよな。

取り敢えず歩くか!
そんでエリーさんとザウスさんを見て、どの辺で止まれば良いか判断するか。
多分間違ってたら何か合図くれるよな!
良し行こう!

取り敢えず騎士の間を歩いていく。
ゆっくりどんどん歩いて行く。
エリーさんは何も変化ないな。

更に歩いて階段の前まで来た。
エリーさんを見るとまたも変化はない。
ザウスさんも変化はないな。

階段を登る。
貴族や将軍の間を登っていく。
一段一段登って歩いていく。

・・・・・・・・・何か違う気がする(汗)
エリーさん俯いて笑ってた。
声を押し殺して笑ってやがった!
ザウスさんも堪えてる!
あの顔は堪えてる顔だ!

そして俺は玉座の目の前にやって来た。
・・・・・・多分これ間違えたよな(汗)
横を見ると、ニコニコしながら付いてきたテル、不思議そうな顔したテレサが居るな。

この後どうしよう(汗)

「タッチャン、お辞儀だよ、カーテシー分かる?(小声)」

カーテシー?
あれか? エルマ達がやる挨拶か?
あのスカート摘まんで、お辞儀するあれか!
まさか俺がやんのか!!
普通のお辞儀じゃ駄目なのか?

するとテルとテレサが早々とカーテシーをする。
ヤバい、後がない!
イヤだ、俺はイヤだ!
これ以上女を演じると後戻り出来ない気がする!

俺は執事風のお辞儀をして済ました。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

その後は形式的な挨拶や、お礼の言葉、そんな感じで進んでいき謁見は終わった。

そして今は別室で色々な話をしている。
もちろん俺は速攻で着替えた!

皇帝陛下と仮面の宰相っぽい人(怪しい)に将軍さん、エリーさんにザウスさん、テルにテレサそして俺。
騎士が数名壁際に控えていて、そこにエルマも混じってる。

「タツキ様はどのような謝礼をお望みか? こちらとしては可能な限り対応しますぞ、爵位はいかがですか? 何なら領地付きでも構いません!」
「そんなのいらんよ、俺は地球に帰るんだから、つーか無しじゃ駄目なのか?」
「こちらも国としての体面がありますので、何かありませんか?」

面倒臭いな・・・。
ん?そう言えば海底の鉱床近くに無人島あったよな。
あそこを自由に出来たら良いな。

「じゃあナナミの町から東にある無人島を自由にしたいな、家建てたり、自由に出入り出来るようにして欲しい」
「無人島ですか? そんなことで良ければ構いませんが、それだけですか?」
「うん、俺はそれで充分だよ」
「では宰相、そのように」
「はっ、ではタツキ様への無人島の譲渡、及び『迷宮都市タツキ』との同盟締結を書面にて準備して参ります」
「譲渡! 同盟? 何それ? ザウスさんどういう事よ?」
「タツキ様が居なくなってからの3ヶ月で迷宮都市は独立国家になりました」
「はぁ?」
「まぁ、王国ではあの辺りは統治出来ないですし、森の中は監査も不可能です、従って今までは暫定的に私たちが治安維持や、都市計画、魔物の排除などしてきたのですが、これからは一定の金額を10年間王国に支払う事で、完全に独立した国家として認めて貰いました」
「はぁぁぁ?」
「そして新興国家として地盤を固めるために、様々な国と交流を持つ必要があります、エルニアは既に話を通しましたので、今回はダリス帝国と言う訳です」
「はぁ、随分話がでかいな、まぁザウスさんがそれで良いなら良いけど、それはともかく名前変える気は無いの?」
「ありえませんよ、私が最初に提案したんですよ、何より変えたら暴動が起きます(笑)」
「起きるかそんなもん!!」
「まぁ冗談はさておき、迷宮国家タツキの現状はそんな感じです」
「冗談じゃ無いんだけどな・・・・・・それと宰相さん、その仮面は正体を隠したいのか?」

ぶっちゃけ宰相さんは反乱軍の首謀者だ。
一応仮面で顔は隠してるが、気配はそのままなので丸分かりだ。
まぁ何か抱えてそうだったし、他国の事には口出ししないつもりだから良いんだけど、ちょっとな。

「・・・お気づきでしたか、あの時は失礼しました」
「タツキ様、宰相の事は」

皇帝が弁明しようとするので止める。

「俺はこの国の事に口出しするつもりは無い、ただ宰相さんが本気で正体を隠したいのか、それを聞きたいだけっす」
「・・・はい、以前の私は既に死んだのです」
「じゃあこの仮面あげるよ、認識阻害も組み込んであるから今の仮面よりはましになると思う、一応予備に何個か渡しとくよ」

以前精霊樹で作った仮面を差し出す。
つーかあんな仮面じゃ分かる人には分かるだろう。

「何故? そこまでして頂けるのですか?」
「・・・さぁ? ただ単に作ったけどあんまり使わないからあげるだけだよ、深い意味はないぞ」
「あんまり気にしない方が良いわよ、この子は本当にあんまり考えて無いから」
「言ったな婆さん、まぁエリーさんの言う通り、使わないのは勿体ないからだよ、後は実用試験だと思えば良いよ」
「ありがとうございます」
「それじゃあタツキ、そろそろあなた達が消えてからの事を詳しく話して頂戴」

そうして俺とテルで、亜空間に行ってからの事を説明する。

「なんと・・・」
「創造神様が・・・」
「テレサが闘争の神・・・」

みんながそれぞれ呟いている。

「こっちで起きた事は大体そんな感じだよ」
「それは何か証拠はあるの?」

エリーさんが聴いてくる。

「う~ん、神官のオッサンは覚えてるか分からんし・・・この邪神の魔石くらいかな『ゴン』」

そう言って唯一の戦利品を出す。
邪神の魔石は元々直径50cmくらいで漆黒だったが、アルナーガさんが浄化してくれたので虹色に輝いている。
つーかでかすぎるな、何に使おうかなぁ。

「これは!大きいわね、輝きも凄いわ」
「私は魔道具で撮影してたよ、多分少しは映ってると思う」
「何してんだよ!!」
「だって女の子のタッチャン可愛いから、後でまた見たかったんだもん」
「それは別にいいわ、多分見ても分からないでしょう」
「それでタツキさんはこれからどうされるんですか?」
「一旦屋敷に帰るよ、その後は地球人たち次第だけどまた素材集めかな、古竜のハクにかなりあげたから食材も集めなきゃ」
「そうでしたか、またいつでも我が国にお越しください」
「多分島にはちょくちょく行くよ」

細かい内容等はザウスさんやエリーさんが調整する?らしいので、俺の話は大体終わりだ。

こうして面倒事は終わった。
さぁ屋敷に戻ったらお仕置きだ!!!!!
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