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色々思い出してしまう
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「あれ?おはよう、ディル。
今日ってもっと後から出勤で良かったんじゃない?
何でこんな早いの?」
エルヴィスが陽気に声をかけてくる。
「あっれ~?
もしかして、ルキちゃんと何かあった?」
ぎくっとした。
何でそんな鋭いんだエルヴィス。
「はっは~ん、また自分を主張しすぎてルキちゃん困らせたんだろ?
も~、ルキちゃんのペースちゃんと守ってあげなくちゃだめだぞ。
ディルはせっかちだからな。」
ドキリとした。
非常に抽象的でよく分らない事を言われているようで、的を射ている表現だ。
エルヴィス、いったいどこまで知っているんだ?
「お前も何かを鑑定する能力が備わっているのか?」
「へ?鑑定能力?
あははは。
そんなのある訳ないじゃん。
イリスさん位凄い人じゃないとあんなの無理だよ。
あ~ルキちゃんとの事図星だな。
あのさ、ディルは分かりやすいから鑑定能力なんてなくてもすぐバレちゃうんじゃない?」
「そんな事ない。
ルキアはいつも俺への解釈を間違えている。」
そうだ、俺がルキアを思い続けていても全く違う解釈で捉えるような思考回路を持っている。
「あ~、ルキちゃんね。
まあ、彼女は自分への評価に若干ゆがみがありそうだよね。
ちゃんと丁寧に言葉にしないと駄目なタイプかも。
っていうか、あまり他人に興味なさそうだもん。
優しいんだけど、自分の心の内はあまり見せようとしないって感じ。
警戒心強そうだしさ。」
「おい…。
何でルキアの事そこまで評価できていたなら俺にその話をしなかったんだ?」
「別に、特に意味はないよ。
彼女と初めて会った時からすごく距離を保つ人だなって思っただけ。
僕がこんなノリでも彼女はペースを崩さないし、一定以上の距離には入れないって感じだったからさ。
確信はないし、ただの印象。」
「人をあまり信頼しない、出来ないって事か?」
「どうだろうね。デイビット様とは信頼関係は築いてたんでしょ?
クロエちゃんにもイリスさんにも信頼は置いていると思うよ。
もちろん、ディランにもね。
けど、心を完全に入れ込むのは想像できないよね。
多分、どこかでブレーキをかけるんじゃないかな。」
「何となく、言いたいことは分かる。」
「ハハハ。
ルキちゃんみたいな人には、騙されやすいお人よしのディランくらいが丁度良いのかもしれないな。」
「それは、褒めているのか?」
「うん、多分。」
「何だよそれ。」
終業まで時間があるので、仕事で必要な資料に目を通す。
ルキア、今頃何してるだろうか。
昨夜、熱い夜を過ごしたから少しでも休んでいて欲しいと思う。
本当はもっと触れ合っていたかったが、あまりにもルキアの反応が可愛すぎて俺も限界だったんだ。
そして、彼女が純潔というのは本当だった。
あのシーツの状況を見れば分かる。
他の男とも、そして父上とも体を重ねたことはないと言うことだ。
それは非常に幸運と言えるだろう。
あの時間のルキアは恐ろしいまで美しかったからだ。
俺の一つ一つの刺激に全て困惑しながらも敏感に反応する姿…。
あの、普段凛としているルキアが俺の下で目を潤ませながら戸惑って感じてくれていたのだ。
滑らかな肌、美しく引き締まった体の線、存在をしっかり主張している美しい胸元。
首筋に舌を這わせば耳まで真っ赤になっていた。
いつもは冷静な物言いのルキアがあのような声を聞かせてくれるなんて。
戸惑い、我慢しているのに漏れ出てしまうあの声がまた奥ゆかしくていじらしかった。
2人が繋がっている時は、俺の背中に必死にしがみついて…。
だめだ、今は仕事中だ。
頭に資料の内容全くが入って来てないぞ。
こんな過ごし方ではいけない。
俺は、この後トレーニングルームに行って体を鍛える方を選んだ。
トレーニング中も隙あらば昨夜のルキアを生々しく思い出してしまう。
エルヴィスが言う事も一理ある。
しばらくはルキアと極力接触を減らそう。
でなければ、抑えがきかずにルキアを押し倒してしまいそうだ。
身体を繋いでしまえば、多少俺がルキアを欲しがる欲が静まるかと思ったが、あのような夜を過ごし、彼女の一面を見てしまうともっと欲しくなってしまう。
他の男でも必ずや彼女に虜になっただろう。
父上のおかげで彼女は純潔のまま俺と出会うことが出来たのだ。
父からもらったこの機会、無駄にはしない。
他の男にルキアを奪われることは絶対あってはならない。
そのためには、ルキアの身も心も完全に俺に傾ける必要がある。
次にルキアと体を合わせる日は1週間後と約束したが、次こそは朝を二人ベッドの中で迎えなければならない。
という事は…。
「ディラン中隊長!
魔力が漏れ出ています!
このままだとトレーニング器具が故障してしまうのでお納めください!」
ああ、またルキアの事を考えてしまっていた。
「すまない。
考え事をしていた。
器具は丁寧に扱わせてもらうよ。」
「はい、ご配慮お願いします。」
トレーニング室の管理係は思った。
普段、勤務中に感情を露にしない方がここまで思いつめるのは、よっぽどな難題を抱えているのだと。
しかし、実際はルキアとの次の情事を計画しているだけであった。
今日ってもっと後から出勤で良かったんじゃない?
