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65話 初夜2 ※R18

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 うっとりと瞳を閉じたアディの首筋に、デスチーノは鼻をすり寄せた。

「今夜は抑制剤も飲んでいません… それに避妊薬も…」

<発情期の周期ではなくても、抑制剤を飲まないで、デスチーノの濃厚なフェロモンを感じ続けると、発情してしまうのは分かっている…>

「うん… わかるよアディ… フェロモンが私を誘惑して、強くなっている」

「あなたは抑制剤を飲みましたか?」 
<今までは軽い発情で終わり、僕の身体が本格的な発情に至らなかったのは… デスチーノも強い抑制剤を飲んでいて、いつも途中で止めて、我慢してくれたから…>

 オメガの弱点であり、性感帯でもあるうなじを、指先で柔らかくデスチーノに揉まれて、背骨を伝って鈍いしびれのような刺激が、じわじわと腰へと伝わってゆき…

「んんんっ~… うんん~…」
 あまりにも心地良くて、アディはうめき声をらす。

<周期的にもそろそろ発情期だし… 抑制剤無しの本格的な発情期を迎えるのは初めてだから… 正直、自分がどうなるかわからないよ…>

「ああ気持ち良い… うなじを触られているのに、お腹の奥が鈍くヂクヂクする…」

 いつもは周期的な発情期に入ると、抑制剤を多めに飲んで、発情にともな性衝動せいしょうどうを散らしていた。

 それでも身体はだるくなり、抑制剤の副作用で強い眠気に襲われ…
 発情期の間、アディはほとんどベッドで眠って過ごしていた。

<"つがい"を得ると、そういうわずらわしさも無くなると聞いたけど、どうなるのかなぁ? その分、デスチーノにいっぱい抱いてもらわないといけないらしいけど? ふふっ…>

 ウットリ… ニヤニヤ… しているアディに…

「抑制剤なら、君が眠っている間に飲んだ」
 
「ええっ?! 初夜なのに… なぜですか?!」
 さらりと言われた、デスチーノの答えにアディは困惑し、責めるような言い方をしてしまった。 

<てっきり2人揃って、発情期を迎えるのだと思っていたのに?!>

「私が暴走しないようにだよ… 熟睡する君を襲ってしまいそうだったから、朝から忙しかったから、君はとても疲れていただろう?」

「ああ…」
<何だ、そうなんだ… やっぱり僕が熟睡してしまったから、デスチーノは僕を気づかって… 初夜からこんな失敗するなんて、僕は本当にダメな妻だなぁ…>

 がっくり落ち込んでしまうアディの首筋を… デスチーノがチュッ… チュッ…とキスをして、キュキュウッ… と甘噛みした。  


「アディ、今日は嬉しかった! 私のためにエントラーダ伯爵にたくさん怒ってくれただろう?」

「僕は本当のことを言っただけです… だって、あの人たちはあなたのことを何も知らないから…!」
<昼間のことを思い出すと、僕はまだまだ、怒りが収まらないよ! デスチーノは気にしていないみたいだけど>


「ふふふっ… そうやって君は、私をたくさんめてくれたし」

「だって、僕はあなたの妻だから… それにコンプラ―ル男爵を捕まえて、誘拐された人たちを救って… その上、兄のリコールのことであんなにあなたは心を砕いて、父と長兄に助言を与えたのに… あの人たちは恩をあだで返すようなことばかり言って、僕はとても恥かしかった!」

「君は私を理解してくれる… それが本当に嬉しいんだよ、アディ!」
 ぷりぷりと怒り出したアディを、デスチーノはとろけるような笑みを浮かべてでた。

「あっ… んんんっ…」
 薄くけた寝衣の上から、デスチーノに太い指先でアディの乳首はキュッ… キュッ… とねられ、そこからヂクヂクしたうずきが広がり出し… 


「アディ… 今夜こそ、君を最後まで抱くつもりだ!」

 首筋から唇を離し、アディの小さな唇をデスチーノは奪う。

「んんんっ… んん…!」
<デスチーノ、大好き!! 僕も抱かれたい! いっぱい抱かれて、いっぱい触られたい!!>

 もっと愛撫が欲しくて、アディは唇を開きデスチーノの舌を招き入れながら…

 たくましい首に腕を回し引き寄せて、ごろりとベッドに転がった。






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