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【期間限定】web版 どうぞお続けになって下さい。のラスト3話
第64話 レティシアとレナトの献身。
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レティシアは両陛下と話をした日に「アンストート国の為に微力であれど力になりたい」と伝えた言葉を違えることはなかった。
あれからアンストート国の為にレナトの協力のもと精力的に動いた。
己の特別な魔力と前世の記憶という二つのチートを駆使して次々と素晴らしい魔道具を開発し国と民に貢献した。
レティシアが世に送り出した魔道具は暮らしに役立つものから、国家の防衛を担うものまで多岐に渡る。
レティシアだから想像し作成出来た魔道具たちは、当然莫大な利益を生んだ。
しかし、レティシアも生家の侯爵家もその利益を独占することはなかった。
魔道具作成は想像力だけで作ることはできない。
それなりの道具の準備や手順などが必要であるが、一番に手間と時間がかかるのが魔術陣の用意であった。
作成した魔道具の用途に合わせた魔術の陣を構築しなければならない為、新しい魔道具の開発というのは、魔術陣を新たに構築するということである。
その魔術陣の上に魔水晶を置いた上に魔力を込め変化させる。
そして出来上がった魔道具の内部には魔術陣がタトゥーのように張り付いて完成。
魔力を流すとその魔術陣が反応して陣の文字で命令した通りの動作を行う。
レティシアは想像力と魔水晶だけでそれらすべてをすっ飛ばして魔道具を作り上げてしまう。
レティシアが世に出す魔道具は、魔術陣が内部に存在しないので、陣を解読して似たような物を作りたくても誰にも模倣ない仕様であった。
魔術陣が無ければ自分がいなくなったあとにそれを継ぐものがいないということ。
レティシアは魔術陣を考えた、結構適当な感じの仕上がりになった。
それというのも、魔術陣を構築する基本は知っていても新しい魔道具として自分で作り上げる方法が不明である。
レティシアはそこで学ぶという時間と労力が掛かりそうなことはやめて、日本語で陣を構築した。
想像だけで魔道具は作れたが、陣を使っても作れた。
日本語の陣も他の人間には解読は不可能だ。
そこでコピー機能のある魔道具を作った。
レティシアが構築した魔術陣をコピーし、そのコピーした魔術陣と魔水晶で魔道具は作成できそうだと想像がついたからだった。
実際にその方法で試してみたが無事に作成に成功し、動作も問題なかった。
そこでレティシアは侯爵家の出資で商会を設立、まずはお試しと侯爵家の領地の余った土地に魔道具の工場を作った。
作った工場では職を持つ機会が得られず生活が困窮するばかりの者たちを優先的に雇用した。魔力の純度によって作成出来る魔道具の質はかわる。
たとえレティシアが構築した魔術陣をコピー出来たとしても、魔水晶と魔術陣で魔道具を作るには魔力が必要なのだ。
当初は魔力の純度を考えてもかなりの低品質を想定していたが、それは杞憂におわる。
レティシアが構築した日本語の魔術陣では純度がさほど良くなくとも、低品質とは呼ばないそこそこのレベルが出来上がったのだった。
国家の防衛に使用する魔道具ではなく、暮らしに役立つ便利道具だったので、品質がそこそこでも不満もなく問題がでることもないようだ。
そのことが判明したので工場を建てることに決めたのもある。
魔力の量に個人差はあるとはいえ、すべての生きとし生けるものに魔力は存在している。魔力を注ぐだけで問題ないのなら、誰でも働けるのだ。
レティシアのその行動に多くの貧しいものたちが仕事を得て生活を立て直すことが出来た。侯爵領に第一号の工場が出来て成功すると、次々に工場が建設されていった。
他の領地からも工場を建てて欲しいとお願いされ、どんどん広がっていく。