何でこんな早いの?」
エルヴィスが陽気に声をかけてくる。
「あっれ~?
もしかして、ルキちゃんと何かあった?」
ぎくっとした。
何でそんな鋭いんだエルヴィス。
「はっは~ん、また自分を主張しすぎてルキちゃん困らせたんだろ?
も~、ルキちゃんのペースちゃんと守ってあげなくちゃだめだぞ。
ディルはせっかちだからな。」
ドキリとした。
非常に抽象的でよく分らない事を言われているようで、的を射ている表現だ。
エルヴィス、いったいどこまで知っているんだ?
「お前も何かを鑑定する能力が備わっているのか?」
「へ?鑑定能力?
あははは。
そんなのある訳ないじゃん。
イリスさん位凄い人じゃないとあんなの無理だよ。
あ~ルキちゃんとの事図星だな。
あのさ、ディルは分かりやすいから鑑定能力なんてなくてもすぐバレちゃうんじゃない?」
「そんな事ない。
ルキアはいつも俺への解釈を間違えている。」
そうだ、俺がルキアを思い続けていても全く違う解釈で捉えるような思考回路を持っている。
「あ~、ルキちゃんね。
まあ、彼女は自分への評価に若干ゆがみがありそうだよね。
ちゃんと丁寧に言葉にしないと駄目なタイプかも。
っていうか、あまり他人に興味なさそうだもん。
優しいんだけど、自分の心の内はあまり見せようとしないって感じ。
警戒心強そうだしさ。」
「おい…。
何でルキアの事そこまで評価できていたなら俺にその話をしなかったんだ?」
「別に、特に意味はないよ。
彼女と初めて会った時からすごく距離を保つ人だなって思っただけ。
僕がこんなノリでも彼女はペースを崩さないし、一定以上の距離には入れないって感じだったからさ。
確信はないし、ただの印象。」
「人をあまり信頼しない、出来ないって事か?」
「どうだろうね。デイビット様とは信頼関係は築いてたんでしょ?
クロエちゃんにもイリスさんにも信頼は置いていると思うよ。
もちろん、ディランにもね。
けど、心を完全に入れ込むのは想像できないよね。
多分、どこかでブレーキをかけるんじゃないかな。」
「何となく、言いたいことは分かる。」
「ハハハ。
ルキちゃんみたいな人には、騙されやすいお人よしのディランくらいが丁度良いのかもしれないな。」
「それは、褒めているのか?」
「うん、多分。」
「何だよそれ。」
終業まで時間があるので、仕事で必要な資料に目を通す。
ルキア、今頃何してるだろうか。
昨夜、熱い夜を過ごしたから少しでも休んでいて欲しいと思う。
本当はもっと触れ合っていたかったが、あまりにもルキアの反応が可愛すぎて俺も限界だったんだ。
そして、彼女が純潔というのは本当だった。
あのシーツの状況を見れば分かる。
他の男とも、そして父上とも体を重ねたことはないと言うことだ。
それは非常に幸運と言えるだろう。
あの時間のルキアは恐ろしいまで美しかったからだ。
俺の一つ一つの刺激に全て困惑しながらも敏感に反応する姿…。
あの、普段凛としているルキアが俺の下で目を潤ませながら戸惑って感じてくれていたのだ。
滑らかな肌、美しく引き締まった体の線、存在をしっかり主張している美しい胸元。
首筋に舌を這わせば耳まで真っ赤になっていた。
いつもは冷静な物言いのルキアがあのような声を聞かせてくれるなんて。
戸惑い、我慢しているのに漏れ出てしまうあの声がまた奥ゆかしくていじらしかった。
2人が繋がっている時は、俺の背中に必死にしがみついて…。
だめだ、今は仕事中だ。
頭に資料の内容全くが入って来てないぞ。
こんな過ごし方ではいけない。
俺は、この後トレーニングルームに行って体を鍛える方を選んだ。
トレーニング中も隙あらば昨夜のルキアを生々しく思い出してしまう。
エルヴィスが言う事も一理ある。
しばらくはルキアと極力接触を減らそう。
でなければ、抑えがきかずにルキアを押し倒してしまいそうだ。
身体を繋いでしまえば、多少俺がルキアを欲しがる欲が静まるかと思ったが、あのような夜を過ごし、彼女の一面を見てしまうともっと欲しくなってしまう。
他の男でも必ずや彼女に虜になっただろう。
父上のおかげで彼女は純潔のまま俺と出会うことが出来たのだ。
父からもらったこの機会、無駄にはしない。
他の男にルキアを奪われることは絶対あってはならない。
そのためには、ルキアの身も心も完全に俺に傾ける必要がある。
次にルキアと体を合わせる日は1週間後と約束したが、次こそは朝を二人ベッドの中で迎えなければならない。
という事は…。
「ディラン中隊長!
魔力が漏れ出ています!
このままだとトレーニング器具が故障してしまうのでお納めください!」
ああ、またルキアの事を考えてしまっていた。
「すまない。
考え事をしていた。
器具は丁寧に扱わせてもらうよ。」
「はい、ご配慮お願いします。」
トレーニング室の管理係は思った。
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しかし、実際はルキアとの次の情事を計画しているだけであった。
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