前職キャバ嬢、異世界に来たら悪女になっていた。あんまり変わらないのかな?

ミミリン

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暴露しちゃった~

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ある日、私はメイクモリモリの顔でクロエの部屋にいた。


最近、手話の練習が続いているのでピアノを演奏することが少ない。


外出に気軽に行けることもあり、メイクは盛っている日がかなり多くなってきた。


今、クロエは座学中だ。

手話以外にも算数や国語、社会と勉強することは沢山ある。

ありがたいことに、イリスが先生役を担ってくれていて、これがまた教えるのが上手いのだ。


イリス…いったい何者なんだろう。
あんまり自分の事喋らないからさっぱり分からないけど、クロエの事はすごく大切に思ってくれているのがよく伝わってくる。


結局今、二人はクロエの部屋でベッドを並べて仲良く寝てくれている。


私はやっぱり寝るのは一人の方が落ち着くんだよね。
クロエは可愛かったけど。


色んな意味でイリス、ありがたや。


私は手が空いたのでクロエと約束していたぬいぐるみの解体に取り組んでいる。


出来ればもう一度復元できるように手先に神経を集中させ丁寧に糸を解いていく。

息が止まってしまうくらい繊細な作業だ。


半分以上解体が進んだ頃、面倒な人がやってきた。



「おい!貴様!これはどういうことだ!」


いつの間にかクロエの部屋に入ってきたディランに突然きつい口調で責められる。


「ああ、旦那様おられたのですか?お帰りなさいませ。」



「そんなことどうでもよい、何故貴様がクロエの大切なぬいぐるみを壊しているのか聞いているのだ!」


いや、壊してないし。
型どりするから丁寧に解体してるだけだし。


「旦那様、この作業は壊しているのではありません…。」


「どうみても壊している!言い訳をするな、見苦しいぞ。
それは母上がクロエに送った大切なぬいぐるみのはずだ。
クロエから無理やり取り上げてこのような姿にするなんて。
貴様には鬼畜の心しかないのか!」


「だから、取り上げてませんし…。」



「最近、クロエの世話をしてくれていた貴様のメイドも見なくなった。
貴様が優しい彼女を追い詰めたのだろう!
おかげでクロエは彼女のピアノが聞けなくなったではないか。
どこまで我々家族をいたぶれば気が済むのだこの性悪女。」



ええ加減にせえよ。
このアンポンタン誰かつまみ出してくれないかな。



イリスを見るとげんなりした表情をしている。

クロエは顔が青ざめていた。

ぬいぐるみを手にした私が叱られているのを見て状況を把握したのだろう。

イリスに兄が何を言っているのか聞いている。
イリスもため息をつきながらクロエに説明していた。



あーあ、めんどくさ。

無視しよ。


私はこれ以上何も言わず、ディランを無視して作業を再開した。


「おい!俺を無視するな!
やめろと言ってるんだ!」


うっさいな。


クロエがディランの腕を叩く。


「何だクロエ、大丈夫、俺がこいつを止めてやるから。」


クロエは必死に自分が書いたメモをディランに手渡した。




え?何書いてるの?


メモを見たディランが瞬時に青くなっている。



え?何々?
内容が気になるじゃん。


呆けているディランのメモを盗み見た。

そこに書かれてあった文章は



『エレノアお姉さまはピアノを弾いてくれたメイドと同じ人です。』と。







うええええええ!今それ暴露しちゃったの?



どうすんの?

これ誰が回収すんの?

イリス?


イリスを見てもメイドの下りは知らないので首をかしげている。


だめだ、イリスはどうにもできない。



クロエ、うそでーすっ。とか何か書いて!



クロエを見るとディランを不服そうな顔で見ている。

だめだ、嘘でしたなんて書くテンションじゃない。




「嘘だろ…。
貴様があの可憐なメイド?
あの美しい音を奏でるメイド?
奥ゆかしい態度のあのメイド?」

ディランの声が震えている。


あ、壊れてる。

ってか美化しすぎでしょ。


奥ゆかしいって、顔にタオル巻いて裏声で喋ってただけだし。
勝手に美化しないでよ。



「マスター、エレノアはぬいぐるみを壊していたのではなくて修復する過程でそれは丁寧に解体していただけだ。
クロエが頼んだんだぞ。」


ああ、何でとどめを上乗せするの?
この状況でその突っ込み、本人恥ずかしすぎるシチュエーションだよ。

この二人のフォーメーションは結構残酷だ。




「イリス、マスターって旦那様の事?」

話題を強引に変えよう。



「主人の、一応主人だからマスターで良いだろう。」



一応って何?
一応って。

ああ、ここまで言われたらこの天よりも高いディランのプライドがぼきっと折れて私に攻撃してくるのよ。

もう止めて…。



「…。邪魔したな。…失礼する…。」

ディランは何とか声を絞り出して部屋を出て行った。




「…お疲れ様です。」

これしか言えなかった。

助かった…のかな?



「何だ、メイドって?」

イリスが不思議そうに聞いてくる。




「何でもないの。もう、終わったことだから…。」




「そうか。」


『お姉さま、ピアノが聞きたい。』

クロエが上目づかいでメモを渡してきた。



これ、断れる人間居るのか?

もう、バレちゃったし何でもいいや!




私は遠慮なくピアノを弾いた。




もういい、どうにでもなれば良いんだ。

心はやけくそだった。


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