前職キャバ嬢、異世界に来たら悪女になっていた。あんまり変わらないのかな?

ミミリン

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前世の私⑦

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同級生とその親たちが挨拶を終え、玄関のドアを閉めたとき

「あんた。聞いとったやろ?」


盗み聞きしていたのがバレてビクッとした。恐る恐る壁から顔を出す。

「は、はい…。」


「今の謝罪はな、私がこの土地の有力者の妻やから付き合いで来はったんや。
大人の事情っちゅうもんやけどな、今回の事は子供同士の話や。そうやろ?」


「…そうです。」


「なら、あんたたち子供同士で解決できるか?」


「…。分かりません。でも、せなちゃんは私の大事なお友達です。
友達は大事です。だから、仲良くしたい。修也君は…。」


「せなちゃん言う子は耳がほとんど聞こえへんって言うとったな。
こんな閉鎖的な場所やったらあんたも一緒にいじめられるかもしれへんで。
それこそずっと愛人の子って言われるかもなあ。」

奥様は何故か私をじっと見つめてきた。


「…。かまいません。だって友達やもん。いじめられとったらこれからも助けます。
それで私がいじめられてもやっぱりせなちゃんを無視はできません。
何言われても、入れてくれる家があるし、ご飯も出してもらえるから大丈夫です。奥様のおかげです。」

「…。そうか…。分かった。好きにし。
もし、殴られたりしたら、ちゃんと先生や私に言うんやで。
今回みたいに子供が遠慮して我慢したらあかんよ。」


「分かりました。」

「ほな、おきばりやす。」

「は、はい。」何だかちょっとだけ奥様が笑ったように見えた。


その夜、違う時間帯に出っ歯族こと修也とその母親がきた。

多分、さっきのうちの誰かから連絡をもらったんだろう。

出っ歯族の母親はそれこそ土下座する勢いだったけど、奥様はけがをしたのは修也君だからこれ以上謝らないようにと頭を上げさせていた。


もちろん、出っ歯族本人は頭を下げる気はないようだ。


子供同士の喧嘩ですから。

修也君の傷が深くなくて良かったです。
とか何とかいってお互い親同士の話は平和に終わり、引き取ってもらう事になった。


「奥さん、愛人っていう言葉は子供との会話で使うのはおすすめしませんよ。」とにっこり笑って送り出した。


出っ歯族のお母さんは真っ青になっていた。



そのまた夜にせなちゃんとせなちゃんのお母さんが来てくれた。


せなちゃんのお母さんは仕事終わりだったようで、髪の毛がボサボサだったけどやっぱり美人な事は変わりなかった。


大人の挨拶を済ませ、少し世間話をしている。

けど、私は知っている。
奥様はこうやって各家庭の事情を把握していることを。
そして、これまたやんわり大地主であるこの家に挨拶がなかったことを指摘していた。

「まあ、こちらに引っ越してきはったんやったら、ご挨拶もっと早めにしたかったですわあ。」

と遠回しに嫌味を言っていたが、せなちゃんのお母さんには全く通じていないかった。


ニコニコ笑って「ああ、いつも夜勤ばっかりで全然近所の人のところ回れなくて困ってたんです。
丁度今日挨拶させてもらって助かりました~。」とあっけらかんとしていた。


流石の奥様もちょっと目が丸くなっていた。この地域で、奥様の嫌味が通じない人は皆無だったから。

何かを察したのか、せなちゃんがお母さんの太ももをつついて手話で会話している。

その様子を奥様はじっと見ていた。

「ああ、すみませんルキアちゃんのお母さん、ルキアちゃんは居ますか?」

今まで『奥様』と言われてきた奥様は『ルキアちゃんのお母さん』と言われ、驚いている。

まさか、そのルキアちゃんに奥様と言われているなんて知らない純真な表情だった。


「あの子は今ピアノのレッスンに行ってます。今日はもう遅いのでお引き取りください。」

とやや強引に引き取ってもらった。


せなちゃんたちが帰った後奥様が私に

「あのせなちゃん言う子のお母さん、私苦手やわあ…。」

とため息をついて教えてくれた。
あの奥様にも苦手な人が居ているって言うのを知ってちょっと奥様に親近感がわいてしまった。

ニヤニヤしていると

「あんた、なんでそんな変な顔してるの。さあ、はよお風呂入って寝よし。」

「はーい。」


と、会話は終了した。


それから、しばらく学校は平和に過ごせた。
修也は学校で私に謝ることはなかったけど、私はこれ以上関わりたくなかったのでそれで良かった。


先生も出来るだけ休憩時間にも教室に居るようにしていたようだ。


しかし、ある授業で事件は起こった。
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