魔道具の売上は教会や孤児院などに寄付をしたり、平民の子供が通える学校の設立や、大人で文字を学んだことがない者が通える専門的な学校も建てた。
識字率が上がれば仕事の選択肢も広がる。
学ぶことが出来る場所が増えれば、優秀な者はもっと学びたいと思うかもしれない。
それらすべてはやがて国の為になる。
レティシアはジェレマイアと婚姻後に取り組みたかったことをどんどん提案していった。
そしてそのすべてを姿を偽ることのない黒髪のレナトと行動した。
レティシアとレナトに助けられた者たちはレナトの黒髪と赤い瞳を見て、黒髪赤目は厄災を呼ぶという昔からの話がいかにおかしいかに気付いた。
まずは平民たちがレティシアとレナトの素晴らしい功績を褒め称え、その話は国の隅々にまで届いた。
いつの間にか黒髪に対する偏見を持つ人間の方が白い目で見られ始める。
もっと時が経過すれば、いつか厄災だということを誰も言わなくなるだろう。
ロザリンドは視察での失態で次期王太子妃として不適格となった。
婚約を破棄することはないが(レティシアへの贖罪の意味もある婚約なため)、王宮不在中に可決された特例を使われて第二妃になることが決まった。
かなり不満らしく、毎日のように癇癪を起こしている。
次期王太子妃は自国の高位貴族か他国の王族か。
ロザリンドの処遇は決まっていても、そちらの方はまだ決まってはいない。
ジェレマイアは不能という王太子として最大の爆弾を抱えている。
このまま元に戻ることがなければ、世継ぎはどうするのか。
ジェレマイアしか子供のいない陛下と王妃様は、何が最善か模索中である。
レティシアとレナトはここまでくるのに二年ほどかかった。
以前のような旅は出来ていない。
転移魔法を使用して一泊二日の泊まり付きでお出掛けは何度かしていたが、やっぱり以前のような自由気ままさへの未練はあった。
アンストート国への貢献も、一度休憩してゆっくりしたい。
レティシアとレナトは今度は何処へいこうかと話し合いをして――――
海を渡った先の国への旅を決めたのだった。
✂---------------
ラスト1話か2話です。
本日の夜には今作は書籍化規約の為に、取り下げ致します。
よろしくお願いします。
あれからアンストート国の為にレナトの協力のもと精力的に動いた。
己の特別な魔力と前世の記憶という二つのチートを駆使して次々と素晴らしい魔道具を開発し国と民に貢献した。
レティシアが世に送り出した魔道具は暮らしに役立つものから、国家の防衛を担うものまで多岐に渡る。
レティシアだから想像し作成出来た魔道具たちは、当然莫大な利益を生んだ。
しかし、レティシアも生家の侯爵家もその利益を独占することはなかった。
魔道具作成は想像力だけで作ることはできない。
それなりの道具の準備や手順などが必要であるが、一番に手間と時間がかかるのが魔術陣の用意であった。
作成した魔道具の用途に合わせた魔術の陣を構築しなければならない為、新しい魔道具の開発というのは、魔術陣を新たに構築するということである。
その魔術陣の上に魔水晶を置いた上に魔力を込め変化させる。
そして出来上がった魔道具の内部には魔術陣がタトゥーのように張り付いて完成。
魔力を流すとその魔術陣が反応して陣の文字で命令した通りの動作を行う。
レティシアは想像力と魔水晶だけでそれらすべてをすっ飛ばして魔道具を作り上げてしまう。
レティシアが世に出す魔道具は、魔術陣が内部に存在しないので、陣を解読して似たような物を作りたくても誰にも模倣ない仕様であった。
魔術陣が無ければ自分がいなくなったあとにそれを継ぐものがいないということ。
レティシアは魔術陣を考えた、結構適当な感じの仕上がりになった。
それというのも、魔術陣を構築する基本は知っていても新しい魔道具として自分で作り上げる方法が不明である。
レティシアはそこで学ぶという時間と労力が掛かりそうなことはやめて、日本語で陣を構築した。
想像だけで魔道具は作れたが、陣を使っても作れた。
