愛に縛られ、愛に溺れる

箕田 悠

文字の大きさ
上 下
45 / 121

45

しおりを挟む

 手首にきつく巻き付く快楽と、逃げ出せない恐怖に混じった高揚感。支配されている限り、離れることない愛情――
 すぐ間近に鳴河が迫り、水瀬は息を呑む。

「大丈夫です。理玖さんが俺の傍にいる限り、このことが知られることはありませんから」

 鳴河に両手首を掴まれ、赤いロープが当てられる。
 逃げるなら今しかない。分かっていたが、抵抗したことで、久賀に知られるのも怖かった。
 水瀬はぐっと奥歯を噛みしめ、大人しく手首に絡みつくロープを見た。

「よっぽどあの男に知られたくないみたいですね。それは幻滅されるのが嫌だからですか? それとも、俺にこうされることを望んでいるとか」
「……変わったね」

 水瀬がぽつりと漏らした言葉に、鳴河が動きを止める。

「昔はこんなことするような人じゃなかった。無理矢理、人を脅すような――」
「うるさいっ」

 突然、声を荒げた鳴河に水瀬は肩を跳ね上げる。視線を上げれば、鳴河は苛ただしげな表情で髪を掻きあげていた。

「随分と余裕があるみたいですね」

 大きく息を吐き、鳴河が横目で水瀬を見る。

「手加減しようと思ってましたけど、その必要はなさそうですね」

 鳴河の指が水瀬のネクタイを解いていく。
 怯える水瀬の目元がネクタイで覆われ、視界が閉ざされる。
 まさかこんなことになるとは、思いもしていなかった。
 かつては自分を救ってくれた男が、今度は自分を追い詰める存在になるとは――
 裏切られたというショックの一方で、水瀬の中で沸々と熱が燻っていた。
 腕を取られ、ベッドヘッドに固定される。完全に抵抗できない状態で、今度はシャツのボタンが外されていく。前が開かれるのが、暗い視界の中でも水瀬には分かった。

「腰を上げてください」

 水瀬のベルトが緩められ、下着ごとズボンを脱がされる。羞恥から、目元がしっとりと湿りけを帯びる。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

僕に溺れて。

BL / 連載中 24h.ポイント:71pt お気に入り:66

硝子の魚(glass catfish syndrome)

BL / 完結 24h.ポイント:42pt お気に入り:302

Reconstruction (サンコイチ スピンオフ)

恋愛 / 完結 24h.ポイント:78pt お気に入り:16

壁穴奴隷No.19 麻袋の男

BL / 完結 24h.ポイント:127pt お気に入り:110

トワイライトコーヒー

BL / 連載中 24h.ポイント:370pt お気に入り:4

イケメン教師陵辱調教

BL / 連載中 24h.ポイント:816pt お気に入り:2,387

小5のショタはお兄さんに誘拐されてしまいました

BL / 連載中 24h.ポイント:142pt お気に入り:357

とける。

BL / 連載中 24h.ポイント:447pt お気に入り:90

処理中です...