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55話 執着
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不思議そうにアスカルはたずねた。
「あの… どうして先代の悪事を、グランデ様は秘密にしているのですか?」
「この話で、騒ぎが大きくなれば、母の傷が深くなるからだ… 先代リコルの罪を証明できても、母が娼婦になった事実は消えないだろう? だったら少しでも早く、母のためにこの騒ぎを沈静化させた方が良い」
「ああ、なるほど… そうですね! 確かにそうです! グランデ様の言う通りです」
<そうか! 罪を償わせるべき先代リコルは、僕が殺してしまったから… 裁判が開かれることも、殺人の罪で公開処刑されることも無い… グランデ様のお母様が新たな醜聞に巻き込まれるだけか…>
何となくアスカルは、下を向いてしょんぼりと落ち込んでしまう。
「そうやって… いくつか重要な事実を、オレが世間に伏せていたから、お前に兄だと誤解させてしまったが… オレがもっと早く話せばよかったな」
「そ… それは、お互い様ですから」
「オレは一刻も早く、お前を手に入れることしか頭に無かったから… 悩ませてしまったか?」
「ええっと… お兄さんに抱かれるなんて… すごく、いけないことなのに… 僕は少しも嫌では無くて… だから悩みました」
アスカルは上目づかいで、チラリとグランデを見た。
「うん」
「やっぱり… 兄に抱かれて嬉しいとか… 番になれて幸せを感じたり… 僕の心は狂っているのかなぁ? と…」
「オレなら… お前が本当の弟だったとしても、たぶん抱いただろうな」
「えええ?!」
「お前さえ拒まなければ… オレは気にせず、お前を抱き続けたと思う! それほど番の契りを交わした相手とは、強い絆で結ばれているのだから」
「グランデ様…」
「だから、オレも頭が狂いそうなほど、お前に夢中だという意味さ!」
「グランデ様… なんて罪深いことを…っ!」
<ううっ… でも、すごく嬉しいかも! もう、グランデ様ってば!!>
さらりとすごい事を言ってのけたグランデに… アスカルの顔に、ニヤニヤ笑いが浮かんでしまう。
「罪深いだと?! そんな常識を口に出して、オレを責めるなんてアスカル… 憎い奴め!」
「ふふふっ…」
熱烈に求められて、アスカルは我慢できず、目の前にあるグランデの耳を甘噛みした。
「それでお前は、オレの妻になるのを、まだ拒むつもりか?」
グランデはアスカルのエリを引き下げ、細い首筋を出すと… アスカルにならい甘噛みをして、ヂュッ…チュチュ…! と強く吸い自分の痕を付ける。
「んんんっ… グランデ様ぁ…」
アスカルはうっとりと、グランデに首筋を吸われる心地良さを楽しんだ後…
「グランデ様、絶対に浮気は許しませんよ?! 貴族なら普通だとか… そんな言い訳をして、外で非嫡出子なんて作った日には… グランデ様の性器を、寝ている間にちょん切りますからね?!」
可愛らしく微笑みながら、アスカルは妻になる条件を、グランデに示した。
「アスカル…」
「グランデ様、お返事は?」
「………あ… わかった!」
翌朝、グランデは神殿に多額の寄付をし…
良く晴れた麗らかな午後に、数人の黒騎士たちに見守られながら、2人は婚姻の儀式をとり行なった。
「あの… どうして先代の悪事を、グランデ様は秘密にしているのですか?」
「この話で、騒ぎが大きくなれば、母の傷が深くなるからだ… 先代リコルの罪を証明できても、母が娼婦になった事実は消えないだろう? だったら少しでも早く、母のためにこの騒ぎを沈静化させた方が良い」
「ああ、なるほど… そうですね! 確かにそうです! グランデ様の言う通りです」
<そうか! 罪を償わせるべき先代リコルは、僕が殺してしまったから… 裁判が開かれることも、殺人の罪で公開処刑されることも無い… グランデ様のお母様が新たな醜聞に巻き込まれるだけか…>
何となくアスカルは、下を向いてしょんぼりと落ち込んでしまう。
「そうやって… いくつか重要な事実を、オレが世間に伏せていたから、お前に兄だと誤解させてしまったが… オレがもっと早く話せばよかったな」
「そ… それは、お互い様ですから」
「オレは一刻も早く、お前を手に入れることしか頭に無かったから… 悩ませてしまったか?」
「ええっと… お兄さんに抱かれるなんて… すごく、いけないことなのに… 僕は少しも嫌では無くて… だから悩みました」
アスカルは上目づかいで、チラリとグランデを見た。
「うん」
「やっぱり… 兄に抱かれて嬉しいとか… 番になれて幸せを感じたり… 僕の心は狂っているのかなぁ? と…」
「オレなら… お前が本当の弟だったとしても、たぶん抱いただろうな」
「えええ?!」
「お前さえ拒まなければ… オレは気にせず、お前を抱き続けたと思う! それほど番の契りを交わした相手とは、強い絆で結ばれているのだから」
「グランデ様…」
「だから、オレも頭が狂いそうなほど、お前に夢中だという意味さ!」
「グランデ様… なんて罪深いことを…っ!」
<ううっ… でも、すごく嬉しいかも! もう、グランデ様ってば!!>
さらりとすごい事を言ってのけたグランデに… アスカルの顔に、ニヤニヤ笑いが浮かんでしまう。
「罪深いだと?! そんな常識を口に出して、オレを責めるなんてアスカル… 憎い奴め!」
「ふふふっ…」
熱烈に求められて、アスカルは我慢できず、目の前にあるグランデの耳を甘噛みした。
「それでお前は、オレの妻になるのを、まだ拒むつもりか?」
グランデはアスカルのエリを引き下げ、細い首筋を出すと… アスカルにならい甘噛みをして、ヂュッ…チュチュ…! と強く吸い自分の痕を付ける。
「んんんっ… グランデ様ぁ…」
アスカルはうっとりと、グランデに首筋を吸われる心地良さを楽しんだ後…
「グランデ様、絶対に浮気は許しませんよ?! 貴族なら普通だとか… そんな言い訳をして、外で非嫡出子なんて作った日には… グランデ様の性器を、寝ている間にちょん切りますからね?!」
可愛らしく微笑みながら、アスカルは妻になる条件を、グランデに示した。
「アスカル…」
「グランデ様、お返事は?」
「………あ… わかった!」
翌朝、グランデは神殿に多額の寄付をし…
良く晴れた麗らかな午後に、数人の黒騎士たちに見守られながら、2人は婚姻の儀式をとり行なった。
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