日本語の陣も他の人間には解読は不可能だ。
そこでコピー機能のある魔道具を作った。
レティシアが構築した魔術陣をコピーし、そのコピーした魔術陣と魔水晶で魔道具は作成できそうだと想像がついたからだった。
実際にその方法で試してみたが無事に作成に成功し、動作も問題なかった。
そこでレティシアは侯爵家の出資で商会を設立、まずはお試しと侯爵家の領地の余った土地に魔道具の工場を作った。
作った工場では職を持つ機会が得られず生活が困窮するばかりの者たちを優先的に雇用した。魔力の純度によって作成出来る魔道具の質はかわる。
たとえレティシアが構築した魔術陣をコピー出来たとしても、魔水晶と魔術陣で魔道具を作るには魔力が必要なのだ。
当初は魔力の純度を考えてもかなりの低品質を想定していたが、それは杞憂におわる。
レティシアが構築した日本語の魔術陣では純度がさほど良くなくとも、低品質とは呼ばないそこそこのレベルが出来上がったのだった。
国家の防衛に使用する魔道具ではなく、暮らしに役立つ便利道具だったので、品質がそこそこでも不満もなく問題がでることもないようだ。
そのことが判明したので工場を建てることに決めたのもある。
魔力の量に個人差はあるとはいえ、すべての生きとし生けるものに魔力は存在している。魔力を注ぐだけで問題ないのなら、誰でも働けるのだ。
レティシアのその行動に多くの貧しいものたちが仕事を得て生活を立て直すことが出来た。侯爵領に第一号の工場が出来て成功すると、次々に工場が建設されていった。
他の領地からも工場を建てて欲しいとお願いされ、どんどん広がっていく。
魔道具の売上は教会や孤児院などに寄付をしたり、平民の子供が通える学校の設立や、大人で文字を学んだことがない者が通える専門的な学校も建てた。
識字率が上がれば仕事の選択肢も広がる。
学ぶことが出来る場所が増えれば、優秀な者はもっと学びたいと思うかもしれない。
それらすべてはやがて国の為になる。
レティシアはジェレマイアと婚姻後に取り組みたかったことをどんどん提案していった。
そしてそのすべてを姿を偽ることのない黒髪のレナトと行動した。
レティシアとレナトに助けられた者たちはレナトの黒髪と赤い瞳を見て、黒髪赤目は厄災を呼ぶという昔からの話がいかにおかしいかに気付いた。
まずは平民たちがレティシアとレナトの素晴らしい功績を褒め称え、その話は国の隅々にまで届いた。
いつの間にか黒髪に対する偏見を持つ人間の方が白い目で見られ始める。
もっと時が経過すれば、いつか厄災だということを誰も言わなくなるだろう。
ロザリンドは視察での失態で次期王太子妃として不適格となった。
婚約を破棄することはないが(レティシアへの贖罪の意味もある婚約なため)、王宮不在中に可決された特例を使われて第二妃になることが決まった。
かなり不満らしく、毎日のように癇癪を起こしている。
次期王太子妃は自国の高位貴族か他国の王族か。
ロザリンドの処遇は決まっていても、そちらの方はまだ決まってはいない。
ジェレマイアは不能という王太子として最大の爆弾を抱えている。
このまま元に戻ることがなければ、世継ぎはどうするのか。
ジェレマイアしか子供のいない陛下と王妃様は、何が最善か模索中である。
レティシアとレナトはここまでくるのに二年ほどかかった。
以前のような旅は出来ていない。
転移魔法を使用して一泊二日の泊まり付きでお出掛けは何度かしていたが、やっぱり以前のような自由気ままさへの未練はあった。
アンストート国への貢献も、一度休憩してゆっくりしたい。
レティシアとレナトは今度は何処へいこうかと話し合いをして――――
海を渡った先の国への旅を決めたのだった。
✂---------------
ラスト1話か2話です。
本日の夜には今作は書籍化規約の為に、取り下げ致します。
よろしくお願いします。
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